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劇場版 モノノ怪 唐傘 感想(ネタバレ有り)

モノノ怪 映画化の情報を見たのは何年前だったか…。TVシリーズを見てから今まで映画を見るのをずっっっっと楽しみにしてましたが…
遂に!先日見てきました!!!
キャラデザ、色使い、ストーリー性…などなど、現代版にリニューアルされているようで、昔のモノノ怪とはまたちょっと違う作品として新しい気持ちで見ることができてとってもよかったです。

劇場版モノノ怪作成に尽力いただいた方々、もう一度この作品に合わせてもらって本当に感謝しかないです、、。

ということですごく長くなりますが感想をシェアさせてもらいます!


モノノ怪いろんな方に見てもらいたいので唐傘の前段もちょっと説明させてもらいますね!

前置き説明

モノノ怪の概要とストーリー

「モノノ怪」はフジテレビの「ノイタミナ」枠にて放送された「怪~ayakashi~」のスピンオフ作品として、2007年にシリーズ化されたアニメです。

江戸時代の日本をモチーフにした世界を舞台に、謎めいた「薬売り」が「モノノ怪」を退治することが物語の中心となっています。ただ「モノノ怪」を退治するためには、その「形(カタチ)」「真(マコト)」「理(コトワリ)」を明らかにする必要があります。薬売りはモノノ怪に関わる人々の話を聞き、これら三つを解き明かすことで、特別な「退魔の剣」を使い、モノノ怪を斬ることができるのです、、!
ここが物語の味噌となる部分となります!この三つを解き明かす過程がミステリーであり、不気味な要素もありで、見ていて引き込まれていくんですよね、、、!

人間の「闇」や「欲望」、「罪と罰」といったテーマ性の深さ、浮世絵や絵巻物を思わせる絵画のようなビジュアル性の高さ、他には見られない歌舞伎の一幕が語られるような作品カットのストーリー展開などなど、たくさんの魅力から今でも多くのアニメファンを虜にしている作品です!


https://mononoke15th.smartbuzz.jp/Scene/32/より

劇場版 モノノ怪 唐傘

今回の舞台は「大奥」です。国の行く末を担う世継ぎを産む場所であり、官僚機構としての役割を果たすこの舞台で巻き起こる怪事件。薬売りはモノノ怪を追って大奥の中心まで進みます。大奥に隠された恐ろしくも切ない真実に触れるとき、退魔と救済の儀が始まる──。

アニメを全話観てからの方が世界観や魅力がより深まり楽しめると思いますで、事前情報なしでも問題なく楽しめる作品になっているかと思いますので、多くの方にぜひ見てほしいなと思います!

より詳しく知りたい方はこちらから!


では以下感想(ネタバレ有り)になります!

映画感想(ネタバレ有り)

今回の物語を見て感じたことを三つ挙げさせてもらいます!
パンフレットの情報も入っているので、パンフレットをこれから読もうと思っている方はお気をつけくださいませ。

描かれる現代にまつわる「心の闇」

今回のテーマは今までの作品とはまた違う、現代に沿ったものになっていると感じました。
今までの作品では「この人が悪!」というわかりやすい悪者的な存在が原因で「モノノ怪」が生じたり、モノノ怪自体が悪となり人々を傷つけるというように、特定の悪、悪の根源を解決すれば、丸く収まる…というような一連の流れであったように感じます。

例えば、化け猫では、化け猫が現れる理由となった根源である、関係者の真実(不正や罪)を解き明かし、化け猫を最終的に退治することでめでたしめでたしというような感じ。また、東大寺を求める人々の「欲望」を利用する「モノノ怪の鵺」を退治して魂が解放された。

しかし、今回の唐傘ではこの人が悪い!というような特定の人が原因で情念が生まれたわけではなく、その全体/集団の形式・流れの中で、個人の苦しみ・病みが根源となり、モノノ怪が発生していったと感じた。そして今回、唐傘を祓ったからといって、大奥の仕組みは解決したわけではない。また誰かしらが渇きを感じて、唐傘になる可能性は十分にあるのではないでしょうか。

特定の誰かを恨んでということではなく、社会に順応していくために、捨てるしかなかった己の選択への後悔、大切なものを無くした悲しみ、耐えるしかないという苦しみ…。それが、個人だけではなく大勢が感じていることによって全体が病んでいく…。それでも、自分は目的のためならこれくらいのことは我慢する、たまには嫌な目を瞑って生きていく、他の人に八つ当たりする、息抜きをするなど、なんとか心のバランスを保っていく。
こんな人々の状況は現代の社会にも当てはまることだと感じました。

自分から一つの目的のために、環境に適応するために、自分の思いや、感情を殺してまで「捨ててしまったもの」。
北川も「乾いてしまった」としきりに訴えていたことが印象的かつ、淡島も麦谷も同じように、自分で捨ててしまったものを呪いのように何度も思い出し悔やみ、心を病んでいました。
また、最終局面、歌山さんがあさちゃんに「北川は誰かを恨んでいたのだろうか?」と問うていたかと思いますが、それに対しあさちゃんは「北川さんは誰のことも恨んでいない」と答えていました。

今回は北川さんが「真(マコト)」となり、唐傘というモノノ怪になっていましたが、御水様の社?で多くの乾いた手があったように、最終的にはその他たくさんの女中の情念が集まって最終的な「うずしお」に変貌してしまったのではないでしょうか。

みんなが「わぁぁぁぁあ」って泣き叫ぶ瞬間が心がざわってして泣けた…
なんか本当にいろんな人がいろんなものを捨ててしまったんだなって。

全くの事前情報なしでこちら見たのですが、中村監督が掲げるテーマ「合成の誤謬|《ごびゅう》」が作品を通して表現されていることに大きな衝撃と感動を覚えました。
パンフレットで中村監督がおっしゃっていたことで印象的だったのが、
多様性の時代では、「みんなが100%満足はできない」に気づき、これは自分の問題、あなたの問題と棲み分ける必要があると言っていたことです。誰もが嫌なことも好きなこともちょっとずつ譲り合っていかなければいけないという世界で、お互いに折り合いをつける状態を目指すという難しい課題を大奥の舞台でまとめていると思うと、本当にすごいなと思いました。

映像美術作品と言っても過言ではないカラフルな色使いと迫力満点の戦闘シーン

カラフル過ぎて目がチカチカしそうなくらいなのに観ていて息を飲むほどの綺麗さ…!美し過ぎる。大奥が舞台ということもあると思うのですが、建造物・着物・小道具どれをとっても模様も細かくこんなにこだわれるのはすごい…!また、和紙のテクスチャーを使用していることで絵画を見ているような映像で違和感なく見れることが本当にすごい…。文才が足りなすぎて、文章にできないのが悔しい…泣
パンフレットで美術監督の倉本さん、斉藤さん、色彩設計の辻田さんのお話を見たのですが、キャラクターに合わせて襖の動物を決めていたり、ちゃんとキャラクターが埋没しないように、全体のバランスが取れるように色の調整がされているのだそうで…。こんなにたくさんの色があったら大変だろうな…と汗
また、実際に買って和紙をスタジオで撮影して使ったり、2,000パターンも和紙のテクスチャーを用意するなどビジュアルディレクターの泉津井さんのお話を見て、本当にプロとしてすごいなと思いました…。

Twitterにもあったのですが、女中の顔の色使いも設定があっていいですね…!(こういう深い考察ができる作品になっていることも本当に嬉しい…!)

https://twitter.com/anime_mononoke/status/1814963529822400985

あと、いい匂いにはピンクと橙の六角形のいかにも美味しそうな匂いだけど…水のときはいかにも不味そうな色の六角形飛んでましたよね…。(それがあさちゃんから出てきた時は本当に終わったぁ…て思ったよね)

また、薬売りさんの戦闘シーンが圧巻でした…!薬売りさんが序盤で、坂下の刀をするりと交わし、鞘におさめるシーンとかカッコ良すぎません??他にも、モノノ怪が出て、みんなを守るために札を出した際の札が螺旋を描くように飛んでいく動線の美しさ…!唐傘を攻撃を巧みにかわしながらも、刀を突き刺すまでのアクションシーン…などなど、ひゅっと息を飲んでしまいましたw

神儀の戦闘シーンもね、カッコよかったですねぇ…!攻撃を受け流しながらも、対魔の剣で切り払う感じ、それに合わせて動く画面…!すごい迫力!!!薬売りさんから神儀になるところのグリンとガマンが回るシーンもすごくよかった…!

退魔の剣も昔とは少し違って、ギラギラしたビームの剣というよりかはより物質的な感じのある太古のつるぎ感が増していてカッコよかった…!
神儀は戦闘の時、髪色赤になるんですね!キャラクター紹介の時には黒髪だったので驚きました…!

個性豊かなキャラクターたち

あさちゃん、おかめちゃんはそれぞれ対照的に描かれているなと感じました!足りない部分があるからこそ、2人に絆が生まれたのかなとか…。

性格でもそうなんだけど、最後の場面で、あさちゃんは大奥に残ることを決めていて、おかめちゃんは御水様からの水を捨てて、お暇を出されたとはいえ、意気揚々と大奥を出ていくラストというのも印象的だったな…。

あとは、あさちゃんの大切にしていたものって…?って聞かれていた時に顔を赤らめていたけど、あれはおかめちゃんのことでいいのかな?
(でも、お暇をおかめちゃんに出していたよね…?あれはやっぱり、おかめちゃんは大奥では幸せになれないって思ってこその判断だったのかな…。でもそうなるとあさちゃんが心配だな…。)

あと、三郎丸と平基も対照的でいいよねw
目的のためなら禁酒も厭わない、誠実な堅物のお役人って感じの三郎丸と女好きでおしゃべり上手、世渡りうまそうな平基。井戸の底に落ちたのが平基だったら「うわっ」て感じで引いて終わりだったりしてねw

あの2人がいたからこそ、女だらけの大奥でもちょっと引き締まったアクセント的な感じになったのかなとか。

きっとあの井戸に落ちたのがメガネの方だったらうわ(引)で済んだのかも笑あのメガネは欲に忠実で生きるのうまそう笑結構好きよ笑

歌山がすごく手がよく気にしているようだったけど、気丈に振る舞っていても、年には勝てないってことかな…?ボタンと話すときや、三郎丸と平基に餅引の儀の実施について問い詰められている時、歌山が手を仕切に気にする描写も、顔では平静を取り繕っているが、心では自分の歳を気にして不安になっていたり、焦りを感じているのを表現しているのかなと。
「月日が過ぎるの早い」みたいなの、言ってたよね…。

あとは、薬売りさん…初めて笑ったのでは?
あんなにっこりしている薬売りさん初めて見たんだけど…!
あれは北川の魂が救済された(北川の気持ちをわかってくれるあさちゃんという存在が現れた)ことが風でわかったから…なのかな。

残る疑問

まだまだ、疑問は残ります…!

  • あの水は結局何だったのか…。(そもそも御水様とは…?)

  • 双子もそのお父さんも謎…。

  • そもそも大奥になぜ「大切なものを捨てる」「御水様の水を飲む」仕組みが?

  • なぜ水は臭かった?

  • お見合いの場?で水を飲み合っていたのはなんだったのか?

これが第二章「火鼠」で明らかになったりするのかな…?
それか全く違う話になるのか、全然わからないけど本当に楽しみ!
第二章あると思ってなかったから嬉し過ぎる…!

何はともあれ、もう一回見てこようかと思います!

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