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ノート的境界線群 8号
1.新作詩
「僕の魔法のステッキ」
僕は魔法のステッキを隠してる
願うだけ食べ物が出てくるらしい
僕は一度もそれを使っていない
世界中の飢えがなくなるかもしれないのに
どうすればいいのかを考えてみたんだ
世界中を旅していては時間がかかりすぎる
世界中に送ればいいのだろうか
困っている人まで届くだろうか
困っている人が困っている理由のために
きっと困っている人までは届かないと思う
そして僕みたいな人間が
どうやってそんなことをしたのだろうと
気付いてしまった誰かに
魔法のステッキは奪われてしまうのだ
戦略を練れないほどに賢くないのならば
欠点に気づけないほど愚かでいたかった
愚かでいたかった
優しさで世界が救えると信じるほどに
愚かでいたかった
共感で悪意を止められると間違えるほどに
愚かでいたかった
話し合いが解決の手段になると言えるほどに
愚かでいたかった
魔法のステッキを振るえるほどに
2.新作短歌
ヒマワリが朽ち果てていく観察は町内単位で発禁処分
3.旧作詩
「函詩」
苦しみを知った
い だ
味 夜
の が
白 明
昼 け
夢を嫌いになる
理に溺れた
解 だ
の 怖
外 い
側にいてよ
愛しさ
は ざ
痛 波
切 哀
的外れ
★一時期、原稿用紙がキャンパスに見えていた時期があります。文字の配置でもっといろいろな模様が描けるのではないかと思って、形にこだわった詩を作っていました。
4.あとがき
結構出しているつもりが、五月以来でした。仕事柄学校が夏休みになると余裕ができるので、創作に時間をかけられます。ただ、夏の暑さは頭を鈍らせますね。インプットに当てるのもいいかな、と思っています。
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