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日本語に詳しい外国人が増えている

通訳ガイドのぶんちょうです。
ガイドをしていると日本の文化習慣や、日本語に興味を持つ人は、年ごとに増えていると感じている。
そして、一部の日本語も国際語としての地位がますます高まっているのかも。

例えば、Umami (旨み)と言う言葉。私の感覚では、7,8年前の認知度は半数ぐらいだった。それが、いまや知らないと言う外国人はまずいなくなった。うま味?もちろん知ってるよ、みたいな反応なのだ。

ただし、その旨みが、どう活かされているのか、日本料理の中で、どんな位置づけにあるのかまでは、やはり、ほとんど知られていないようだが。

食べ物でも、天ぷら、寿司、ラーメンではなく、
「鮎を食べてみたい」
「鯨肉はどこで食べられる?」
「フグを食べられるレストランを教えて」
と言う「上級者」も登場してきた。

「焼き鳥はハツがおいしいね!」には度肝を抜かれた。「フツーの外国人旅行者は、焼き鳥大好きでも、モモとネギマ止まりだから、あなたすごいよ」と褒めちぎる。

言葉については「ありがとう」や「こんにちは」程度の言葉は、ほぼ誰でも知りたがり使う。でも、これは現地語学習一夜漬け組の話。私の話でもあるわけだが……。

昔は、飛行機に乗り込んでホッとすると、お守り程度に持ってきたガイドブックを開く。その巻末のおまけみたいな「現地でよく使うフレーズ」的ページをカタカナで読む。でも、おまじないか、お経にしか思えない音の繋がりは眠気の助けにしかならない。そうこうしているうちに空港に到着。覚えたはずの「ありがとう」さえ、咄嗟には出て来ず、ヘラヘラと無意味な笑いでごまかした私のことだ。

時は過ぎ、ネットで実際の発音も聞ける時代の到来。素晴らしい!でも、「パ」だの「ギ」だのと、やたら、テンテンやマル付きの言語は、たとえ音声になってくれたとて、私にとっては、ただ意味のない音の繋がり、単なるマジナイに過ぎなかった……。

ういんがーでぃあん、らびおーさ。

話がぶっ飛んでしまった。来日外国人の話に戻そう。よくあるミスは、ありがとうと言うべき場面で、おはようなどと言ってしまうことだ。

レストランを去る時に、私が、ご馳走様でしたと言う場面で、外国人はよく「ありがとう」とお店の人に言うのだが、そこで「おはよう」と言ってしまう。

会計を終えたお客さんに突然、おはようと言われた時の店員さんの反応に違和感を感じて、救いを求めるかのように、こちらを見る。おはようって何だっけ?と。おはようはGood morningだよ。しまったと言う顔をして苦笑いする外国人。

そうだ。失敗から学ぶのじゃ、とばかり私は知らん顔。店員さんに向かって、あの、この人は日本語覚えたてで……。なんてフォローはしないよ。ついたガイドが悪かったね。私は、語学の鬼教師となる。

はい、日本語でお水を頼んで!

この人も私と同じ一夜漬け組だから、数個のマジナイ言葉を使い回してるだけだけ。それなのに、いや、それだから出番を間違える。「だからあ、会ったばかりの人にご馳走さまって、それ違うからね!」

この人が、ほんとのまじない師でなくてよかった。ツアー中に私がネズミにでもされたら、かまわない。

外国語のマスターってほんとに難しいと思う。日本人は、少なくとも小学校でアルファベットまで書けるようになっている。すごいアドバンテージだ。

でも彼らは違う。

平仮名を全部覚え、カタカナをさらに覚える。それだけでは、生活することもままならない。その後は、無限の漢字学習が待ち受けているのだ。そんな日本語をマスターしようと考える人のバイタリティはすごいなと思う。私なら、そんな複雑怪奇な日本語なんて挑戦する気にもならないだろう。

それでも、日本語をなんとか使えるようになりたいと思ってくれる人がいる。うれしいことだ。

漫画の影響は大きい。漫画に描かれた日本人像がかっこいい。そのかっこいい人の話す言葉をしゃべってみたいと思うみたいだ。

言葉だけではなく、日本的な仕草や返しがとても日本的な人もいる。やはり若者に多く、映像媒体のチカラはすごいと思う。

日本語をほめると「いやいや、まだ大したことないです」なんて顔の前で手をヒラヒラさせながら言われるとドキリとしてしまうのだ。







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