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短編小説集

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2014年4月の記事一覧

花子章

 

 その女の子の名前は、花子といいました。花のように綺麗な娘に育って欲しい、そんな願いが込められた名前です。彼女にはたくさんの兄達がいましたが、彼女が十になるときには、次郎兄と五郎兄しか残っていませんでした。次郎は十八になるというのに少しも嫁を探す気配を見せず、暇さえあれば釣りばかりをしていました。五郎は逞しい体を持っていましたが、少し考え事が苦手らしく、蛙や亀とばかり話をしていました。両親は

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