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旅先でのモーニングで感じたこと

旅に出ると、知らない町の喫茶店へモーニングしに行きたくなる。
もちろん、その旅先でしかみられない景色をみたり、
その土地の食べ物を味わったり、体験したりもするのだけれど。

今回は、青森の弘前にあるレトロな喫茶店へいってきた。

平日の、出勤時間帯
町のメインといわれている通りを歩く

自分の住む町ならならたくさんの人が行き来しているのだけれど、
ここはすれ違う人もほとんどいない
思っていたよりも人や車の数が少ない
ざわざわとした人の気配もなければ、ブーブー走る車の騒音もない

高い建物もないので空がすごく広い

静かな町なんだなあ、と思いながら歩いていると、
目的のお店に到着した

こちらは前日、この町を散策しているときに見つけた喫茶店
なんだかレトロで落ち着きそう、そう思って
ここでモーニングしよう!ときめていた

レンガ作りの壁と、木枠にガラスが入った古~い扉
店内はオレンジ色の明かりを灯していて暖かい感じがする

扉を開けて中に入ると、白髪の小柄な女性が店のカウンターから
「いっらっしゃいませ」「おふたりかしら?」と。

店内を見回すと、カウンター席が4つ空いていて
2つある窓際のテーブル席の一つには先客が1名、もう一つには【予約席】
と書いた札がある。

こんな朝早くから予約するんだな、
窓際のテーブル席がよかったけどなあ~
予約している人がいるんだ
ならカウンターかあ、まあいいかあ、などと考えていたら

「こちらへどうぞ」と【予約席】になっていた席に案内された
あれえ?予約なのに、いいのかなあ、と思うと同時に

「この人は今日はまだ来ないから大丈夫、ゆっくりどうぞ」と

なるほど、【予約席】のお客さんは、毎朝来る常連さんなのか
いつも座るお気に入りの席だから、キープしてたのか

席に着いてしばらくすると、先ほどの女性が注文をききにきた
店員は彼女一人みたいだ

モーニングセットを注文し
手作りっぽい白いカフェカーテンの隙間から
ぼうっと街の朝の様子を眺めながら待つ

しばらくすると、お店の扉がガチャーンとひらき
「おはよう」と、独特のイントネーション。
すると「おはよう、けさはさむいねえ~」とこれまた独特のイントネーションでカウンターの中から女性がが応える。

入ってきたのは白髪のおじいさん、
手には白いビニール袋に入ったなにかをもっている。
おじいさんはすぐにカウンターの席に着き、話し出す。
女性も、注文を聞くでもなくおじいさんの話をきいては
相槌をうっている
交わされる会話は津軽弁というやつなのか、方言が多くほとんどが聞き取れなかったけど

おじいさんが手にもっていたビニール袋の中身は栗で
どうやらそれは近所の人が近くの山で採ってきておじいさんに
おすそわけしたものらしい。
栗が大きくあまりにもおいしいのでもってきたみた様子。

持ってきた栗をおすそわけするのか?と見ていたら
「包丁かして」とおじいいさん
包丁をうけとるなり栗を半分にカット
察して女性店員は、白いお皿と小さなスプーンをおじいさんの前に
すっとさしだす。
おじいさんはスプーンで栗をすくって食べ始める。

確かに、栗はとても立派で、大きくてつやつやしているのがカウンターから少し離れた自分の席からもわかった。

栗をたべながらおじいさんは
山ではきのこもたくさん採れていることや紅葉が例年よりも遅れていることなども話している。

いくつかの栗を食べ終えると、女性店員に声をかけ(何と言っていたのかはわからなかった)
のこりの栗が入ったビニールを片手に、またガチャリと扉を開けて
帰って行った。

あれ?栗を食べに来たのか?あのおじいさんは?
秋の山でとれたおいしいものの話をして帰って行ったぞ。

おじいさんが帰ってまもなく、
雑誌の集金のおばさんがやってきた。
朝の挨拶と、寒くなってきたからお互い体に気をつけなくちゃねえ(これも方言でよくは聞き取れなかたけど。)みたいな短い会話を交わして次の配達先へ出て行った。

窓際席の先客も帰り、店内は私たち二人になった

注文していたモーニングセットが席に運ばれてきた
コーヒーがいい香りをたてていて
サラダは手作り。目玉焼きはちょうどよい焼き加減。
丁寧に作ってくれたことが伝わる。
美味しくいただいた。

私にとっては非日常の旅先の朝の喫茶店
短い時間だったけれど、そこに住む人たちの日常に少しおじゃま
させてもらった気持ちになった。

いろんな人がいて、それぞれの時間を過ごし、物語があるのだな。
当たり前のことだけれど、旅に出るとしみじみと思うのです。

私たちが帰った後
あの【予約席】にはいつもの常連さんがやってきたのかな



まとめると
普段行かない場所、活動しない時間(普段の生活では朝はせわしくしているけど、旅先での朝はゆっくりと過ごしてみたい)に体験することは新鮮、新たな発見がある
自分にはしらないゆっくりとした時間の流れ方があった
その地方の方言で長らく交わされてきているであろう会話
その土地に暮らす人たちの日常に少しお邪魔する感覚をあじわった。










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