上野アメ横商店街は闇市がルーツ
通訳ガイドのぶんちょうです。毎年、年の瀬になるとアメ横のにぎわいが年末の風物詩のようにテレビで放送されます。ある年の12月30日に東京のツアーで外国人観光客とアメ横に行きました。正確に言うと入り口まで行き、引き返しました。
とにかく人が多いのでまともに歩けそうもないくらいだったのです。普段からアメ横商店街は活気にあふれています。JR上野駅から御徒町駅にかけて高架下沿い500メートルくらいの間に店がひしめきあっています。
ちょうどYの字形に、アメ横(アメヤ横町商店街)と上中(上野中通り商店街)の2本の通りに分かれています。この2本の他にも路地などにさまざまな店がひしめきあい、この界隈は独特の雰囲気を放っています。
生鮮食料品の並ぶ辺りは、ちょっと築地のような雰囲気で色々な魚が並べられており、各店でいつも大きな声でお客さんを呼び込んでいます。通ると必ず声をかけられますが、残念ながらツアー中なので生の魚をその後持って歩くわけにいかないので雰囲気だけ味わっています。
外国人を連れて歩いていると、こちらが聞いてもいないのに「この魚はね」と説明を始めたりするのも築地同様、人好きで陽気なおじさんです。ほかには靴屋さん、洋服屋さん、カバンやさんなどが目立ちます。私の仕事で履きつぶすスニーカーと帽子は仕事帰りにここ上野でゲットしました。
面白いのは閉店サービスの店です。連日アメ横に来ると「本日が最終日です。全品半額です。急いでくださいねー」とスピーカーを通して絞り出すようなガラガラの声。あれ、きのうもそう言ってたよね。先週も?いやいや細かいことは気にしないのがアメ横ルールということで。
上野界隈は飲食店もたくさんあるので、ツアー中のランチにも事欠きません。1本裏の通りに入れば、外の椅子とテーブルに腰掛けて昼間から楽しそうに飲んでいる人たち。若い人から初老の人たちまで、気取りのない店に集まる気取りのない人たちが作る雰囲気に、ほほえましさを感じます。
お客さんがTシャツを買った時のことです。アメ横は値切れると聞いていたのですが試したことがありません。お客さんと一緒に数百円値切ってみると、なんとOKしてもらえました。外国人観光客と一緒だったせいかもしれませんが、ほんとに値切れるんだ!とちょっとびっくりでした。
ここは六本木や青山と同じ東京というひとつの町のなかの別の顔です。こんな色々な顔を持った東京と言う街に、たまらない面白さを見いだしているのが外国人観光客たちかもしれません。
このアメ横ですが、戦後に各地で生まれた闇市の流れを汲んでいます。食糧のない時代に屋台などが集まり食糧や生活必需品が無許可で売買されていたため闇市と呼ばれていたものです。
そしてアメ横、すなわち「飴屋横丁」の名もその時代から来ています。戦後、砂糖は贅沢品でしたが、その砂糖、(おそらく本物ではなくサッカリンのようなもの)や飴が売られていたので、アメ横になったという説。もうひとつは、アメリカの進駐軍の物資が売られていたのでアメリカの文字を取ってアメ横になったという説があるようです。
たまにはアメ横界隈の昭和レトロな小さい焼き鳥屋さんで一杯どうですか。
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