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叡山から


ケーブルカーを乗り継ぎ
ロープウェーの降り場に立つ。

叡山。
空気はピンと冷たさではりつめていた。

眼下に京都の細かい町を見下ろし
すっくと立つこの山は、
いつもわたしを暖かく迎えてくれる。

ロープウェーに押し込められるほど
窮屈だった人ごみを避け横川へ足を伸ばす。
人里離れたこの地区。

元三大師のお堂を目指す。

心なし鳥の声も少ない。
風の音もしずかに森の匂いが感じられる中、
中堂を彩る楓は勢いよく赤くなっていた。
あとは枯れて散るだけなのだけれど、
めいいっぱい勢いよく赤く誇らしげだった。

美しい景色だけしか存在しないここで
心をカラにする。
宿るたましいが感じられるここで
心をカラにする。

今日も大師さまはここに眠る

               楽子

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