ノート的境界線群 7号
1.新作詩
「小さな箱」
大きな箱に入っているものが
大きいとは限らないけれど
小さな箱に入っているものは
小さいものに決まっているから
本当に
決まっているのかな
箱の中にある大きなものを
ただ見ることができないだけかもしれなくて
そんなことを考えると楽しくて
小さな箱がすごくいとおしくなる
2.新作短歌
絶望の世紀も孤独じゃなかったよベリーサンキューロボット先生
3.旧作詩
「月を見ていた」
月を見ていた
幼いあの娘は
時のはざまが
呼んだ幻影
もしも世界が
分壊れても
「私は大丈夫」
そう、笑った
仲間に貰った
小さなペンダント
首にかけずに
いつももてあそんでいる
家に帰れば
「待ってる人がいる」
言い残したまま
そっと消えていく
変わらないもの
捨ててしまった
変われないもの
残していった
月を見ていた
幼いあの娘が
絶えず探している
風を見つけた
もしも世界が
半分壊れたら
「僕は駄目だよ」
少し、笑った
★十年ほど前の作品ですが、比較的今と変わらない気がします。この頃から、詩の中に物語を入れ始めた気がします。
4.あとがき
よく、観光地に行くと昔の詩人などが残した作品が碑になっていたりしますよね。先日訪れた土地では、木の板に山頭火の作品が書かれていました。その中で気になったのがこれ。
最高ですよね。シンプルな言葉の力を感じました。
旅先で、突然作品との幸せな出会いをすることがあります。それも、旅の醍醐味。
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