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地獄の誘発入院③


帝王切開当日

とおとお朝まで陣痛が来ることはありませんでした。

怒られると思いながらも

母に伝えると
「てことは退院ちょうどタイヤ交換のときじゃん!!!本当、タイミング悪いんだけど、困るわ。なんなの。」
とのこと。

怒られた。

はあ、と思いながらやってきたオペ室入室。

実は、私はオペ室看護師をしていたことがあり帝王切開の流れは完璧に覚えておりました。
だから、いざ、オペとなるとオペ自体に不安な要素はありません。短時間で終わるオペです。

母や対輝くんに何か言われることと、傷跡が残ることが何より心の不安を占めていました。

いざ、入室。
ストレッチャーに乗せられて、オペ室へ。
入口で名前と生年月日を確認し、中へ入ります。
そこに見覚えのある顔が。
なんと、私が1年目の時にお世話になった麻酔科の先生だったのです。
なんとまあ、心強い。
手術の成功は、麻酔科医の腕にかかっていると言っても過言ではないと私は思っております。

ここからは元オペ室ナースらしく、細かくお話していきます。

まず、ベッドに移った後、寝巻きを脱ぎ、モニター類が装着されます。

そこからスタートです。

麻酔科医のタイムアウト(名前や血液型、手術部位など間違いがないかを確認)から始まります。

確認が終わると、いざ、麻酔へ。

帝王切開の場合、おそらく多くは

硬膜外麻酔(痛み止め)+脊椎麻酔(下半身麻痺麻酔)の組み合わせです。

横向きになり、膝を抱え込むようにしておへそを見ます。横向きの体育座りみたいな感じですね。
脊椎の間に針を挿入したいので、ぐぐぐっと背中を丸めるのです。
通常もなかなかしない体制なのにも関わらず、お腹が出ているのでなかなか思うようにいかない‥麻酔科医にとって大変と思います。
硬膜外麻酔から。背中に管がスルスルっと入る感じ。変なところに入ると、ビリッと足や背中に痺れが走ります。

無事管が入り、下半身麻痺へ。
少し下目のところに針を挿入し、薬液を入れます。
じわじわと足が痺れてきます。

ここからがスピード勝負。
一気に作業が進んでいくのです。
体を戻しながら、足が落ちないようにする人
私が手術部位を見えないようにする人
消毒ができるようにする人
腕を落ちないようにする人
麻酔科医は麻酔の効きを確かめます。
これが同時に行われて5分なんかかからない程で手術になります。

赤ちゃんがお腹にいて、麻酔もかけてるので急いで赤ちゃんを取り上げる必要があります。

そうこうしているうちに、手術が始まりました。
麻酔のときと同様、タイムアウトから始まります。

お腹をピンセットでかなりの強さで摘まれます。
でも、全く痛みを感じません。
それが確認でき次第、メスで皮膚を切開。
はさみなどを使いどんどん開けていき、子宮に到達すると、再びメス。
赤ちゃんを傷つけないように子宮を開けます。
・全部どけて
・ガーゼカウント
・羊水です
これらのセリフが聞こえたらそろそろです。

そして、訪れる‥術後の苦痛につながる行為

「おなか押して!」

この時は、麻酔がかかってるので何も感じませんが、鳩尾らへんをかなりの圧で押されます。
大の男が全体重を乗せてる感じ。
これをすることで、赤ちゃんを一気にお腹から押し出せるのです。
そうしていくと

リスター3本とクーパー1本

が登場。これは、臍の緒を挟んで切るところ。

これが終われば赤ちゃんは診察へ向かい、ママのところへ。


ここまで、ママはどうしているか?

起きています。

先生の話も何をしてるかもわかります。なんだったら無影灯に映ってる場合もあります。

私の場合はというと、この時執刀医の先生と麻酔科の先生とずっと昔話に花を咲かせておりました。
そうこうしている間に我が息子くんが誕生。
その時の声が

今まで聞いた赤子の声ではない!!
酒灼けのようなしゃがれた声!!!!!

あれ??これまで帝王切開で産まれた子の声を何度も何度も聞いてきたのですが、こんな声聞いたことがない‥というレベル。

そして対面のとき‥

か、可愛くない‥めっちゃゴツい


ゴリラのような顔にグローブのような手。

なんだかなんだか、ちょっと想像と違う。

と、感動の対面を済ませて、手術終了へ向かいます。

ここから、起きているか、眠るかは麻酔科医の判断だったり、、。

私は起きてることを選択し、起きてました。
というのも、産まれてから終わるまでは、止血、子宮の閉創、傷の閉創で終わります。時間は下手じゃなければ、よっぽど子宮の戻りが悪くなければ早いです。
変に静脈麻酔を使ってしまう方が、私の場合具合が悪くなると考えたのです。

なので、起きてることを選択しました。

そうして無事、手術は終了しました。

お部屋に戻り、ベッドに移ってから‥が、とにかく地獄でした。

術後すぐ

シバリング(寒さや発熱によって起こる身体が小刻みに震える現象)が起きてしまい、電気毛布をかけてもらっても、何をしても寒くて仕方ないのです。
だけど喉も乾いて、トイレも行きたい。
身の置き所のない気持ち。

しばらくして、看護師から飲み物を少し飲んでみるかと言われたものの‥
覚えてますか?

飲み物がない

申し訳ない気持ちでそのことを伝えると、自販機に麦茶が補充され、それを買ってきてくれました。ようやくようやく、念願のお茶が飲めました。
術前は妊婦なのに糖質とりまくり。
こんなに麦茶って美味しいんだと涙が溢れました。

でも私の地獄は
これでは終わりませんでした。

次に襲ってきたのは

便意

術後すぐは床上安静。翌日、麻酔の取れ具合を確認し、歩行確認が出来次第、トイレ可。

とは、計画で見たものの‥一応、看護師に確認。

「あの‥もしう○ちがしたくなったらどうしたら良いのでしょう‥?」

「大丈夫ですよ。ベッドの上に持ってくる(床上トイレ)から。でも、お腹切ってるからなんか張る感じとかしたい感じはあっても、実際に出る人はいないから大丈夫よ。おならはどんどん出してね。なかなか出ないと思うんだけど、がんばって!!」

なるほど。たしかに開腹だから、そんな簡単に腸の蠕動運動は戻らないのか。
気のせいか。

1時間後‥

まだめっちゃしたい‥

3時間後‥

え?これ絶対出るやつだよね????

真夜中のこと。

看護師時代の先輩である大親友である弁ちゃんにLINE相談。

私「ちょ、やばい。う○こしたい。まじでしたい。でもベッドでなんて屈辱絶対やだ。もう手術前3日くらいから出てないから絶対臭いし。まじで、あと何時間で私は歩けるんだ。でもおならしたら絶対出る。もうそこにいる。」

弁「ナースコール押せよ笑 大丈夫だって、ベッドでしな笑」

私「他人事だと思ってるだろ笑笑 う○こ垂れって笑うやろ」

弁「笑いはするけど、ベッド上でする年寄りいるよ。みんなしてる。」

私「それパターンが違う。日中看護師から、オペした人は出ないよーなかなかそこまで戻らない言われてんのに、看護記録に『大量う○こ、ベッドでする』とか書かれるよ。つむ。」

弁「いいから、しな、そのまま垂らすよりマシだって笑」

私「もうだめだ。呼ぶわ。」


そう言って私はナースコールを押しました。

看護師はテキパキとトイレの準備をしてくれて、終わったらナースコールを押すように言って立ち去りました。

部屋は2人部屋。だけど、幸いなことに誰もいなく1人でいる状態。

よし!!!

‥ん?あれ?あれ???おかしい。

全く便意が無い‥。さっきのことが嘘かのように、全く出る気配が無いのです。

人間というのは、腰を上げたヨガでいう

橋のポーズ

になると、便意が引っ込むらしいんです。

少し粘っても良いと看護師からも言われていたため、しばらくそのままで待機。

30分経過。

出ない‥。全然出ない。もう、だめだ。

そう思いナースコールを押し、看護師に謝罪。

「全然気にしなくて大丈夫!またしたい気持ちなったらすぐ言ってね。出なくても大丈夫だよ。」

ありがとうございます‥泣と思いながら、ようやく安心して眠りにつこう‥と思ったにも関わらず、また襲ってくる便意。

さっきの学びを活かし、やや腰を上げてみると、治ってくれる。
その隙に、眠りについたのでした。

因みに、この間もずっと40度の熱が出ておりました。
傷やお腹などの痛みはまだ硬膜外麻酔の管が入っていたのでそれほどではなかったと今思えばわかります‥。

それらのことが気にならないほど、便意の方が気になった‥という術後でした。

さて、今日はここまでにしたいと思います。

少々汚いお話もあり、すみません。

次回は
もっと酷かった‥産後の入院生活

今日もお付き合いいただきありがとうございます!

今日も一日、皆様が楽しく過ごせますように。


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