#深夜特急をたどる旅 香港・マカオ
言わずと知れた紀行の名作、沢木耕太郎さんの『深夜特急』。旅好きの私も文庫で全巻持っている。
ことし4月から、その『深夜特急』をTBSラジオで斎藤工さんが朗読するという垂涎ものの企画が始まった。香港からロンドンまでの旅をほぼ全文、半年かけて声で旅する。
『深夜特急』の関連企画といえば、90年代にドラマ化されて大沢たかおさんが沢木さんを演じていた。
『深夜特急』の愛読者だったという斎藤工さん。大沢さんの次世代の「沢木さん役」としてバトンを受け継いだのだと勝手に感じている。この企画を機に初めて知ったが、斎藤さんと私は同い年だった。
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さて、ウズベキスタンやアイスランドやイスラエルなど、いわゆるマニアック国への渡航経験を持つ私だが、実は香港・マカオ、台湾、韓国など「いちばん行きやすい海外」は未経験だった。
旅を始めたのが30歳からと遅咲きのため、1歳でも若いうちに「行きにくい」地域から行こうと思っていたからだ。近いところは、年を重ねてからでいい。
しかし、久しぶりに『深夜特急』の1巻、香港・マカオ編を読んで、香港の熱気に浮かされた。行ってみたい。年を取ってからじゃなく、今!
そう思って「沢木さんが訪れた場所を、可能な限りなぞる」をテーマに、およそ一週間の予定で香港・マカオを旅した。2018年のことである。
沢木さんが旅に出たのは1974年。あれから40年以上経っているから、そのおもかげは残っていないかもしれない。でも、後になればなるほど「深夜特急らしさ」はもっと少なくなっていく。
行ってみた結果、やはり大きく変わっただろうことは多かったが、変わらないのだろうというポイントも、思いのほかあった。
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この旅のことはFacebookで友人向けにちょっと発信したくらいで、とくに記録にしていなかったし、記憶からも遠くなっていた。
しかしこの春、朗読番組を聞いているうちに、「あ、放送に合わせてあのときの旅の写真をツイートしたらいいんだ」と気がついた。ツリーにつなげると、ちょっとした旅日記になってきたのでここに貼っておく。
もしかしたら後日、ちゃんとした記事にするかもしれないけど、今のところこれで。
〈香港〉
〈マカオ〉
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ようやく、個人が観光目的で海外を旅する日々が戻りつつある。2019年以前に比べると、フライトの減便&価格の高騰、円安、世界情勢の不安、そしてやはりある感染リスクとネガティブな要素は増えた。
が、この3年で私たちはわかったはず。
行きたい場所には、行けるうちに行っておけ。
まさに今、『深夜特急』のあとがきにある沢木さんの
という言葉が迫ってくる。