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地図記号は日本人用と外国人用で違う。どちらがわかりやすい?
通訳ガイドのぶんちょうです。少し前の話になりますが国土地理院が一部の地図記号の変更をしました。理由のひとつは東京オリンピック・パラリンピックの時の外国人旅行者の円滑な移動です。
地図記号は通訳案内士の国家試験にも出るので、試験の時は小学校の社会科で習った、遙か遠い記憶を頼りながら覚え直しをしました。忘れているのもありましたが、記号はなかなか面白くて、けっこう楽しんで覚えたような記憶があります。この記号、覚えていますか?
私はすっかり忘れていましたが、
消防署の記号は、消防署をあらわします。消防署の支所、出張所や分遣所も、消防士の人がいつもいるところはあらわしています。この記号は、むかし、火を消す道具として使っていた「さすまた」の形を記号にしました。
(国土地理院公式サイトから引用)
消防署です。理由があると、やはりわかりやすいですね。次はこれです。
これは桑畑の記号ですが、現在は廃止になっているそうです。工場、塩田、電報電話局など時代と共に消えて行った地図記号があるというのは知りませんでした。
逆に新しく追加されたものもありました。これは何でしょう。
老人ホームでした。なるほど家の中に杖が見えます。これは覚えやすそうです。
これは風車つまり、風力発電機です。これも言われてみるとなるほどです。
さて本題ですが、オリンピックを見据えて新たに外国人向けの記号が15個作られました。「外国人向けの」記号です。つまり、外国人用と日本人用と別のものが存在するようになりました。例えば、
(国土地理院公式サイトからの引用)
上記の図の左が日本人向け、右が外国人向けです。
交番がX印は確かにわかりにくいですね。2本の警棒を表しているそうです。外国人用はお巡りさんのピクトグラム的なものになっています。
郵便局のマークはかつての「逓信省」の頭の文字のカタカナの「テ」が由来ですので、外国人にはわかりませんよね。
外国人用の封筒マークは現代の日本人にもわかりやすいと思います。個人的には「〒」のマークのシンプルさがとても好きで、郵便制度の歴史も感じられるので、今後も変わってほしくないと思っています。
「H」で表す日本人用の「ホテル」はヘリポートの印みたいという意見があり、ベッドの絵になったようです。これもわかりやすいです。
ちょっとうれしかったのは、温泉のマークが日本人用も外国人用も同じだったことです。湯気が3本立っているお馴染みの印。長いこと親しんできたものは地図マークでも愛着を感じます。
温泉マークをツアー中に見かけると、「これはね!」と説明を始めるのもガイドの楽しみのひとつです。
外国人用の地図記号は、外国語のパンフレットなどに記載されるので日本人が目にすることは少ないかもしれませんが。
明日は、賛否両論、お寺の卍マークについて書いていきます。