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愛のものがたり⑤


♢1


「わたし、沙都との14年間を小説にまとめようと思うんだけど」

 そんな事を言ったのは長崎から戻ってすぐの事だった。

「ええやん、言語化するって大事だから、やってみな」

 わたしは執筆に取り掛かかる。早速、沙都と撮ったアルバムを持ち出した。そこに不可解な沙都のアルバムも出てきた。沙都が傷つけたであろう友達との写真。同じ人物の顔だけがえぐられている。わたしは直感した。これが沙都の言えない不登校の原因なのだ、と。この友達の母とは仲良く付き合ったのだが、躁状態の時にトラブルとなり絶縁している。きっと沙都はわたしについて、わたしの精神病についてこの友達から何かされた‥‥ならば合点がゆく。

 沙都の隠していた不登校の原因は、このわたし自身。

「沙都の不登校の原因がわたしやったなんて」

「そうか。沙都ちゃんずっと言わなかったん、優しさやな」

「わたしが精神病っていう事でいじめられてたんやとしたら。そう考えると沙都が不憫で。全部わたしやん。わたしさえ生きてなかったら、わたしさえ居なかったら」

「そんな事言うもんじゃないよ。沙都ちゃんは新しい環境で頑張ろうとしてるんよ。ママがそんなこと言っててどうするん。俺だって京子ちゃんがいてくれな困るんよ」

「わたし生きてる価値ないわ」

「京子ちゃんは価値があるの。小説だってまとめあげるんでしょ。書きたいことがあるんでしょ。あんまり言わなかったけれど、京子ちゃんの文章は魅力的なんやから。救われる人がいる事も覚えておいて。俺を筆頭に」

「‥‥」

「京子ちゃん」

 文生の言葉が遠くに聞こえる。なんでわたし精神病になんかなったん。なんで普通じゃなかったん。心の声がこだまする。こんなひとりで、こんな孤独で。今まで人がついてきたり離れて行ったり。この後に及んで沙都まで剥がされた。わたしってわたしって。

「もしもーし、京子ちゃん。大丈夫?」

 文生の声に我にかえる。

「なんでわたし精神病なんやろう」

「それは俺も同じ。なんでアルコール依存なんやろう。俺たち運命共同体やろう? 俺は京子ちゃんに出会うために生まれてきたと思ってるよ。そんな居なくなるなんて言われたら共同体できないやん。執筆落ち着いたらまたおいで、俺待ってるから」

 それからわたしは狂ったようにパソコンを叩いていた。朝も昼も食べる時間を惜しんでまでして。沙都は健気にわたしを母親だと慕ったあの頃。大事な人が離れていっても沙都だけはわたしのそばにいてたあの日。沙都ちゃん、沙都ちゃん。沙都の大事な成長とわたしの学ばない愚かな成長と重ねながら執筆は進む。

♢2

 何度この列車に乗った事か。初めて文生に出会ったあの日が遠い記憶の中に。まだあれから半年。わたしはこの半年で過ちを犯した。列車の外は雲が厚く乾いた田畑は大きな山を背に抱える、刈られた稲の茎たちはあたり一面に山吹色を並べて飛んでゆく。沙都へ思いを綴ってもうまく描けない自分の筆の弱さに外の空気が重なる。わたしは一体何をしているんだろう。立ち止まる事なく走り続ける列車は走り続けられない自分に至らなさを思い知らせる。バスに乗り橘湾の夕景がやけに身にしみる。もうすぐ文生の住む東長崎。あそこに行けば何か変わる。文生にあえばなんとかなる。

「文生さんここまで書けたんだけど、なんかつまらなくって。書くのよそうかと思ってる」

「風呂沸かすわ、京子ちゃん先に入り。その間、俺、読んどくから」


 文生が準備したバスタブに身体ごと沈める。いつでも来な、って言ってくれてたけれど、迷惑な顔せず迎え入れてくれたけれど。文生の優しさとバスタブの温さに溺れるように、わたしは自立出来ないでいる。

「読んだよ。ちょっとアレやな」

 と言いながら文生は涙を流していた。

「沙都ちゃんのこと知ってるだけに感情が入って。うん、いい出来よ。ほんと文章書いて半年かそこらでしょ。こんなけ書けるなんて大したものだよ」

「続き、だらだらと書いていいかな?」

「書け書け。どんどん書け」

 文生が流した涙の倍ほどわたしも涙をこぼした。

「京子ちゃんの思ってることはこれだけじゃないやろ。どんどん出てくるやろ。それを止めてどうするんよ。出せ。出し尽くせ」

 言葉にならない想いはわたしの中にたくさんある。言葉にしていく必要がたくさんある。文生にそう言われてハッと気付かされる。あの日沙都がお腹の中にやって来てどんなに幸せだったか。沙都の成長を見守るのがどんなに喜びだったか。その中に元夫の病気の影、精神病、いくつもの影が落ちた。あの苦しみをどうにか表現したい。暗く孤独で辛くいた毎日。そして沙都がいなくなった今を。

「文生さんわたし書く。最後まで書く。どこまでできるかわからないけれど、かならず書いてみる」

 ポンはふたりの様子を見つめる。鳴きもせず尻尾を振って。

「ポンくんにもおやつあるんだ。大阪から買って来たから少し食べる?」

 骨付きジャーキーを前足で支えこの角度かな、どの角度かな、と考えながら頬張るポンはわたしたちに笑いを届けた。

♢3

 2月の長崎は特別だ。街中がカラフルに囲まれるランタンフェスティバルが始まった。赤や黄色、桃色のランタンたちが街を埋め尽くす。

「明日、浜町に行ってみない? ちょうどランタンやってるんだ。すごく綺麗よ」

 文生の提案にわたしはうなずいた。

 県営バスに揺られて街を目指す。こうして文生とバスに揺られるのも久しぶり。左手に見えて来た橘湾が細波の光を揺らしている。今日はふたりでどこいくのとでも言いたげに。中央橋には赤いランタンが橋の縁に沿って揺れる。真ん中に立つ女性のオブジェもにこやかにポーズをとっている。

「眼鏡橋が美しいんよ」

 そう言う文生と眼鏡橋まで手を繋ぐ。そこに開けた中島川の頭上には黄色いランタンが整列してなびく。2つのアーチを描く橋は名前の通り水面にアーチの陰を映させ、川が眼鏡を掛けている。そこへ映り込む黄色い点々が単調な川面に光を与える。

「文生さんハートストーン行こうよ」

 護岸壁工事の際、関係者がハート型の石を埋め込んだらしい恋人たちの聖地。この川は昔、甚大な被害をうんだ水害で橋も崩れ岸壁も修復された歴史があった。そっとハートストーンへ水没者の御霊に手を合わせ黙祷を捧げる。こうして長崎に来られたこと。沙都と離れてしまったけれど、なんとかこうして生きていること。文生に寄り添ってもらっていること。すべてに感謝を捧げる。ハートストーンが愛はここにあるんだよと言っている。

「やっぱり、京子ちゃんが祈りを捧げてる絵は美しいね‥‥ 俺好きなんだ、祈りの京子ちゃん」

 アーケードに入り、あの日、入った鯨のお店に入った。初めて長崎にきたあの日。ここは捕鯨の町。鯨の肉も売っている。この店は鯨の歯を加工してアクセサリーを扱っていた。

「鯨は回遊する習性がありますので、必ず戻ってくると言う願掛けもあって鯨の歯は人気なんですよ」

 店員に言われキーホルダーをひとつ買い求めた。白くアルファベットの「O」の文字をした鯨の歯。戻ってくると信じられている鯨。その場で鞄の持ち手の根にぶら下げる。

「ほらどう? 沙都ちゃんが必ずわたしの元へ帰ってくるって。わたしも願掛けすることにした」

「きっと。必ずそうなるよ」 文生はキーホルダーを眺めてつぶやいた。

 アーケードの両サイドのランタンをたどり中華街へ出た。もう外は暗く赤い幻想的な灯りが天井を埋め尽くす。人々の感嘆の声、妖艶な光、揺れる空気。かつて華僑が正月を祝った雰囲気のまま赤い世界が包み込む。

「ちゃんぽん食って帰ろっか」

 そういってわたしたちは半年ぶりに三八に寄って家路についた。

♢4

 次の日も、また次の日も、わたしは持って来たPCを開いては物語を綴る。ありし日々を思い出しながら。嬉しかった思い出も悲しみに、辛かった思い出もなお悲しみに。悲しみに向き合って涙を流しながら綴った。わたしが作業している間、文生は仕事をして。そんな風に、2月の長崎はわたしを包み込んだ。

 県営バスがバス停にやってくる。

「じゃ、ここで」 と文生とハグをした。

「京子ちゃん、少しずつ元気になってる。沙都ちゃんもきっと戻ってくるから」 文生は鞄のキーホルダーを指で揺らした。 


 タクシーから見える大阪の街は光り輝いている。橙の街路灯は大きな蛍のようにスーッと光の帯を伸ばしていた。夜に煌めくバーガーショップ、牛丼店、ガソリンスタンド。長崎にはない煌びやかさはわたしの心地よさとはかけ離れていた。でもここがわたしのいる場所。違和感だけが漂う沙都のいない大阪はわたしを必要とする人なんていなくて。賑わしい街こそわたしの存在するべきか問うていた。

♢5

「それでは沙都ちゃん連れて明日伺いますね」

 それは朗報でも悲報でもなかった。相談員と沙都が荷物を取りに来る。完全に児童相談所を離れて元夫の家族に迎え入れられることを示していた。実質的な最後の面会。

「でも、アレやん。キーホルダー の通りになってるやん」

 文生は前向きに話す。

「そうやけど、もう沙都とは暮らせないのが決定的になったからさ、落ち込むよ」

「それもそうやな。でも沙都ちゃんはもっと不安やと思うよ。新しい家族のところ行くんやからさ。頑張んな、って言ってあげ」


 玄関を開けると久しぶりに見る沙都は警察が連れて行ったままの身なりをして佇んでいた。顔をうつむけて言葉も最小限におじゃましますと言った。

「これが沙都ちゃんの必要そうな荷物、段ボールにまとめてあるから。あと家具とかの中にあるものも持っていくものはこの袋に入れて持って行き」

 そんな上辺の会話はどうでもよかった。行かないで、行かないでと心は疼いている。ここで暮らすって言ってとずきずき胸が痛む。沙都の顔を伺うと浮かない表情で。彼女のわたしに対する遠慮の表情。小説の中ではわたしに慕った沙都なのにここにいる沙都が本物ならばわたしの小説に出てくるのは誰なのか。そんな沙都への思いが込み上げていると相談員はわたしに書類を取り出した。

「これが沙都さんの監護権譲渡の書類になります。ここに幸夫さんの名前があるので、その下にサインと印鑑を。沙都さんの面会なんですけれど、今は当分沙都さんの気持ちを尊重して、沙都さんが会いたいってなったら幸夫さんを通してやりとりしてと言う形になります」

「沙都と面会できないんですか」

「新しい家に慣れるまでは沙都さんの気持ちもあるでしょうから」

 そのやりとりを聞いているかどうかしれない沙都は持っていく荷物、置いていく荷物を分けていた。

「沙都ちゃん、パパと仲良くやるんやで。元気でね」

 わたしが沙都に話せる精一杯だった。胸の中に重い鉛がずしんと落ちる。沙都が不登校になったのもわたし。沙都を児童相談所にやったのもわたし。沙都の不憫はすべてわたしにある。重い枷をかけたのはわたし自身。

「沙都ちゃん、最後にママに頑張るよとかないの?」 相談員が促すが

「なんもない」 と沙都は言った。

 味気ない食事は喉を通らない。沙都が去ったダイニングテーブルの窓の外。キラキラ輝くハルカスは艶やかに冬の夜空に輝く。沙都にとって新しい環境は、沙都にとって幸せなんだ。そう言い聞かせながら、違う、わたしとの生活こそ幸せのはずだと手放しきれない愛をわたしはまだ抱えていた。

♢6

 翌日からまた小説の中の慕ってくれた沙都の影を追いかける。あの時はあんな景色を見たな、とか美しい思い出ばかりわたしは描写していた。その時に必死だった気持ち、シングルマザーとして肩肘はっても本当は弱いわたし。精神病で友をなくしていった過去。ぐさ、ぐさと心に刺さる。それでもかけがえのない沙都はわたしを応援し、その笑顔はわたしの支えとなった。なのに今や沙都はいない。沙都の部屋も片付いた。もうない、もう何もない。

 パソコンを叩きながら涙に暮れて、それでもパソコンを叩き続ける。そんな日を幾たび幾たびも続けた。

「小説書きながら泣いて、泣いて、涙が溢れるんよ」

「うん」

「沙都いないのに、沙都のある風景を思い出すだけでまた涙が出るん」

「うん、辛いね」

「それでもわたし書いてる。何かに憑かれたように書いてる」

「それでいいんよ。泣いても書きな。辛くても書きな。それが文章だから。文章は裏切らんよ。感情乗せて書いたらいいんよ。悲しくたって書いたらいいんよ。どんどん書きな。最後見えてくるから」

 それから沙都が110番する描写に移った。

 悲しみのピークをわたしはわたしの手で書き上げる。そこにはまだわたし自身沙都への暴力が正義だったと信じていた文章が並ぶ。わたしは沙都に手を上げたシーンは用意しなかった。警察が来た時と同じ「しつけ」の文字で片づけた。何も本質をついていないわたしの小説は、プリントアウトされ涙と共に冊子に綴じられた。

 桜が咲いていた。

♢7

「文生さん、書けたし今度、長崎行っていい?」

「俺はいつでもウェルカムだよ」

 春が過ぎていた。特急は流れ飛ぶ緑の早稲に衣替えした田園の後ろに紫の山を据える。しばらくこの景色にビールを傾け大阪を飛び抜けた自分にも酔う。書けた、書けた、と原稿を読み返す事もせずただ車窓の景色にもたれかかった。トンネルを抜け海岸が顔を出す。あの日寂しげに見えた線路にそう弓なりは静かに波を寄せては返す。そこに暖かな日差しを受けながら。


「文生さん、小説どうかな」

 文生のもとには冊子を郵送していた。

「読んだよ。筋も立ってるし最後のシーンは感動的だよ。でもね、やっぱいい。うん。いいと思うよ」

 文生は何か言いたげだったが言葉を濁す。

「京子ちゃん、もう一度きちんと読み返してみて。そうすると見えてくるものがあるんじゃないかな」

「うん、何か足りない?」

「うん。足りない」


 もう1度読み返した。文生はわたしの様子を伺いつつ、お土産のポンのおやつを、芸をさせながら戯れあっている。そこにはポンに対する愛情がそこかしこに込められ、ポンが甘噛みしても頭ごなしに叱らず「いけない」と制していた。文生なりのしつけ。


 読み終わる。違和感が残る。沙都に手を上げるシーン。そこがが抜け落ちているから。と言うよりあえて省いていたわたし。そこがわたしの急所。

 わたしにはわたしの正義があった。親として子供を育て守るために「しつけ」は必要だと感じて過ごしていた。文生のしつけとは異なった、感情を暴力にぶつけたしつけ。今になって思い知る。それはわたしのエゴ。沙都を支配し沙都をコントロールしようとしていた。

 まぶたが熱い。ポツッポツッと原稿に涙が点々と滲む。

「どうしたの?」

「足りないところがわかった。さとに暴力を振るったシーンがない」

「無理やりそのシーンを入れる必要はないよ。京子ちゃんの作品だから。でもあったほうがいいと俺は思うんだ。物語も変わってくるんじゃないかな」

「わたし、小説から背いてた部分があった。自分からも背いていた部分があった。わたしはこの小説でわたしの正義を書こうとしてたけれど、それは正義じゃない」

「そうだね」

「わたしきちんと書きたい。わたしが間違っていた事。沙都がわたしから離れていった理由。きちんと書きたい」

「うん、よく気付いたね」

 PCを取り出しわたしは大幅に物語を修正しようとした。でも出来なかった。何をどうして組み立てればいいのか。物語の中にあるわたしはどんな正義で沙都に暴力を振るうのか。今気づいた過ちを正義として振りかざす物語のわたしは到底賛美できるものではなかった。

「書けなくてもいいんだよ。気づいたんだから、気づけたんだから。それだけのことだよ」

 涙にくれたわたしに文生は優しく口づけした。夜が私たちを包んだ。

♢8

 翌日、わたしはポンを連れて児童公園に向かった。山を背にした公園は子供たちがボールを追いかけなっがら走り回る。ポンも人気者で、触っていい? と子供たちに囲まれていた。

「噛むことがあるから見るだけにしてね」

 子供たちはポンに視線を合わせポンちゃんポンちゃんと真剣に話しかけていた。こんなに子供がいてて、こんなに幸せに暮らしている。わたしひとり間違った子育てで子供と離れ離れに暮らしている現実を受け止められないでいた。間違いとはひょんな過ちから。そうこの子たちだってもしかするとひょんな過ちから辛さを虐げられるかも知れない。そう思い立つと、書こう。わたしの過ちを書こう、そう決めた。子供たちとサヨナラをしポンを連れて家路についた。

 PCに向かうと構想が整わない。待てど暮らせど指が走らない。修正箇所に目を向ける。そこには何もしないで警察に捕まったわたしが曖昧な物語を繰り広げていた。


「児童虐待をしたわたし」 とタイピングする。そのことは読者にどんな印象を与えるのか、どれだけ読者に蔑んでみられるのか。それを大いに覚悟をしながら、自分への戒めとして紡ぐ。沙都への懺悔は深い。紡いでも紡いでも彼女は帰ってこないとわかってても、悔いるしかなかった。暴力を振るった事実を隠そうとしていた自分のエゴに向き合う。そして沙都をコントロールしようとしてた愚かなわたしを描くことにした。曖昧になっていたエンディングには沙都への謝罪を付け足した。涙ながらにそれを書ききった。

「文生さん、書けた」

 1週間は文生の世話になっただろうか。ほとんどPCの前で自分と向き合い涙ながらにタイピングした日。文生は時々大丈夫? と伺ってくれたのもお構いなしにタイピングを続けた。新しい原稿データーを読み込みコンビニでプリントする。文生はご褒美だとピノを買ってくれた。わたしは新しい原稿を綴じて目を閉じる。わたしはわたし自身が引き起こした物語なのだとやっと気づくことが出来た。

「文生さん読んでみて」

「京子ちゃん、これいいよ。うん、すごくいい。頑張ったね」

「うん。わたし沙都に謝らなきゃ。どう謝っていいかわかんないけれど謝らなきゃ」

「そうだね」

 文生はわたしに気づかせてくれた。過ちから得られるものがあるのだとすると2度とあっちゃならない事。

「京子ちゃん‥‥聞いてる? だからね、出版しなよ。作品にすべき」

「え? 出版?」

「出版社に持ち込んだらいいよ」

「え、そんな簡単じゃないよ」

「作品にすべきだよ。これ」

 文生の熱はあつかった。

「帰って調べてみるよ。わかった」





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