【短編小説】 年末パズル祭り
そうだ、それ以上のイベントを作ってしまえばいい、と考えた。定着するには季節に合ったものがいいし、一人で家にいる理由ができるのがいい。そして、世間の支持を得るにはお金が動く方がいいだろう。
そこで考えたのは、「特大カレンダーのパズルを作る祭り」というものだった。これならば家でするのが当たり前だし、年末にやる理由があるし、お店も儲かる。
まずは自分でやってみないと話にならない。パズルを買うために街に出かけた。建物には様々な飾り付けがしてあり、多くの人々が買い物に来ていた。カップルたちの間をすり抜け体を小さくしながら玩具屋まで来たのだけど、今度は幸せそうな家族たちの間をすり抜けなければならなかった。
ようやくパズルコーナーにたどり着いたが、思っていたよりも高い。まあ今年はお試しだし、と小さなものを手に取った。レジには長い列が。いやー困ったなー、甥っ子にあげるんだ、と心の中でストーリーを作り上げて平気な顔をして待つ。ようやく自分の番が来た。
「プレゼント用ですか?」
「えっ」
うろたえてしまった。なんかこう、この空気で自分用だなんて言えない。
「はい」
家に帰って、ぐったりと倒れ込んだ。
そして結局正月になっても、きれいな包装紙に包まれて、パズルの箱は開けられないままだった。
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