見出し画像

「廃部」 原案:あんけいよー

【原案】
とある高校の部室に、数名の男女が集合していた。その部室は現在どの部活のものでもない。今まであらゆる部活がその部屋を使っていたが、必ず廃部になっていた。これを不思議に思っていた生徒がいままで廃部になった部の部員を集めて話を聞く……

「急にお呼び出ししてすみません。改めまして女子高生探偵の漆原(あかりです。さて今日、ここに集まってもらったのは他でもありません。みなさんご存知のようにこの部室を使用していた部活動が3連続立て続けで廃部になっています。まったく、事件の香りが強すぎて服にまでうつりそうです。なんでもありません。とにかく、一体、この部室で何が起きたのか。どうして廃部になったのか。よければ私に話してくれませんか」
 
 今、私の学校で起きている最大の事件がこの「三連続廃部事件」だ。他にも数学教師が謎の数式を残して失踪したり、毎週、予告通りに備品が盗難にあったりしているみたいだけど、そっちは、なんとなくパスだ。
 とにかく、女子高生探偵の威信をかけて目の前の事件を解決することが大事なのだ。早速、当事者からの事情聴取を始める。
 
 「そうですね。とくに事件があったわけではなく、部員の一人が急に『フォークソングで世界を救う』とか言いだして、で、そのまま廃部です」
 そう語ってくれたのは文芸部の岡本さん。私にはわかる。この人、嘘をついてない。
 
 「僕らもです。なんとか人数は揃ったのですが、いざ活動を始めてみたら、同じく部員の一人が急にギターをへし折って『こんなんじゃ世界は救えない。それより私、舞台で輝きたい』とかなんとか言い出して、やっぱり人数足りなくなって、廃部です」
 
 へし折られたギターを愛おしそうに抱えながら、フォークソング部の中川先輩は語った。そしてジョンレノンモデルの丸メガネ越しに、私を睨む。私にはわかる。嘘をついていない人の目だ。
 
 「ええと、なんかクラスの友達が急に『宝塚を目指すから手伝ってと』かなんとか言い始めて、え、あんたまた部活変えたの?とか驚いてたんだけど、結局流されるままに何人かで宝塚部?に名前だけ貸して、で、何週間か経ったら立ち上げた本人が『私、女子高生探偵になる』とか言いだして、そのあとは知らない。廃部になったんだ。てか、あかり、何この時間?教室戻っていい?小テストだから単語覚えたいんだけど。あと貸した『コナン』、弟のだから早く返して」
 
 こう語るのはクラスメイトで、一番の仲良しの春香。親友だからわかる。春香は嘘なんかつく子じゃない。
 
 さてこの三人の話を整理すると、早い話がとくに事件もなく、ただ人数が足りなくなったから廃部になったってことらしい。
 腕を組み、眉間にしわ寄せ考える。考える。考える。少し寝る。考える。

 導き出した結論は、迷宮入り、だ。

 「ということで、みなさん、ご協力ありがとうございました」
 目を開ければ、すでに部室は空っぽだった。困った。あわよくば、部員に勧誘しようとしていたのに。
 
 はてさて、私が立ち上げた「探偵部」は部員数、活動実績、どれも不足していたためあっけなく廃部となった。
 
 でも、そうなると、やっぱりこの部室、おかしい。結果としてまたしても、この部室を使った部が廃部になってしまったのだから。

 「そうか、呪われているんだ」
 合点がいった。これはもう霊的な力で解決するしかない。
 
 よし、次は女子高生霊媒師・漆原あかりの出番だ。そのためには「霊媒部」を立ち上げないと。みんなも、おいでよ!

いつもいつも本当にありがとうございます。