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ガイドの夏講座を終えて

通訳ガイドのぶんちょうです。
ガイドの仕事は、夏は春秋に比べて仕事の量が減ります。

やはり旅行は、暑くも寒くもない快適な季節にしたいと思うのは世界共通ですよね。

私の夏はガイド業を抑えて、講座のほうに力を入れています。今日は、その講座の中の一つについての話です。

今年も、朝日カルチャーセンターさんからの出講依頼をいただき、夏だけの短い4回講座を終えました。

私は、自身がガイドとして働くことの他に、多くの方に、この仕事のことを知っていただいたり、ガイド試験を受ける方のお手伝いをしたいと思って活動しています。

私の考えはこちらの記事に、少しだけまとめてあります。

さて、その講座ですが、夏季はガイドさんではない方に向けての講座を行っています。ガイドって何?外国人の案内ってどうやるの?私の英語力でもできるのかしら。

そんな風に思っていらっしゃる方たちのための講座です。毎年の講座ですが内容を少しずつ変えています。

今年は、宗教に関する講義の後に、神社を案内する方法をテーマにして四回のオンライン講座内で、ご自分の説明したい箇所の原稿を作りと添削と言う流れでした。

神社を案内するのは、ガイドとして1番簡単で、1番難しいと思っています。

まず、なぜ1番簡単なのかを挙げていきます。

1 神道は日本固有のものなので、外国人にとって、神社と言う場所はとても珍しく興味深いので話を聞いてもらいやすい。

2 鳥居、おみくじ、御守りなど目につきやすいもの、つまり説明しやすいものが多い。

3 手水舎や参拝の方法をジェスチャーで実演できるので、あまり言葉を使わずに説明できる。

4 他の宗教との違いがはっきりしているので、ざっくりとした説明をしやすい。

今度は逆に、なぜ1番難しいのかを考えてみます。

1 日本人の宗教観が非常に特殊である。

2  説明する側の日本人が、どっぷりはまっている世界を言語化しなければならない。

3 神道が多かれ少なかれ日本人の生活全てに関わっていることを短い滞在時間でなるべく理解してもらう必要がある。

4 神話、神社建築、天皇家、自然などへの話の広がりが大きい。

5 目に見えない日本人の美意識やメンタリティを言葉にする必要がある。

ざっと考えて、これだけありました。つまるところ、目に見えない抽象的ないことを説明するのはとても難しいです。当たり前のことですね。

自分と同じ文化の土台がない、つまり空気を読んでもらえない人をどう説得するかは、ガイドの永遠のテーマかもしれません。

私はいまだにもがいて、もがきまくっています。

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