PIE&COFFEE mamenakano
2つの幕張
「幕張」とインターネットで検索すると、2つの幕張が出てくる。1つはJR総武線の幕張駅周辺、もう1つはJR京葉線の海浜幕張駅周辺だ。
「幕張」周辺は昔からの飲食店が今も営業を続ける、いわば下町風情あふれる街だ。聞けば御歳18歳というハチワレ猫が、往来のある商店街のド真ん中をまるで長老のような顔で闊歩している。路地が複雑に伸び、その合間にでっかいお屋敷が当たり前のように平然と並んでいる。そんな街だ。
その「幕張」から海の方へ歩いていくと、徐々に街並みが変化し、潮の香りが鼻孔を満たしてくる。こちらが「海浜幕張」の周辺だ。
この通称「カイマク」の地は、1960年代に東京湾の埋め立てが進んだ際に生まれた近代都市である。前者とは打って変わり、異国情緒ただよう洋風建築が立ち並ぶ、洗練された街だ。海沿いの街は洒落ていると相場が決まっている。全く頷ける、垢抜けた街の名である。
そんな2つの幕張の間に、さらに近年になって新たな街ができた。それが「幕張ベイパーク」である。
幕張ベイパーク
海浜幕張駅から徒歩12分、幕張駅からは徒歩20分ほどの場所に誕生した新しい街「幕張ベイパーク」。間と言ったものの完全に海浜幕張寄りなのはおいておき、ついでに先に断っておくと私は三井グループの回し者でも何でもない。
先に貼付した画像で伝わるのかは定かではないが、そびえたった2本のタワーマンションがあまりにも街に溶け込んでいるのである。タワマンの澄ました、なんならドヤ顔が滲み出ているような雰囲気はまるでなく、ただそこに人の住まう場所として存在している様子が印象的だった。その空気感を作り出している要因をいくつか発見したが、中でも特記すべきはマンションのふもとの公園で遊ぶ子ども達の笑い声と、そして小さな憩いの場であった。
PIE&COFFEE mamenakano
幕張ベイパーク内に「MAKUHARI NEIGHBERHOOD POD」という施設がある。
「幕張ベイパーク」にはそこに住む人が街を作っていく、という考え方があるようだ。ここ幕張ネイバーフッドは、そんな地域コミュニティの拠点となるような施設らしい。この施設の中に「PIE&COFFEE mamenakano」はある。
コーヒー好きな方にはピンとくる方もいるかもしれない。千葉駅北口からからすぐの「豆NAKANO」の姉妹店である。
ベイパークの店舗は店名の通りパイがメイン商品。しかしながらフルーツパイがどうしても苦手で、つい敬遠してしまっていた。秋の陽気に誘われ、散歩ついでに店を覗いてみると……
祝日限定のミートパイを発見!これはありがたい。折角ならメイン商品を頂きたいものである。店舗の隣の「POD SPACE」にて運ばれてくるのを待つ。無論、自家焙煎をしている店舗の姉妹店なのでコーヒー豆の種類も豊富だ。
「そんなに詰めちゃって良いんですか?」と言いたくなるくらいのミート感たっぷりのパイ。うっかり頼んだドーナツはシナモンが香り、チョコがゴロゴロ入っている。そしてそんなティータイムにぴったりのほろ苦いカフェラテ。美味しい。
それにしてもコーヒー好きが通うようなカフェはなんとなく息を潜めてしまうような、少し背伸びをしているような緊張感を持ってしまうこともあるのだが、この「POD SPACE」でのカフェ時間はただ日常の延長にあり、それでいて開放感のある時間であった。買い物の帰りに、隣人とのお喋りの場所に、物思いに耽りたい時に、地域の人々が気軽に来ることのできる場所だ。
この「幕張ネイバーフッド」は既に将来マンションとなることが決まっているらしい。期間限定での営業。しかし、この場所を中心にできていった繋がりはいつまでも消えないものだ。幕張ベイパークの「街づくり」に、ひと役もふた役も買っているのだろう。
人の住まいをつくるなかで、時代の流れによって失われつつあるものを取り戻すような、しかしながら全く新しい現代に寄り添っているような、そんな「街づくり」に感じる。これからどんな街になっていくのか楽しみである。
※この記事は全て筆者の主観によって書かれています
PIE&COFFEE mamenakano
千葉県美浜区若葉3-1-21
makuharineighborhoodPOD
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