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聖地巡礼2 (507字



朝、大和川を見渡す。
秋の澄みわたった空と対比して、
お世辞にも澄んでいる水とは言えない。

この濁った停滞を示すような川は、
雨が降ると、勇ましく濁流となる。

そんな気まぐれなこの川が
わたしは大好きだ。

ここに近鉄線の橋が架かる。


この鉄橋を渡ってはじめての勤務地へ赴いていたことが蘇ってくる。


「なぜヒトは仕事をしければならないのか」

そんな心持ちで毎日通う。
看護って何?
仕事って何?
ひとの命って?
自問自答の毎日から、
3ヶ月経ってリタイヤした。

よく昼下がりになった頃、ここへ来た。

川は流れる。
時は流れる。
鳥達は羽ばたき、
親子連れははしゃぐ。

そんな光景を眺めて
ニートだったわたしは気持ちを整えていた。

あの日のこと。

季節ごとに見せる川の流れ。
何かにつけてここで心を洗った。
お嫁に行くまで、
アルバイトだけしていた。

病院という組織に馴染めなかった。
世の中のルールからはみ出ていた。
それをよしとしない家族に悩んでいた。

        ひとりぼっちだった。


だけど今、ここにいる。
なんでもない「わたし」が胸を張って。
あの日、悩んだこと。

決して無駄ではなかったんだよ。

いつもいつも
大和川の水は澄むことなく流れる。

               楽子

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