精神整形外科
男性が苦手だ。
自分の見た目についてはもう諦めがついているが、男性への恐怖が差支えになるような出来事があった。
それは、職場でのアルバイトから、別の職場での社員への雇用契約変更の誘いである。
アルバイトであるとき、私はいつ出勤するかある程度自由にさせてもらった。直属の上司も、私が男性が苦手であることを考慮して、シフトを組んでくれた。
しかし、社員になるというと話は変わってくる。
まず、私の会社のシステムでは、週6日出勤。もちろん好きな時に休むことなんて出来るはずがない。
断ればいい、なんて簡単な話ではないか、と思われるかもしれないが、もうすぐ26歳になる私は、そんな甘いことを言ってられいる立場ではないのだ。
そんなとき、オウマ商事の湯田くんから、病院を紹介してもらった。
なんとそこへ行けば、私の男性恐怖症も治るというのだ。
耳を疑った。がしかし、藁にも湯田くんにもすがる気持ちで、病院へと行くことにした。
精神整形外科
とかかれた看板は、真っ白でぴかぴかである。近頃できたと言っていた湯田くんの言葉でイメージした通りだ。
診察室に入ると、白衣を着た女性の医者が話を聞いてくれた。
受付で「男性が苦手」ということを伝えてくれたのだろうか。
医者は「それはそれは、たいへんですね。本日これから手術いたします。」
と言い、難しい単語を並べて手術計画を説明してくれた。
手術着に着替え、ベッドに横たわる。医者が「麻酔をしますね。」
と教えてくれた。
「はい、終わりましたよ。」
と、医者の声がする。
どうやら手術は終わったらしい。本当に治ったのか?
と疑問に思いながら、会計を待合室のイスで待つ。
あれ?さっきは気づかなかったけどこの病院、女性患者しか来ていないんだな。
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