英語を習うならネタごと
通訳ガイドのぶんちょうです。私のところで英語と日本文化について学んでくださった主婦の方たちの話です。彼女たちは通訳案内士志望ではなく、ボランティアや外国のお友達に街案内がしたいという動機で、まず日本文化と、その英語表現を学びました。
日本文化を学ぶことは語学レベルとは関係なく、ほとんどの人に興味を持ってもらえます。全く新しいことを知る、というより、慣れ親しんでいること、当たり前の物事の背後にある理由を知って、深く納得する経験がやみつきになるような感じです。むか~し、テレビでやっていた「へぇボタン」を連打したくなるような。この意味がわかる年代の方が受講者でした。
講座中に、実際に街に繰り出し、外国人観光客にガイド経験もしてもらいました。「すごく緊張したけれど、普通ではできない経験でした」と言ってもらえ、うれしかったのを覚えています。
その後、そのスクールの閉鎖もあり、しばらくは講座がなかったのですが、コロナをきっかけに、新しく、あるカルチャーセンターで講座を開いています。
「通訳の技法を使って英語力アップ」という講座ですが、ここで彼女たちは英語としっかりと向き合って勉強する決心をしました。
日本文化と通訳の技法を学んだことで、彼女たちは英検の2級くらいの実力ですが、難関の通訳ガイド試験の口頭試験に要求される位の通訳内容でも、英日通訳なら軽くこなせるくらいになっています。
これは日本文化という特定のジャンルでの基本表現を身につけたことと、通訳のコツを学んだ結果です。
語学のジャンルって、非常に広いです。政治、経済、IT、医療、細かく挙げるときりがないです。通訳も翻訳もそのジャンルでの(日本語レベルでの)知識がないと、うまくできないですよね。そもそも日本語で語れないことを英語で語れるわけがない...。
このジャンルのなかで日本人が誰でもエキスパートになれるのは日本文化です。すでに実践者なわけですから。政治の、医療の専門家ではなくても、すでに日本文化の専門家です。だからこそ、日本文化は外国人が耳を傾けてくれる話題なのです。日本に精通した外国人以外は、ですが。
なので私は常に初心者の人にも日本文化の素材で英語を学ぶことをおすすめしています。英語の勉強をする時にネタも一緒に学ぼうよという意味です。
そうすることで、英会話の延長として堅苦しくない、楽しい話題を提供できるようになります。挨拶を覚えておしまいではつまらないです。
ところで、日本文化で勢いのついたふたりは今、資格試験に挑戦すべく英文法を徹底的に学んでいます。いい結果が出ることを待っているところです。