『さよならビッグ4』あとがきみたいなもの

 カクヨムで連載していた小説『さよならビッグ4』が完結しました。大学将棋部を舞台にした作品です。
 「ビッグ4」とよばれた強豪4人組の存在により、地方の公立校ながら全国2位にまで躍進した県立大学将棋部。しかし彼らの卒業により残った部員はたったの4人に。新入生4人の入部により何とか大会には出られたものの、地区大会での勝利すら厳しい状況に。ここから将棋部が、再び全国大会を目指して「再建」していく物語です。

 私自身、将棋部の4年間では全国大会から地区最下位まで経験しました。将棋部にもさまざまなドラマがあります。将棋をテーマにした小説や漫画は増えてきましたが、「大学将棋部」の魅力を伝える作品は見たことがなかったので、どうしても書きたいとずっと思っていました。
 あと、この物語は二年間を描いています。有望な1年生の入部により部が生まれ変わり全国大会に……そういう物語は多いですが、どうしても無理が生じてくるところがあります。複数の才能ある新入生が一気に入っていたり、しばらくいなかった先輩が帰ってきたり。それも面白いのですが、そういうイレギュラーなしに「部としての成長」を描くには、どうしても二年が必要と考えました。

 主人公は一応、新入部員の佐谷蓮真です。幼馴染たちと子供の頃に戦った団体戦が忘れられず、「県立大学でもう一度同じチームに」とずっと夢見ていました。しかしほかの二人は彼に黙って最強の大学、紀玄館に。蓮真は怒りを原動力に、県立大学で全国を目指すことになります。
 ただ、作品の視点は部員全員の物語を行きかいます。少人数で戦う県立大将棋部にとって、部員全員が主人公なのです。

 書いている間は、小説のセオリーに反する点も多いので不安でした。けれども書き終わってみると、自分でも読んで楽しい作品になったと思います。できるだけ将棋の知識がなくても読めるようにも心掛けました。プロの将棋とはまた違う、将棋部の魅力が少しでも伝わる作品になっていることを願います。

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清水らくは
大変感謝です!