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制作実例#1『aiai』2035年1月号(LGBTQの明るい未来の雑誌)

つくったものを紹介する記事vol.1です。

ものづくり事例

⬜︎ タイトル:「 aiai 2035年1月号 」
⬜︎ 制作期間:2022.01.07-01.28
⬜︎  フルカラーB5冊子/14P/イベント・デザイン専攻展で頒布

▶︎「未来のデザイン(バックキャスティング・シナリオ手法)」課題:10年後の明るい未来をまず最初に描き、そこに到達するために必要となるデザインを考える。2035年の「同性愛が当たり前になった未来の雑誌」を制作することで、現代の価値観の再考を提案した。

表紙は片面マットコートをかけ、中身を上質紙にすることで、雑誌らしさを追求〔印刷:グラフィック社〕



:制作背景

I(自分)にも愛にも正直でいられる、「あいに区別も差別もない時代」に向けた、「未来のデザイン」として、当事者/ストレートなんて垣根もなくなった、だいたい10年後の雑誌を持ってきました。

それがこちら、aiaiの2035年一月号です。

2035年の未来では、ヒーローはズボンを履いたタカシじゃなくていいんです。妊娠はみんなのものになってます。「好きな男の子のタイプは?」なんて質問がなくなって、同性だろうと異性だろうと恋をしようとしなかろうとどうでもよくなってる。小学校の「ぼくのかぞく」の作文は同性両親と精子提供者、なんて形も普通で、結婚は当たり前のように「したい人同士」でできるようになってて、ついでに言うと星座占いには「気になる彼と急接近できるかも?」なんて項目もない!

……なんてことが、どうしたの? 雑誌が何に繋がるの?と、思う人もいるかもしれません。

でもね、今の時代の雑誌の「女の子はみんな彼氏が欲しい」って前提の特集とかを見るたび、ちょっとずつ、私の未来とかって暗くなってっちゃうんです。

〔中略〕

けれどこれを真剣に作れば作るほど、悔しくなってきちゃいました。知れば知るほど、知らないことの多さに気づきます。

しかしこうやって、未来の雑誌、のような出力方法で表現して、皆に見えるようにして、かたちにする理由があるとしたらそれは、私のこのちっぽけな気づきを、皆さんに見てもらって、それでまた、気づいてもらえたら、世界の全員は救えなくても、誰か、特定の誰か、たった1人の誰かに。その子に明るい未来を見せることに、繋がるからかもしれないから、です。

プレゼン原稿より一部抜粋



:制作物

表紙/裏表紙
目次/前文
"みんな"の妊活/スカートを履いているタカシが"ふつうの登場人物のひとり"なアニメの広告
子育て中の同性カップルへのインタビュー/妊活特集
トレンドニュース(2022情報あり)/「恋愛する派?しない派?」アンケート比較企画
「レズビアンカップルとその精子提供者」という形の家族の息子が書いた学校の作文/その親のエッセイ
占い/結婚式場の広告
奥付け

:装丁

某結婚準備book(コンビニで1番安く買える雑誌というだけでの選出ですが、今思うと未だ結婚できない私たちの冊子において、皮肉な選択ですね)を参考にしつつ、表紙マットpp+本文普通紙で雑誌感を演出しています。手触りがいいです。

雑誌風にしたかった、という都合上仕方ないんですが、サイズが割と大きめなので、簡単には持ち帰ってもらいにくい、というのはひとつの難点だったかもしれません。もっとポケットサイズとかだと間口が広がるのかも。
それでも、私が今まで制作した本たちの中で、いちばん見てもらえてる冊子じゃないかな?と思います。

LGBTのことを当たり前にターゲットとしている(いないものとしていない)雑誌が、美容室とかに平然と置いてある未来がくればいいなぁ、という思いを抱きつつも、よく考えたら美容室も雑誌じゃなくてタブレットに変更されつつありますね。時代の流れに合わせて、「冊子」は少しずつアウトプット手段として弱いというか、ふさわしくなくなっていくのかもしれませんが、やっぱり手触りや、「出会える」感覚なんかは、追求していきたいところです。


2年前の制作物のため、現行の情勢と差異のある捏造や、お恥ずかしい部分もありますが、色々な物事や繋がりのきっかけとなった大切な一冊です。「明るい未来のために」という気持ちは今も常に持ち続けて制作をしています。

PDFダウンロードもURLお渡ししますし、紙の本もまだ在庫があります。何かお役に立てることがあれば、お気軽にお声がけくださいませ

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