変革期を生き抜く“次世代の不動産人”とは -前編-
2023年1月17日、らくだ不動産では業界のみなさま向けに日頃の感謝を込めて、トークセッション&業界交流イベント「らくだ不動産感謝祭」を開催しました。
株式会社エンジョイワークス代表取締役福田和則氏をゲストにお迎えし、らくだ不動産顧問の長嶋修、同会長・風戸裕樹とともに「変革期を生き抜く“次世代の不動産人”とは」をテーマにトークセッション。お酒を飲みながらの大変楽しいイベントとなりました。
イベントの様子はYouTubeで公開していますので、よろしければご覧ください。
2023年の不動産業界の将来とは? 現状や課題から詳しく考察【前編】
2023年の不動産業界の将来とは? 現状や課題から詳しく考察【後編】
本編では、YouTubeに公開された動画コンテンツをテキスト化し、一部編集を加えたものを掲載致します。では、どうぞお楽しみください!
●登壇者
株式会社エンジョイワークス 代表取締役/福田 和則
らくだ不動産株式会社 顧問/長嶋 修
らくだ不動産株式会社 取締役会長/風戸 裕樹
らくだ不動産株式会社 副社長執行役員/山本 直彌
らくだ不動産株式会社 エージェント/村田 洋一
[ファシリテーター]
らくだ不動産株式会社 代表取締役社長/大西 倫加
※各人のプロフィールはこちらをご覧ください
大西 みなさんこんばんは。もう松の内開けちゃったんですけれども、明けましておめでとうございます。いつも本当にありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
今日は、普段から大変お世話になっているみなさまに感謝の気持ちを込めて、直接なかなかお会いできる機会もないここ2年ぐらいでしたので、一人ひとりの方々とお礼を申し上げながらお話をさせていただいて、軽くごはんなど食べながら未来の不動産業界を語り合うと、そういう場にしたいということでこの企画をさせていただきました。
ちょうどその企画にふさわしい素晴らしいゲストをお招きしておりますので、ご紹介させていただきます。クラウドファンディングを活用した空き家再生、そしてまちづくりの第一人者でいらっしゃいますエンジョイワークスの福田さん、よろしくお願いします。簡単に自己紹介をお願いします。
福田 エンジョイワークスの福田と申します。みなさんこんばんは。すごくいいようにご紹介いただいちゃいましたけれども(笑)。
大西 違うの?(笑)
福田 ええと、うーん(笑)。ぼくたちエンジョイワークスっていう会社は鎌倉にありまして、いま16期目の会社です。初めの10年ぐらいは不動産の仲介や管理、建築設計をさせていただいてまして。そのあと、ファンドを活用して、地域のみなさんと一緒にまちづくりをするとか、空き家の再生をするってことをここ5年ぐらいさせていただいております。今日はよろしくお願いします。
大西 よろしくお願いします。そしてトークセッションにご一緒させていただくのは、今年かららくだ不動産の顧問になりまして、不動産コンサルタントとして今はYouTuberとしての活動のほうが中心になっている長嶋です。
長嶋 この前まで役職ついてたのに、顧問に格下げになっちゃって(笑)。
大西 先月まで取締役だったんですけど、それがなくなりましてただの顧問に(笑)。
長嶋 「ただの」って(笑)。よろしくお願いします。
大西 そして、去年までらくだ不動産の副社長をやってもらっていて、今年からですね、こんなに若いのに取締役会長になってもらいました。不動産業界ではもう大ベテランで、みなさんご存知の方も多いと思うんですが、風戸です。
風戸 らくだ不動産の会長を長嶋さんから引き継いで今年から会長になっております風戸と申します。今日はいろいろお話できればと思いますので、よろしくお願いします。
大西 みなさんご存知だと思うんですけれども、今日のテーマでもあるのでちょっとだけご紹介しておくと、風戸さんはご自分で海外不動産を扱う会社もやってらっしゃるんですよね。
風戸 そうですね。2016年にシンガポールで設立したプロパティアクセスという会社です。そこでは主に東南アジアの不動産取引と、あと世界の他の国の不動産の情報をイベントやオンラインのミーティングなどを通じてご紹介する会社です。
大西 ありがとうございます。セッションの前半はこの3名で、後半の頭出しのような形で今日のテーマ「変革期を生き抜く“次世代の不動産人”とは」について、事前にお申し込みいただいた方からいただいたご質問も挟みながらお送りしていきます。
後半は、らくだ不動産のエージェントも交え、みなさまからもご質問をいただきながら、不動産業界がどうなっていき、どうやってその変革期を生き抜くのかというお話をさせていただきたいと思います。
それではまず、長嶋から簡単に2023年の不動産市場の展望について、お願いします。
長嶋が解説!「2023年の不動産市場の展望」
長嶋 まあ今日はお集まりいただいているみなさまが業界人なんでね、ちょっと端折って話します。今のような状況が作られたのは、2012年に民主党から自民党に政権交代して、翌年春ぐらいからアベノミクス、黒田バズーカがあってから。途中でいろいろなことはありましたが、大都市部を中心に不動産価格が上げてきて、日経平均と同じぐらいの軌道ですよね。これが2018年、2019年あたりにちょっと頭打ち感みたいなことが出てくる中で、コロナになってしまったと。
そして、2020年4月に緊急事態宣言。あの頃は不動産取引が止まってしまった。ただリーマンショックとかと違うのは、投げ売りやダンピングが新築でも中古でも起きなかったですよね。あれは期間が短かったっていうことも大きかったと思うんですけども。
一時、東京から人が逃げ出すとか言われていましたけど、そんなこと起きなかったですね。むしろ、「より都市に近いほうがいい」「より会社に近いほうがいい」みたいなニーズが強まると同時に、あとは住まいに対する見直しが入ったと。ということでマンションも戸建てもニーズが強まっちゃって。今や変動金利でローンを借りてる人が全体の7割だよ、みたいな状況で、需要がむしろ吹き出す形のここ2年ぐらいだったと思うんですね。
それが去年の前半ぐらいからかな、地域によって違うと思うんですけども、そのニーズも一定程度、頭打ち感が出てきました。都心部から郊外に広がるような形の波が一通り終わったよね、みたいな。そして、今は金利上昇の足音みたいな感じで、具体的に言えば0.25%近傍から0.5%ということになりました。しかし、もう10年国債が0.5%を超えている中で、ほどなくまた、政策金利が上がると思うんですよ。
とは言っても、これは固定金利に影響を与えるだけです。7割変動で組んでるわけですから変動には影響がないので、というようなマインドがどうなるかなという程度ですけど、この程度の金利上昇の感じなのであれば、かつてのような勢いが消えちゃったとしても、まあなんとなく、今年1年は終わるんじゃないかと思いますけどね。
しかし、この数年間は突発的なことが起こりまくりですよね。年明けたらいきなりウクライナとか、年明けたらいきなりコロナだ、みたいなことが起きないとも限らない。何があっても驚かないほうがいい1年、ということかもしれません。
大西 業界的にはですね、日銀総裁も変わるっていうことで、けっこう冷え込むんじゃないかっていう悲観的な見方をする方も多いですよね。実際、今は郊外を中心に止まり始めてる、みたいな記事も出始めたりしていて、懸念されてる方もいらっしゃるんじゃないかなと思うんですが。長嶋さん的には、そんなに大きな変化はなく、さっき言った予測不能な事態を除けば市場としてはぼちぼちな感じで続いていくんじゃないかっていう見立てでしょうか。
長嶋 メディアは大げさなんですよ。ものすごいバブルなのか、崩壊なのか、みたいな。恐怖感かユーフォリアか、みたいな。
先日、雑誌の対談企画のインタビューがあったんですよ。俺はどっちかっていうと、いま言ったぐらいのトーンで。むしろバブル化する可能性も一部ではありますよ、みたいな。で、対談のお相手がバブル崩壊派なんですね、あの榊(淳司)さんなんですけど。
でもね、記事が上がってみると、俺のインタビューは削られて、全部榊さんの記事になってるんですよ。編集部からは、「大変申し訳ありません。今回はバブル崩壊のテーマで行きたいんです」みたいな連絡はありましたけどね。で、「別に構いませんけど、今年はバブル崩壊はしないと思いますよ」と言ったところ、その担当の方も「私もそう思うんです」って(笑)。というわけで、バブルが崩壊するという事態には、今年はならないと思います。
大西 いきなりオフレコ話から始まっちゃったんですけど、アーカイブに残しますからね(笑)。でも、せっかくお越しいただいたのでぶっちゃけていきましょう。
さっき長嶋さんの話で、ライフスタイルの見直しだとか、メディアが言うほど地方への移住は進まなかったし、結局都心に人が集まった、残ったという内容がありました。ですが、その一方で一部のエリアに関しては、ライフスタイルの見直しみたいな影響が大きかったと思うんですよね。
ライフスタイルの見直しの影響を受けたエリアの市況は
長嶋 鎌倉、湘南あたりね。
大西 どうでした?
福田 実際、物件がもうないですね。
大西 めちゃくちゃ上がりましたよね。見てる間に上がっていった。
福田 この2年で、僕が持っている不動産を2軒ほど売りました(笑)。いやー、でも実際そうですね、いまでも続いてますね。湘南エリアはちょっと特別なところもあるのかなと。
大西 それは移住ですか? それとも二拠点生活みたいな?
福田 両方ですね。移住の方もそうですし、やっぱ働き方はだいぶ変わったと思いますよね。なので 二拠点の方もけっこう多くて。
おもしろいケースとしては、「週末ハウス」ってあるじゃないですか。別荘を買って週末に来て、平日は東京で仕事をする、というのがこれまでのパターンだったと思うんですが、逆のパターンも出てきて。平日に湘南の別荘に来て。平日の街がゆったりしている中で、その街らしい暮らしを楽しむ。日中はリモートで仕事をして、夜は街に出て楽しむ。週末は、その別荘が高く貸せますから、自分は東京に戻って別荘は誰かに貸す、と。そういう人が出てきたんですよね。そのへんは、いままでなかった動きだなと思います。
大西 それはおもしろいですね。しかも、土日の鎌倉ってめちゃくちゃ混むじゃないですか。正しい姿ですよね。
福田 ええ、けっこう正しいです。
長嶋 しかも駅からけっこう遠いのに「高いなあ」、みたいな。もう、駅からの距離は関係ないですよね。
福田 駅からの距離で物件の価値が決まるわけではないですよね。やっぱりね、鎌倉には山や海がありますから。
大西 福田さんとしては、そういう動きがこの先も周期的に続いていきそうだと思いますか? あるいは、湘南だけではなく、そういう風になっていきそうなポテンシャルのあるエリアがどういうエリアなのかということをみなさんにシェアしていただきたいのですが。
福田 さっきの長嶋さんのお話のようにみなさんが都心から退去して郊外に移るということは、まずないと思うんですよね。ただ一方で、いろんな郊外や地方に関わりを持てるようになった人は増えているし、これからも増えるんじゃないかと。まあそれは一つ、働き方の話もあるし。今や、幼稚園とかも固定じゃなくて地域ぐるみで、みたいなサービスも出てきてますから。非常に動きやすくなってることを考えると、みなさんがこういろんなエリアに関わりを持っていくようになるだろうと。
じゃあどういう場所にみなさん行くのかとなった時に、決して何か観光名所があるような場所に行きたいとかってことではなくて。やっぱり、なんかおもしろいことやってる人のところに人が集まるみたいな傾向はあるのかなと。その人に会いに行くとか、その人のやっていることに関わりたいとか、そういうことはあると思います。
大西 「人」ってすごい大きな要因だなと私も思ってて。でもその動きって、まちづくりとか、もっと言うと「旅」が少しずつこのコロナの前から変わってきていて。旅の目的が場所とかコンテンツじゃなく、おもしろい人に会いに行くとか、会いたい人に会いに行くみたいな感じになってきてますよね。
福田 それはそう感じますね。結果としてね、なんかその人がいるからちょいちょい会いに行ってたらその他におもしろいことも出会って、そこが好きになっちゃって移住するみたいなケースはまあけっこうあるかなと思います。けれど、まずきっかけはやっぱり人。
大西 これからやっぱり、エリアや街の価値って、どれだけおもしろい人にその街が愛されるかというか。そこにどれだけのおもしろい人がいるかっていうのが、街の価値になってくるんだろうなって。
福田 そうですよね。僕もそう思います。例えばスマートシティとかスーパーシティということを標榜してまちづくりをされる地域もあると思うんですけれど、それはそれでいいし、またそれをされるプレイヤーのみなさん、力のある大手企業のみなさんはそれを試されると思いますし。
僕らには逆にできないんですけれども、逆に僕らとしてはスマートシティを作るというよりも、例えばスマートシチズンを増やすみたいなことを目的というか目標にして活動してるとこはあります。
大西 この話もっと掘っていきたいんですけど、ちょっとすごい時間がアレなので、ローカルな話からもうちょっとグローバルな話へ。
そんな日本から、世界的にもいますごい変革期にある中で世界の不動産市場にも揺らぎが起こっていると思うんですけど、海外不動産市場の動向をちょっと風戸さんに外観を話していただきたいなと思うんですが。
海外の不動産を持ちたい人はどこに注目すべきか
風戸 やっぱりこのコロナをはじめ、2020年からすごく大きい変革が起きて一番大きい要因っていうのは、やっぱり金融緩和を各国政府が行って利下げをして、で、いま利上げというふうに戻っている局面になっているので、かなりですね、今年は価格が大幅に下がる可能性を秘めている国が多いのかなと思います。
一方で、そんなに金利の変動がないので日本はちょっと特殊だと思うんですけれども。そういった中で他の新興国の中で言うと、海外で不動産が売れていた国っていうのは、コロナで金利が下がってもやっぱり販売が止まったし、一定の停滞があったというところもあるので、それが金利がまた戻ってローカルがちょっと買いづらい状況でも海外のお金が入ってくるみたいな。こういうのが2023年の動きだと思うので、下がる国、ステイする国、ちょっと上がる国みたいな形で、年ごとになると思うんですけど分かれるかなと思います。
大西 その時に海外の不動産を持っておきたいという人たちがどういうところに注視しておくとその大きな流れを見誤らないでしょうか。
風戸 自分が住みたい場所ですね。これはもう間違いないと思うんですけど、例えば台湾の方が海外の不動産を買う理由ってやっぱり、台湾有事が起きた時に自分は二拠点持っていたいというニーズが基本的にあるんです。
昔からインドネシアの人がシンガポールの不動産をすごく買ってるんですけど、その理由は、インドネシアルピアという貨幣を信じてないからシンガポールドルに変えておきたいということ。しかも、近いからすぐ行ける、住める。こういったニーズなんですよね。
なので日本人としても、日本は平和と言いながらも北朝鮮のミサイルのことがあるし何が起こるかわからない中で、自分がここだったら住んでもいいなっていうところに投資用としても持っておくっていうのが一番見誤らない方法なのかなというふうに思います。
長嶋 いまみたいな話って、日本にいるとよくわかんないですよね。有事と隣り合わせみたいな感覚もないし、自分とこの通貨はどうで、とか。
日本だってどうかと思いますけど、まあでも、昔言ってたキャピタルフライトみたいなことは全然起きないし、海外移住が盛んになるわけでもなく。
福田 そういうことを考える人あんまりいないんじゃないですか。そういう意味では、いまのお話は金利差が当然生まれるって話だと思うんですけど、為替、通貨はどんな感じになりますか?
(中編へ続く)
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