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寒さを逆手にとれば(天使の囁き記念日)

2月17日は「天使の囁(ささや)き記念日」。
北海道幌加内町の母子里で1978(昭和53)年に国内最低気温のマイナス41.2℃を記録したことにちなみ、制定されました。

天使の囁きとは、空気中の水蒸気が凍ってできる「ダイヤモンドダスト」のことだそうで。雪景色の美しさを知ってもらうことで、雪国のマイナスイメージをプラスに変えようという意図があるとのこと。その心意気や良し、です。

ダイヤモンドダストの存在を、松任谷由実さんが1987(昭和62)年12月に発売したアルバム『ダイアモンドダストが消えぬ間に』で知ったという人は多いのではないでしょうか。


もっとも、ここでいうダイアモンドダストとはスパークリングワインの泡のこと。気象現象の方のダイヤモンドダストを知っている歌詞の登場人物≒ユーミンが比喩として使っているわけでして。

バブル期だった当時、若者たちはクリスマスに心をときめかせつつ「恋人と北海道行ってモノホンのダイヤモンドダスト見てぇ」と思ったのでした。

実際、ダイヤモンドダストのPR効果によって本州から加内町に移住した人が増えたそうで。「天使の囁き」という言葉を選んだ記念日制定者のセンスもかなりプラスとして作用したのではないでしょうか。

落語の基本は「飢えと寒さ」ですが、寒さを逆手にとった加内町と同じく、寒さを笑いに変換した落語に「弥次郎」とその改作「南極探検」(春風亭柳昇作)があります。



南極体験は弥次郎と同じく、ホラ吹き男がご隠居さんに「南極に行ってすごい体験をした」とホラを吹きまくる噺ですが、中でも面白いのが赤道が「赤い線」として実際に海の上に存在するという壮大なホラ。

ダイヤモンドダストは出てきませんが、愉快愉快、ダイアモンドユカイです。

柳昇一門には人気と実力を兼ね備え、センスもある噺家さんが大勢いますから、ダイヤモンドダストも扱った、後世に残るような超絶面白い南極探検の改作を、きっと作ってくれると思います。

…などという戯言は、悪魔の囁きには当たりませんよね?






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