「社畜」という言葉に関する良質な記事の紹介。実は「自分は社畜ではない」と感じている人は全体の86%。

情報…特にインターネットの情報をみると、労働者を何でもかんでも「社畜」と呼び、とにかく社会人の辛い面を書き連ねている人が多いように感じないだろうか。

ASD傾向でなんでも信じがちな学生からすると、労働者を何でもかんでも「社畜」と呼び、労働者の辛さを強調して話す現代の風潮は、大人になることへの不安を無意味に増大させると
いうことは先日語ったばかりである。(詳しくはプロフ固定記事で)

このテーマについて、良い記事を発見した。

タイトルこそ不安を煽るものであるが、中身は86%の人は「私は社畜ではない」と答えたということである。

もっともこの記事では「私は社畜です」と答えた人の中から、書かれたエピソードの特に頻出するワードを取り上げる形になっているのだが、社会人になることに過度に不安を抱く若者にとってはこのデータは大いに助けになるものであろう。

後半部分は定量データでこそないが、具体的なデータで考えることは重要だ。

思うに「社会人は辛い」という言葉だけが一人歩きしており、「何が辛いのか」を学生が知る術はない。特に視野の狭いASD傾向のある学生にとっては。
しかし今回のデータにより、本質的には「時間」や「残業」が(少なくとも自分は社畜だと答えた人の中での)答えとなる。

恐るべきものが具体的な形を持てば、恐れは減らすことができる。我々は「知らない」ことに対して一番恐れを感じるようにできているからだ。


このアンケートは8000人以上の回答を受けている。あくまで「自分を社畜と感じるかどうか」の質問ではあるが、それでも…

インターネット上ではまるで全ての社会人が辛そうに生きているように描写されるが「実際には日本人のほとんどの人が死にそうな辛さで生きている、というわけではない」という前回建てた仮説はある程度立証されたのではないだろうか。



問題は記事のタイトルが「自分が社畜だと感じていない社会人は86%」ではなく、『「あなたは『社畜』だと感じたエピソードはありますか?」とGIGAZINE読者に尋ねたアンケート結果とは?』となっていることだ。

商売だから、「安心感を与えてしまうタイトル」は当然つけることができない。仕方のないことだ。ある程度不安を煽った方がクリック率が高くなるからである。

実際にはこのように、タイトルでは問題が【ある】前提のようなものでも、実際に中身を読んでみると【問題は存在しない/小さい】というタイプの記事はよくあるのだろう。しかし不安でいっぱいいっぱいになっている人は、そのような不安を煽る…少なくとも安心感を与えるものではないタイトルの記事を開くことはない。

「自分の予想通り、もしくはそれ以上に世界は悪いものかもしれない」という不安に打ち勝たなければならないからだ。

利益度外視で、「人の不安を解消していくサイト」を作りたいと思ったものだが、これはまた別の話にしよう。

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