橘家文吾と春風亭一花を観るなら今!
2019年の夏頃、連雀亭が満席の日がありました。
「ここは巣鴨かっ!?いや、淡路町だよね?」
と二度見してしまうくらいロマンスグレーな紳士淑女の熱気でムンムンしておりました。
昔昔亭A太郎、春風亭一花、橘家文吾・・・
なんて華やかな顔付けでしょう。
その頃、A太郎さんの真打昇進は発表されていたので、二ツ目ではかなりのベテランです。そうでなくとも、A太郎さんは“おばさま達の永遠のアイドル”なので、この日の連雀亭は混雑することを予想していました。
が、思っていた以上の混雑だったのは、彗星の如く現れた、一花さんと文吾さんもいたからでしょう。
2018年に二ツ目に昇進したばかりのふたりだということを、後から知ってとても驚きました。
ふたりとも、とにかく上手い!
そして、人の記憶にきちんと引っ掛かりを残せる存在。
ベテランのA太郎さんと同じ高座に上がっても見劣りしない。
お客さんもよくわかっているのです。
今日の高座がどれほどのお値打ち会なのか。
確かにこの3人の落語を同時に観ることができて、“ワンコイン”はお得過ぎました。
わたしが今までに連雀亭に訪れたなかで、後にも先にもこの日の客席が一番賑わっていました。
さて、そんな文吾さんと一花さんのオンライン動画を先日拝聴いたしました。
ガンバレ!文吾の配信落語#05
《番組構成》
○ フリートーク
○ 不動坊 / 春風亭一花
○ ねずみ / 橘家文吾
《感想》
まさか動画で一花さんを観ることができるなんて思いも寄らず。
嬉しい!とても嬉しい!
そして演目は予想通りの『不動坊』
でもいーの?
動画で観せちゃっていーの?
不動坊だよ?
不動坊って、割と大ネタなイメージ。
出し惜しみしないで、多くの人が観る動画にアップするあたりがあざとい♪
「友人の結婚式の二次会に行くものの、良い出会いがないんです。自分の仕事を理解してくれるような男性がいいな」と、ある落語会のまくらで言っていた直後に即、金原亭馬久氏とご結婚。笑
一花さんは不動坊を演るときには、まくらでは『出雲の神様の縁結びの話』をするのだけども、今回は、いつものくだりを『32才女の落語家・35才男の落語家』に代えて話してました♪かわいい☆
控え目だけどパッと気を惹く。
そして、唯一無二。
元々演劇畑の人なので、役への入り方がうまい。
男性の役も見事に演じ分ける上に、“男性が演る女性”を、女性である一花さんは見事に表現する。初めて高座を聴いた時には震えた。
「まあ、可愛らしいわね〜♪」
どこかのご年配のご夫婦から感嘆の声が漏れることも良くある。
敢えて男着物を着て、少年っぽく見せているところにも計らいがあるのだろうな。この少年らしさと、清潔感のある女性らしさが、老若男女から愛される理由の一つでもあるのだろう。イヤミの無いところがいい。
フリートークでは一花さんの新婚生活や、オムライスの話。
新婚の一花さんの作ったオムライスがTwitter上で色々と物議を醸し出し、オムライスイジリからの、文吾さんの奥様のオムライスをお昼にいただくというほのぼのとした着地点。
一花さんのオムライスをキレイに作れないところが、またギャップ萌え♪
現在、“オムライスと落語の稽古中”だそうです。笑
↓このラジオでも“オムライストーク”が聴けちゃいますよー☆
文吾さんの「ねずみ」も古典落語。
既に知っている噺だけれど、文吾さんのは初めて聴きました。
やっぱりうまい。安心安定の文吾節。
文吾さんの高座はなにげに何度も観ているけども、あまり演目被りが無い。
他の噺家さんは、何度も同じ噺を聴いたりしているけど、文吾さんで2度同じ噺を聴いたのは『磯の鮑』だけ。
ということは、持ってる噺の数がとても多いのかな。
まだ二ツ目になって浅いのに。
割と開拓者精神旺盛なんだな。
ちなみに文吾さんの『磯の鮑』は、すごくおもしろい!
他におもしろいのは『書家政談』。
聴いたこと無い演目だなあ・・・と思っていたら、どうやら御自身で作った新作落語らしい。
古典落語にありそうで無い噺。すごく良くできていて驚く。
落語作家さんやシナリオ作家さんとかゴーストライターが作ったのでは無いとしたら、ホントに凄い!
やはり賢い人なのだと思う。
配信動画のゲストの人選、流し方やそのタイミングとか、“心付け”システムやおまけ動画の用意とかも、なかなか頭の良いしたたかなやり方をしている。そういうところも良いなと思う。
江戸弁で語るちゃきちゃきの威勢のよい江戸っ子。
若いのになぜか貫録があって堂々としている、漂う“昭和のスター感”。
往年の落語ファンであるお年寄りからも「若いがコイツだけは」と認められるタイプ。
いずれ、春風亭一の輔、柳亭小痴楽のように“華”のある噺家になるような人だと思う。
《こんな人にオススメ!》
○落語知らないけど興味あるよ!という人。
○とりあえず、古典落語がうまい若手を見てみたい!
○ 女性の落語家さんの高座を聴いたことが無いから聴いてみたい!
○ 未来の落語スターを早々に見つけたい。
とりあえず、このふたりを観るなら今だと思う。
世の中がこのふたりに気付いてしまうと、気軽には観られない存在になると思う。
そして、二人会は『高円寺・ノラや』でも開催されていたので、今後も開催されると思います。
きっと、お互いがお互いと組むと確実だなっ!と思って組んでるんだろーなー。笑
ガンバレ!文吾の配信落語#05 は、配信日から1週間程アーカイブが残るようです。↓
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