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落語演目で“三題噺”風に小説を書いてみた。


「3つのお題をくださーい☆今からそれで即興ラップつくりますっ!」

みたいなことをやっているアーティストさんをどこかで見かけたことはありませんか?

歌だけでなく、お笑い、演劇などでもたまに見かけるこの手法(でできた作品)を“三題噺”といいます。

テーマや言葉をオーディエンスから3つもらい、その場で即興で作品をつくって披露するというものです。

サンドウィッチマンの『ネタサンド』というお笑いバラエティ番組は、即席ネタでは無いものの“三題噺”の形態をとっている典型ですね。

あぁ。あと『有田P おもてなす』という番組も近いものがありますね。


この“三題噺”、実は元々は落語から来ているものでなのです。


さて、この度、アセアンそよかぜさんの『#旅のようなお出かけ』という創作企画に参加せていただき、『遠足のしおり』と題した拙い処女作を執筆いたしました。


初めての創作企画への参加で、胸躍らせながら、腕まくりしながら、涙目になりながら、なんとか作品として完成させました。

涼しい顔して、しれっとアップしてみましたが

“湖面を静かに滑る白鳥の、水面下の両足は激しいバタ足”

そんな勢いで、実は、ぜーはーっ!ヒーハーっ!言いながら書き上げました。←

慣れないバタ足からの背伸びに、足、つっちゃってマス☆



今回『旅のようなお出かけ』というテーマで小説を創作するにあたり、落語に関するブログを綴ってきたわたしらしく、執筆作品にも落語ネタを存分に絡ませてみようと思いました。





●パッと思い付いたのが『芝浜』

言わずと知れた有名落語演目『芝浜』。

ここのところ、ずっと『芝浜』についてのnoteを書きたかったので題材にできないかなぁと。

そして、まわりを見渡すと・・・あれ?

“プチ芝浜ブーム”

みたいなのが起きてます?笑


“芝浜オマージュ”的な作品が流行っているようなので、そこに便乗して“芝浜ムーブメント”みたいなのを巻き起こすのもアリだと思ったのです。

が。

『芝浜』の舞台となる現在の浜松町には、バリバリに企業戦士のイメージが強く、アミューズメントな雰囲気が弱いと感じたので見送ることに。

ちなみに作品執筆後に知りましたが、一説によると『芝浜』という演目自体が、

「酔っぱらい」「財布」「芝浜」

のお題でつくられた“三題噺”だそうです。

(うーんっ。やはり無理くりにでも『芝浜』を使っておくべきだったかしら)




●『芝浜』以外の人情噺と言えば・・・?

見送った『芝浜』に次ぐ人情噺といえば、わたしのなかでは『景清』でした。

なんなら『景清』のほうが個人的に好きです。

『景清』は関西発祥の上方落語の演目です。恐らくは、アレンジやオリジナルが加わることで、噺家によってサゲパターンが複数存在するタイプの演目かと思います。

わたしは、玉屋柳勢(柳亭市楽)氏の『景清』しか、まだ拝聴したことがないのですが“シンプルで純粋に良いサゲ”でした。

力のこもった高座に、本当にすすり泣いているお客様がいらしたのが印象的でした。

(玉屋柳勢氏は『芝浜』もお得意とされていて、人情噺に定評がある方です)

『景清』は目の見えない人が寛永寺(清水寺)に御百度参りをする噺。

ここにヒントを得て『遠足のしおり』の主人公も、病を抱えているという設定にしました。



●元祖こじらせ女子の『厩火事』

『遠足のしおり』の主人公に

“失恋から立ち直る”

という設定を入れたかったので、“失恋”が絡む演目はないかと考えたときに浮かんだのが『厩火事』。

『厩火事』は、「夫が自分のことをどう思っているのか気持ちを確かめたい!」という、10歳(7歳)年上の髪結いである妻が、夫が大切にしている骨董品のコレクションを割ってみせるという噺。

“The めんどくさいこじらせ女”が、とてもおもしろい滑稽噺。

恐らくただの夫婦喧嘩噺で、失恋噺ではないのだけども、

“10年付き合った男に捨てられる女”

を考えたときに、これくらいのこじらせっぷりが必要だとおもったので、『厩火事』を使わせていただきました。

『遠足のしおり』の文章中にも

美容師(髪結い)
10歳・10年
バカラ(骨董品)を割る

というワードを散りばめてみました。



●寛永寺は『崇徳院』にも登場する!

執筆途中で、寛永寺は『崇徳院』にも登場することを思い出しました。

『景清』では病治癒の願掛けの舞台ですが、『崇徳院』では恋が始まる恋愛の舞台なのです。

水も垂れるような若い娘 と 若旦那とのひとめぼれの恋。

橋本環奈☆片寄涼太
浜辺美波☆横浜流星

あたりの美しい顔のキャストでイメージしていただくとよいのかと。

一瞬で恋に落ちたふたり。


去り際に、娘は若旦那に

小倉百人一首の77番・崇徳天皇の

『瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ』

上の句だけをしたためた短冊をそっと渡すのです。

『今は一旦別れてしまうけど、また逢いましょうね』

という想いを受け取る若旦那。

少女漫画よろしく、胸キュンラブストーリーから始まる演目なのに、最後は見事なまでの『ズコーーーっ!』で終わる少年ギャグ漫画以下の駄洒落でサゲる演目。笑

「え、なに?江戸のみなさま、こーゆーのがお好きなの?!」

という驚きを隠せない台無し加減なのですが、始まりがとても美しく“The恋バナ”だったので『遠足のしおり』に加えることにしました。



●あれ?“三題噺”風に仕上げられるのでは?

“小説に落語ネタを絡ませる”までは考えていたものの、はなから“三題噺をつくろう”とは思っていませんでした。

当初は『景清』と『厩火事』の2つの噺を絡ませ、最後のサゲに『崇徳院』という言葉だけを使う予定でした。

でも、これだと落語ファンにしか伝わらない内容になるなぁ、と。

「よし!“三題噺”風にしよう!」

そのためには『崇徳院』にもう少しだけ活躍してもらおう!と。

この時点で『遠足のしおり』のはなしがほぼかたまっていたので、そこに『崇徳院』の内容を噛ませるのは展開とボリュームとに無理があると感じたので、終盤の母娘の会話内に落とし込むことでなんとか収めました。



こんな感じて落語を組み込んでみました。

“三題噺”は、作っていて楽しかったので、今後も何かに使おうと思っています。


何か・・・ね。


にやり☆



そんなわたしが執筆しました『遠足のしおり』はこちら☆









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