表紙2

ノート的境界線群 10号

1.新作詩

「生きてしまうんだ」

ポンと出たよこの世に
嫌なこと積み重なっていったよ
辛い日々は泣くこともできなかったよ
好きな人は誰かのものになっていったよ
それでも明日も生きていてしまうんだ

わからないことだらけなのが救い
無意味が暴かれたら多分終わり
傷つく体がある限り
何かにすがる意地汚さもあるから
笑うこともあるよ

ポンと出たよこの世に
いいこともあるにはあるよ
どんな日々もご飯は食べて来たんだよ
嫌いな人が助けてくれることもあったよ
過去も未来も不思議だから生きてしまうんだ

わからないことを頼りに
無理して生きてしまうんだ


2.新作短歌

青空に書いておいてよ「今日からはマフラーしてもいい日です」って


3.旧作詩

「阿蘇山」

私はここから見る阿蘇山が好きなのだが
阿蘇山に行くと気付けない
どこなんだろうか
どうなんだろうか
山は山の内では山ではないのか
傷付くのは私の方なのだと
続かないという答え中に吐き出された

迷いはなく
迷わなく
迷走
緑と夜の木霊
つながれた箱が止まった時
煙の中から潰える音がした
あの穴は詰まっているから
世界の裏側は知らないまま
今ここに阿蘇山は誰かから見られている
今阿蘇山は私に知られずに泡立っている

ロープウェイはただ繰り返す
こことそこはちがう
これはそれではない
咎められた追憶は
ひたすら繰り返しを推奨するのだ

★初めて「詩と思想」の投稿欄でコメントを貰った作品だったと思います。佳作や注目作に選ばれると、いいところも悪いところもあるということで、入選するよりも次作に生きる気がします。


4.あとがき

 先日、「文学フリマ福岡」に参加してきました。今まで大阪と東京に一度ずつ参加してきたのですが、規模も含めて雰囲気もかなり違いました。様々な都市で行われるようになった文フリですが、それぞれの特徴が出てくるのでしょうか。どうしても遠くに行くのは難しいので、近場でイベントがあるのはありがたいです。と言いながら、文フリ沖縄とかあればぜひ行きたいです。

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清水らくは
大変感謝です!