岐阜といえば、自販機。 (1581 字)
「自販機ってなんで岐阜にしかないんかな」
自分なりに思い切ったつもりだったのに飯島とくれば、「んあ」だ。
振り返りもしない。教室の窓からテニス部の練習を眺めている。
あほ。飯島の、あほ。
「小西さん、まだ委員会だよ」
「別にそれ目当てじゃねえし」
あほで、しかも分かりやすい。
漫画だったら耳が赤くなったり、汗が吹き出したりしているだろう。
「ねえどう思う?自販機」
「どうって何が?」
「なんで岐阜にしかないの?」
そんなに私は変なことを訊いているだろうか。飯島はちょうどアマガエルが細い草を登っているときのような首の傾け方をする。どうせ伝わらないので口にはしない。
「そりゃあ、岐阜の、名物、だから、で、は?」
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