越境ECに欠かせない マーケティングトレースとは?
こんにちは。SNSを使いこなせておらずnoteの更新が3ヶ月ぶりとなってしまいましたアサギリです。
前回の投稿にあるマーケティングトレース女子会を主催してくださった黒澤さん(@KurosawaTomoki)が、先日私のインターン先である世界へボカン株式会社(以下ボカン)のマーケティングトレース会に講師としてお越しくださいました!今回は、第二回マーケティングトレースの内容をまとめたいと思います。
1.マーケティングトレースとは
マーケティングトレースとは、優良企業のマーケティング戦略を要約、言語化、図解することで、成果につながるマーケティング戦略・戦術の引き出しを増やすことを狙いとしたものです。「黒澤友貴のマーケティングトレース(ferret)https://ferret-plus.com/10818」
実は黒澤さん、弊社代表の徳田と交流があり、ボカンで定期的にマーケティングトレースを開催してくれています。
黒澤さんが、約1年前から「マーケティングトレース」という言葉を発信し続けている甲斐もあり、Facebookコミュニティが450人まで増え、黒澤さんのnoteを買い始めている人やマーケティングトレースを企業でも開催され始めているそうです。
2.マーケッターの筋トレで身につく4つのスキル
そもそもこのマーケティングトレース、どんなきっかけで生まれたのかというと…
黒澤さんがマーケティングの会社に勤めている中、実際にマーケティングの仕事と言ってもリスティング広告の運用やSEO対策、SNSの運用などのチャネルを最適化するのがメインで、
どうやって市場を動かすのか、戦略を作るのかといった事を考える機会がなく、仕事で「マーケティング」に関わっていると実感することがあまりありませんでした。
そこで、より本質的なマーケティング戦略を考える力を磨く為にトレーニングをしたいと思い立ち、「マーケターの筋トレ」というコンセプトでマーケティングトレースを始めたそうです。
では、マーケティングトレースで具体的に養われるスキルは何かというと、
4つあります。
この4つのスキルを養うと、本物のマーケッター力が身につけられます。
➀調査能力
企業分析をする際に、どのようなツール、あるいは視点で調査をするのかも
マーケターとして大事なスキルです。
例えば企業サイトだけでなく、専門家のサイトも見ることで客観的な視点を得られますよね。
➁戦略を立てる力
・SWOT(マクロ)
・4P(ミクロ)
・具体的なマーケティングの施策
・海外に進出するとしたら?といった市場から逆算して戦略を立てることです。
大きいところから噛み砕いていくイメージで、マクロからミクロへと分析していきます。
➂プレゼンテーション能力
実際に自分がトレースした内容をどのようにプレゼンするかで伝わり方が変わっていきます。例えば、上司に自分の案を採用してもらいたい時にプレゼンがグダグダになってしまったら、自分の提案を採用してもらえないですよね。
➃一気通貫思考が身につく
自分の仕事を大きなマーケティングの流れから俯瞰して見ることができるようになり、より大きな視点を持って仕事ができます。
例えば実行のところだけを言われたことをやるだけではなく、自分で戦略の意図を理解し、誰に対してこの企画をやっているのかを理解するとします。これがきちんとできるマーケッターが増えれば、マーケティングの業界自体の成果が出やすくなると、黒澤さんは考えています。
3.越境するラーメン:ボカンでのマーケティングレポート
弊社には、日本人、アメリカ人、フランス人、中国人の多国籍メンバーがおり、各メンバーがピックアップしてくる企業も国内企業だけでなく、海外の企業も多いです。
また、私たちが日本企業のマーケティングトレースを実施する際は、最終的にこの企業のCMO(米国企業等で用いられる幹部役員の一つで、マーケティングに関する全社の最高責任者の肩書)として、経営の視点を持ちながら海外進出のアイディアを考えます。
また、ボカンでのマーケティングトレース会では、外国人メンバーがいるため日本人では気付きづらい観点を得られます。
さて、今回のボカンでのトレース会では普段、多言語でカスタマーサポートしているメンバーがトレース会にとても積極的で、戦略視点を持っているという気づきがありました!
*トレースしている時間を黙々タイムと言って、1時間ほど参加メンバーは黙ってひたすらトレースの作業に集中します。黙々タイムが終わったら、複数人のチームでお互いにトレース内容を発表し、意見を活発に交わします。
黙々タイムの様子
さて、実際にボカンのメンバーであるJames Michiya Hayashi(林)さんが行ったマーケティングトレースの例をご紹介します。
(1) ラーメン屋のマーケティングトレース
トレースする際のいくつかあるフレーム枠から、林さんはSWOT分析を行いました。
SWOT分析とは事業をStrong(強み)、Weak(弱み)、Opportunity(機会)、Threaten(脅威)の4つの要素に分けて分析する事です。
分析の際に参考にしたソース:
・ラーメン屋の公式サイト
・ラーメン専門家のブログ
・ソーシャルアカウント(Facebook、Instagram)
今回は、ある有名ラーメンのチェーン店がスペインに進出したら?というアイディアを元に、SWOT分析を行いました。
S(強み):
・2つの軸を備えている点(原点の味と、20回にわたって改良された味<常に受け入れられる味にする姿勢>)
・内装へのこだわり(ヨーロッパでは、現地の古くからある建物を生かすことが好ましいとされる傾向にある。)
・昔ながらあるものの良さを残しつつ新しいものを好むことが多くあるから。実際の現地の店でも外観は古く、内装は現代もしくは、その店の周りに合わせた作りになっている。
W(弱み):
・価格設定
・メニューのローカライズのバランスが難しい。実際に食べに来た消費者といかにコミュニーケションをとって、味を変えていくか
以上の2つの方向性が課題である。
・SNSで人気の投稿を参考に、実際に商品化するのか、または現地の意見を 元にオリジナルを作るのかという点で、十分な分析ができていないと思われる。
O(機会):
・スペイン人は自分たちで味を研究すること多く、食の変化に敏感であるため、その点で常に味を改良する姿勢がよりチャンスになると考える。
T(脅威):競合(同業者)と消費者で分けると…
・同業者:同じモデルかつ、姿勢を真似されると差別化できない可能性がある。しかしここで、原点の味が役立つと考える。その味を店に出したところで、ローカライズすることにより差別化できる一つのポイントになると思われる。
・消費者:スペインには移民がたくさんおり、いろんな人種、宗教がある。それにどれだけ合わせられるかが重要になってくる。これらをクリアすれば、強みに変わると考える。
以上のSWOT分析から、林さんは仮にこの企業のCMOとしてスペインに進出する場合の戦略を立てました。
スペインでの出店候補が2つ挙げられます。
1号店 スペインとフランスの国境沿い(ジローナ地方)
理由:
・すでにフランスに出店しており、フランスで認知されているため、ジローナ地方での仕入れが容易になる。
・スペインとフランスの冬は、他の国より比較的まだ温暖なため家に引きこもることもなく、客足が遠のく可能性が低い。
・国境付近の行き来が多いため、名前が広まる。
2号店 マドリードかバルセロナ
理由:
・人が密集しており、いろんな海外の店が並ぶため集客が容易になる。
・すぐに改良や軌道修正をするためのデータ集めも容易になる。
1号店で挙げられているように、林さんはすでにフランスに出店していることを活かし、まず人の行き来が活発な国境付近やお隣のスペインに追加で出店することを考えました。そうすることで、スペイン人に加え、お隣のフランス人も来ることから進出するハードルが低いと考えました。そして1号店を成功させ、ある程度知名度を高めた状態で2号店をより競争が激しい都市部に出店することで、集客もしやすくなるという戦略を立てました。
4.マーケティングトレースを即実践できるボカン
ボカンでのマーケティングトレース会には初めて参加しました。
今回の林さんのラーメン屋のトレースでは、ターゲットとする国の人にどのように受け入れられるかという戦略を考える際に、消費者の好みについて調査していました。
そこで私は、ボカンにおけるトレースの特徴に改めて気がつきました。
それは、ボカンには外国人メンバーがいるため、ネイティブの視点が加わるということです。
もちろん日本人だけでトレースはできますが、ターゲットの国の風習や特徴をバックグラウンドとして知っているネイティブの視点が、現地の人のニーズにあったより現実的な分析、トレースを可能にします。
また、1人でトレースしたものをネイティブがいるチームで共有し、一緒に施策を考えることで、チーム全体としての顧客の進出をより実践的に考えられます。
今回、改めて自分でトレースをこなしつつ他の人のトレースから学ぶことで、自分のトレースの改善点が分かり、見落としていた角度からの視点も取り入れることで、自分のマーケティング分析の質が上がっていくということを学びました。
さらにボカンは実際に海外のマーケットを対象としているため、マーケティングトレースの内容を早速実践することが可能です。
以上のようなネイティブの視点があるというボカンでのマーケティングトレースの特徴、強みに気づき、越境ECをするにあたって改めてボカンは強いなと実感しました。
マーケティング思考力は日頃から磨き続けることが大切であり、一朝一夕では身につけることはできないと黒澤さんはおっしゃっていました。
そのため本物のマーケッターとしての思考力を、マーケティングトレースをすることで日々磨いていきたいと思います。