過去を反省。今、自分にできること(落語のマクラ)
鈴々舎馬るこです。
政府から緊急事態宣言が出されましたので、寄席は5月6日までお休みになりました。
毎日がゴールデンウィークです。
行くとこないですけど。
前座から二つ目に昇進(前座=修行期間が終わり、落語家としてのスタートラインに立つこと)した直後のことを思い出します。
月に3〜4本しか仕事がなく、だからといって稽古をするわけでも、どこかにマメに顔を出すでもなく、
あの頃の私は、ただいたずらに惰眠をむさぼっていました。
2003年入門。当時は落語というのは今よりもややマニアックな芸能でした。
ところが2005年のテレビドラマ「タイガー&ドラゴン」を中心に落語ブームが起こり、
広瀬和生さんの著書『この落語家を聴け!』などの後押しもあって、中堅・若手落語家に注目が集まり、
大小さまざまな落語会が一気に生まれました。
客席に年齢層の若いお客様が増えたのもこの頃です。
当時私は前座でしたが、なにしろ「落語」と名前がつけばどんな落語会も一杯になり、
前座もどんどん手伝いで駆り出され、
あまりにも寄席の楽屋から前座がいなくなるので、
落語協会理事会から「不要不急の時以外は前座を使わないように」と
異例のお達しが出るほどの熱狂ぶりでした。
(この時代のことは「新ニッポンの話芸ポッドキャスト」第380〜382回でも話しています。広瀬さんの新刊『21世期落語史』は面白いですよ。 https://youtu.be/wrJlEU-95ws
そんな状況なので、2006年に二つ目に昇進した時も、
このバブルが永遠に続くと勘違いしていたんですね。私は。
当たり前ですけども、需要があるのは
「ちゃんと稽古をしている、上手くて面白い」芸人だけだったのです。
前座3年で5席しか覚えてなかった私は、
一気に飽きられ、お呼びがかからなくなりました。
ここで普通は反省して落語をたくさん覚えるのですが、
私が目指したのは「大食い」でした。
賞金の出る大食いチャレンジや、フードファイトではありません。
近所のつけ麺屋の大盛りを完食することのみに生きがいを見い出していたのです。
並盛りでも普通の店の大盛りくらいのボリュームなのです。
それが大盛りを頼むと量が倍になる。通常の店の4倍だ。
これがなかなか完食できないのです。
並盛りを頼む→完食
大盛りを頼む→けっこう残す
並盛りを頼む→完食
大盛りを頼む→少し残す
というローテーションを繰り返していると、
何度目かの来店で店員さんに
「中盛りにしませんか?」と言われ、
「・・・じゃあそれで」
と、心をボキッと折られたのでした。
その後生きがいを失い、惰眠をむさぼり続けるのです。(落語を覚えろ!)
真面目に稽古を始めるのはそれから2年後の話。(遅いよ!)
その辺の話はまた今度。
今回は反省してるので、サボりませんよ。
下北沢で毎月ネタ下ろしの勉強会を続けていますが、2年分の音声データを今整理してるところです。
それが今、自分にできること。
近々こちらのnoteを使って新ネタ含めて配信を始めますのでお楽しみに。