【前田五郎さんとの想い出②】
落語であなたの人生をナビゲート!おとうふメンタル〇ら落語コンシェルジュ®相山美奈子です。
五郎さんにお誕生日プレゼントを送ったら、お叱りをいただきました。
いいものをたくさんご存知なので、迷いに迷ってすっぽんのスープとおかゆ。おひとりだし、ちょっとの時に間に合うと思ったからです。すっぽんといっても高いものではない。舌が肥えていらっしゃるからお気に召すかなと思いつつ。
五郎さんはとてもマメで、すぐに電話やお手紙をくださいます。案の定品物が届いた日にお電話をいただきました。
「誕生日プレゼントありがとう。でもな、あれはいかん。人には分相応というものがある!」
その言葉に直立不動になりながら、ああ、やっぱり御不快になったのかな...と不安でいっぱいになった。
「今の僕には不相応なものや!人の分を越えた物を送るのは却って失礼なんや!」
?この一瞬意味が分かりませんでした。分不相応な小さいものを送って来たとおっしゃっているんだと思ったら、逆...?え!そんなことはない。むしろ私の方がもっと立派なものをお送りしなければいけなかったのに!と思いながら直立不動は続く。
「僕は誕生日にハガキ1枚送ってくれたらいいのや。それで十分嬉しいのや。それに君は仕事をしている。無駄なお金はつこたらいかん!」
ここでぼんやりしている私はやっと気がつくのです。五郎さんが、私に教えてくださっているのだと。贈り物にはお金がかかります。仕事でそんな無駄なお金を使ったらいけない。モノよりも言葉で十分嬉しいのだから。
ひとり起業の私にお金の使い方を教えてくださったのです。
緊張しながら平謝りに謝って、お礼を申し上げて緊張が電話の向こうに伝わったのでしょう。
「まあ、物もらっておいて怒るのはおかしいな。ありがとう!すっぽんは昔新地でよう食べたのを思い出したわ。」
そこは高級な歓楽街じゃない?そこと比べられると困るなぁ(また不安になる)
そこは五郎さん、東京の演芸はどうなの?コロナは?街は?ご両親はお元気?君は元気?と話を変えて謝りながらも楽しい会話で終わったのでした。
数日後、五郎さんから小包が。
そこには私の持っていない立川談志師匠の本がありました。
すぐさまお礼のお電話を。
「あれ持ってた?持ってない?そうかよかった。君が持ってたらどうしようかなと思ったんや。あれは僕の本や。談志さんのこと書いてあるから読んでみて」。
うわーなんという気遣い!芸歴60年近い人がこんなに気を遣ってくださるの?私どうしたらいい?ってちょっとパニック。
もちろんありがたく拝読いたしました。
文章では伝わりにくい、声のトーンやら間も心に響いてとても学びになりました。
衝撃的な出来事だと人は忘れません。お金の使い方、人に物を贈る時、さらにお礼など、人となりや生き方までが伝わってくる想い出でした。
そんな想いを胸に、せめてものご恩返しをと10月に落語会を開催します!
「Forever前田五郎~快楽亭ブラック毒演会」
2022年10月17日(月)
18時開場 18時30分開演
お江戸両国亭
前売 2,500円/当日3,000円
当日受付で、お名前をおっしゃって現金でお支払いください。
みなさまのお越しをお待ちしております。
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