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理想のプロダクトへと導く。 0→1デザイナーの基本フォーム「デザインコンセプト」って何?
デザイン問題あるある
こんにちは。長いことデザイナーやっていると、色んな人からこんな相談をされることがよくあります。
「出来上がったものが全体で見るとバラバラ」
「修正ばっかりでひどいものになった」
また別の現場では、
「新しいものが出てこない」 「結局効果が出ない」 「見た目はいいけど使いづらい・分かりづらい」 「見た目も悪いし、使いづらい・分かりづらい」
などなど。あなたはデザイナーに依頼して、そんな体験をしたことがありますか?もしくはデザイナーとしてこういう現場を体験したことがありますか?実際のところ、あるある問題ですね。こうした問題はさらなる問題を引き起こしてしまいます。
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なんてこった!なんでこんな問題が起こるのでしょうか? 原因は大きく4つに分類できそうです。順不同です。
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それぞれ色々な理由はあるでしょうが、ありそうな中身を少し挙げてみましょう。
戦略
デザイン戦略がない。もしくはプロレベルに至っていない。
プロセス
デザインの手順と段取りが間違っている。またはプロレベルでない。
情報
デザイナーが対象ドメインの知見・知識の質と量が足りないまま走ってる。
人
デザイナーが単純にプロレベルでない。または、ヤル気がない。
お互いに相手を信用もリスペクトもしてない。
ヤバイですね。とはいえ、まぁよくあります。(依頼する側の課題やできることも色々ありますが、それはいずれ別記事で。)
デザイン戦略がないなら、まずはデザインコンセプトをどうぞ
さて、上記の1戦略、2プロセスに関してはデザインコンセプトがソリューションになりえます。デザインコンセプトを作るとこんなメリットがあります。
全体の一貫性を高められる
新しいものが生み出せる
効果が出る
時間が適切に圧縮される
修正ループではなく、改善ループが回せるようになる
なんだかイイことばっかり言っていますね。でも、しっかりしたデザインプロジェクトの成果としてはコレは当たり前。そして、まともなデザインプロジェクトにはたいていデザインコンセプトがあります。
なぜかと言うと、そもそもデザインコンセプトの開発は本来デザインの最初にやることで、それがデザイン戦略構築の要になるからです。(なお、3,4は論点が違うのでここでは扱いません。)普通のデザインプロセスは下図のような形です。
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デザインコンセプトは基本フォームの一部
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建築・インテリアデザイン分野では基本中の基本ですし、広告分野でも活用されています。佐藤可士和さんや大貫卓也さんなどは、売れる広告のためのコンセプトメイキングについて様々な場所で語っていますね。分野によって、また人によって扱い方や捉え方はやや違いますが、本質は同じだと言えるでしょう。そう、基本だけどクリエーター・デザイナーたちの秘伝のタレと言ってもいい。
私自身は建築やインテリデザインを学んでいた大学時代から、デザインコンセプトの研究と実践をずっと続けてきました。10年くらいになります。今はデジタル分野のUXデザイナーでもあるので、デザインコンセプトからもう一歩踏み込んでUXを取り入れ始めました。それが「ユーザー視点型デザインコンセプト」です。
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幸いなことに自分でも過去にいくつかの成功事例を作ることができて、やはりこれは成果の出る「フォーム」の一部なんだという実感を得ています。手と足と頭を全部使ってゴールを決める「デザインの基本フォーム」です。そしてフォームだから訓練次第で再現可能です。
0→1のために
「世界でもっとも影響力のある50人」に選ばれたNY在住でクリエイティブ・ディレクターのレイ・イナモトさんは「人の仕事は0→1と9→10に収れんしていく」と語っています。(日経新聞2019/1/4, 1面 新幸福論より)0→1デザイナーを目指している人、あるいは、そういうデザイナーと共創したいという人に向けて、この便利な「基本フォーム」を共有してみたいと思います。
まずはデザインコンセプトとは何なのかについて説明したあと、ユーザー視点型デザインコンセプトへ移って行きたいと思います。
デザインコンセプトを知ろう
デザインコンセプトってどんなもの?ーー これから作るものを、紙に一言で書いたもの。
それでは、デザインコンセプトの中身に入っていきましょう。まずデザインコンセプトとは、どんなものなのか、大枠を捉えるところから始めましょう。
デザインコンセプトは、これから作るものがどんなものなのかを表現した言葉です。例えば、「おばあちゃんが元気になる贈り物」だって立派なコンセプトです。もちろんデザイン実務で使えるようなものか、プロレベルかどうかという話はありますけども。
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簡単に言うと上の3つの中央が、デザインコンセプト開発の正体です。本当にこれだけです。
なんで必要?
ーー アイデアとアウトプットを洗練させることができるから
別にわざわざ書き出す必要なくない?と思うかもしれません。その理由を端的に言うと、アイデアを洗練させることができるからです。もう少し細かく説明すると、3つの点でアイデア作りを助けてくれます。
アイデア出しの取っ掛かりを作る
アイデアを明確な改善ループに入れる
アイデアとアウトプットの基準が作れ、軌道修正ができる
イメージしにくいと思うので、おばあちゃんへのプレゼントの例で考えてみましょう。
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A君(20)はある日、お母さんから「おばあちゃんを元気づけてほしい」と言われました。
A君のおばあちゃんはとても優しくて、ちょっと離れたところに住んでいる80才。おじいちゃんを5年前に病気で亡くしてからは、話し相手もいなくて、いつも一人でつまらなそう。
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よし、とA君は決めて紙に書きました。「おばあちゃんが元気になる贈り物」をしよう。さてどんなものがいいだろう。A君はアイディアを考えはじめました。お花を買おうかなーとも思いました。それともお手紙でも書こうかな。はたまた、最新のIoT機器でいつでも話せるようにしようか。そんななかで、ふとA君は思い出しました。
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おばあちゃんは昔は好奇心旺盛で旅行が大好きだったのに、足が悪くなってからは遠出ができなくなってしまったこと。一緒に旅行に行っていた時は、自分の好きな景色を見つけては写真を取ったり、その土地の歴史を勉強して楽しそうに話していたこと。そのおかげで、A君も旅行と歴史が好きになりました。
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おばあちゃんがハツラツと毎日元気に過ごす姿を見たくなりました。そこで、旅行に行って素敵な景色を56箇所探して写真に取って、現像。裏にちょっとした歴史を書いて、1週間に1枚ずつ送ることにしました。A君はもう一度、紙に書きました。「おばぁちゃんが一年かけてどんどん元気になるハガキ」。
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A君は紙に書いた言葉にしたがって明るい景色を選び、その土地の面白おかしい歴史を選んで書いていきました。
これはフィクションですが、アイデアが洗練されていった様子が掴めたでしょうか。ポイントは3つ。
アイデアの取っ掛かりになった
最初のコンセプトをベースにアイディアを出したこと
改善ループに入った
おばあちゃんの抱えてる問題や、彼女の関心ごとを思い出したこと(リサーチ)
その上でもう一度、アイデアを出したこと
アイデアとアウトプットの基準が作れ、軌道修正できた
自分もおばあちゃんも嬉しいアイデアだったこと
書き出したコンセプトを軸にA君が景色や歴史を選べたこと
実際のデザインの世界はここまで優しくはないですが、基本は同じです。ここまででザックリとデザインコンセプトの全体像について説明してきました。次回は実務レベルのデザインコンセプトはどんなものか、についてご紹介したいと思います。
※こちらの記事は「RAKSUL Design Blog」にて公開した記事を転載しています。
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