ノート的境界線群 6号
1.新作詩
「バッファバッファ」
半分の優しさを
いっぱい集めたら
優しさが
一人分になる
そう信じて
二つに割った頭痛薬を
何年も貯めていた
優しさを早く
集めたい思いが
何度も頭痛を呼んで
私から優しさを
奪っていった
痛みが消えても
心は荒れている
優しさは
飲み込まねばならないのだ
2.新作短歌
宇宙船一つも返事が届かないもはや誰かの惑星なんだ
3.旧作詩
「追い風の後」
湿った風
乾いた波
マングローブを抜けて
奔る奔る
騒いだ朝
汚れた夜
君を追い続けて
暗い道に佇んで
遠い島を眺めて
ガザミの泡数えて
塩のにおい掻き消して まだ
続いてる
続けてる
想いは未知の国まで
流れてる
流してる
悲しみの歌を作り
今 君と 笑う 夢見て
雲の彼方に時を刻む
あの島で
奏でてた
旋律に埋もれて
除けない
穴の中
どこに隠れているのだろう
★六年ほど前、沖縄について。実は、あまり旅先で詩を書くということが無くて、この詩も家に帰ってから書いたと記憶しています。旅の途中では、旅に気持ちが行ってて詩を書く気分になりにくいようです。
4.あとがき
毎年この時期、『詩と思想』で現代詩の新鋭が発表されるのですが、今年度はずっと気になっていた方が選ばれていました。読者投稿を卒業することになるのですが、そうすると作品を読む機会が減るので残念な気持ちもあります。私が「無責任」をやろうと思ったのも、発表する場所がなくなるという危機感からだったりします。詩人になるということは、詩を発表する手段も創りだしていくということなんですね。私は、ペースを変えずネット上でのんびりと発表していくつもりです。
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