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神さまのロケハン②

 私は「いきる」ために入院した。ドーパミンが過剰に出る躁の病相を示しているから。

 文吾さんが急逝して、私は躁転した。したがって毎日が心地良い。心地良いから怖れがある。斜面地に立つアパートのベランダから飛び出るのではないかと言う不安。頭痛、吐き気、便秘全てが死んでしまうかと思うほどの痛みで。心地よさを求めて3回緊急搬送してもらった。救急を読んで近所に恥をかいても、私は「いきた」かった。

 場所は違えど、文吾さんの「いきれなかった」救急車に乗り、文吾さんの「いきて」できなかったCTを撮った。どこも悪くない、貧血だけと先生は残し精神科に入った。

 ここでは、心地よく、3食を待つ生活。時々こうして創作する。眠ると心地よすぎて怖くなって目を覚す。まるで文吾さんに天国へ行こうかと呼ばれているようだ。だから寝覚はペンと原稿用紙を握っている。

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