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「墨に生きる」古梅園さんを訪ねて

先日ご縁があって奈良にある古梅園さんを訪ねた。

「墨」作りって、こんなに手間のかかる大変なものだったとは・・・

墨作りの最初は「採煙」という作業から始まる。

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ここは、古梅園さんの敷地内にある世界で唯一の「採煙」をする建物。


植物油の入った土器のお皿に植物で作った芯をいれ、その芯に火をつける。その上に蓋をかぶせ、その蓋裏についた煤(すす)を採取する。

この煤(すす)が墨をつくるための材料の一つになる。だからとても大事なものらしい。蓋の裏に煤(すす)が均等につくように、なんと、蓋を20分おきに回すっていうんだから、驚き。

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部屋の中は真っ暗で、火のともった土器のお皿が部屋中に設置されている。真っ暗だから分からないけれど、部屋中に煤(すす)が飛び交っている。

「部屋の中に入ったら煤(すす)がつくのよー」
「ついたら取れないのよー」「洋服汚れるかもー」

って言われたけど、内部を見てしまったら入らずにはおられない。

そうさせるほど、幻想的で幽玄で神聖な、不思議な場所。
室内は暖かく(夏は暑いけど)、サウナ室のような居心地よさ。

部屋から出てきた私のマスクもマスクに隠れていた鼻も洋服も煤(すす)で所々煤汚れていて、大笑い。

この墨を創るための最初の工程を「採煙」と呼ぶ。

「煙を採る??」と最初は思ったけれど、
墨って、こんなにも繊細な神秘的な工程から誕生するんだ、知らなかった。

その後、溶かしたり、練ったり、型にいれたり、乾かしたり、磨いたり、色を付けたり、合計8工程でようやくお店でみる「墨」が出来上がる。

私の墨の記憶といえば、

「小学生の時、授業でお習字あったよなー」
「墨すってたのは最初だけで、墨汁をドバーと硯にだして使ってたなー」

ぐらい・・・

今回、古梅園さんを訪れたことでに対する認識が変わった。

だからって、突然「お習字を習い出します」とかではないのだけれど、

手間がかかって丁寧に創られているもの、
何百年も続くもの、
自然の中にもともと存在するものを自然の力で創り上げられているもの、

こういうものに愛おしさを感じる。

古梅園さんの「墨に生きる」は、墨に対する愛おしさから溢れ出る気持ちの表れのように感じる。

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創業1577年。440余年に渡る墨への愛。これからもずっと続いてほしい。



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