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制作実例#2『ぱれマガ』 市町村×当事者大学生のLGBT冊子

つくったものを紹介する記事vol.2です


ものづくり事例

⬜︎ タイトル:「 ぱれマガ -ぱれっとマガジン- 」
⬜︎ 制作期間:2022.09-2023.03
⬜︎  フルカラー正方形冊子/24P/市役所職員へ配布、また公共施設に設置
⬜︎ デザイン・取材・記事本文・マンガ部分などをそれぞれ分担した共同制作……私はディレクション(冊子全体の制作進行管理と編集)、自記事の本文+デザイン、メンバーが取材して本文を書いてくれた記事のデザイン、等を担当しました。

▶︎「まちづくりのデザイン」課題:役場などと連携し、デザインで市町村の抱える問題を解決していく

※当事者執筆という関係上プライバシーなどの問題とは切り離せないため、私が関わった記事のみの掲載です。目次でなんとなく概要を察していただければ…!
※連携してくださった市の役員さんから掲載許可は頂いております。ありがとうございます!


:制作背景

・前年度の「まちづくりのデザイン」課題にて、「若者の繋がり不足を解消する街コン」を企画した際「次回はLGBT版を」といったような計画をプレゼン。そのことを覚えてくださっていた役場の方が、他大学のLGBTに関連する学生との縁を繋げてくれた

・市がパートナーシップ制度を制定し始める年だったこともあり、助成金を得て市民向けのLGBT啓発活動に当事者やアライの大学生で取り組むことに

・交流会などを企画しつつも「当事者って、当たり前に身近にいるよ!」ということを大学生主体の冊子という形にして伝える試み


:制作物

特に注釈のないものは本文・デザインともに私ですが、メンバーに監修してもらった部分もあります。

表紙(ロゴデザイン:制作メンバー)
はじめに
目次(執筆者たちのお名前は、掲載時も「ハンドルネーム等自分の名乗りたい名前」ということにしていたんですが、意図せぬ特定に繋がる可能性を最大限なくすためぼかしてます)
長久手市パートナーシップ制度導入のお知らせ(ご協力:市職員さん/取材・本文:制作メンバー/デザイン:私)
そもそもパートナーシップ制度とは?(取材・本文:制作メンバー/デザイン:私)
同性婚訴訟の傍聴行ってきたレポ①
同性婚訴訟の傍聴行ってきたレポ②
同性婚訴訟の傍聴行ってきたレポ③
同性婚訴訟の傍聴行ってきたレポ④
同性婚訴訟の傍聴行ってきたレポ⑤
同性婚訴訟の傍聴行ってきたレポ、幻の⑥
※このページ、役場(=国)の助成金を頂いてる関係上「あまり偏りがあっては…」というご指摘を頂いたため削除した部分なんですが、せっかくなので載せておきます
幻の⑥の代替ページ 「隣にいるのも気持ち悪い」といった発言を受け「"ふつう"にいます」と主張
用語解説ページ


裏表紙


:装丁

写真じゃ伝わりにくいんですが、少しキラキラとした紙を使いました。せっかくまちのお金を使わせてもらえるからには装丁持っちゃお〜🎶、なんてことでは…ない…とは言い切れないけども、

①「多角的にものごとや目の前の人について考える」というLGBTひいては人間関係において大事なことと、「角度を変えると違った見え方をする」特殊紙の相性のよさ
②ちょっと変わった紙のほうがレア感あって手に取ってもらいやすいかも?

といった思惑での選出です。ギリギリの中でのやりくりとやりとりでしたが、きらきらの紙だ〜と喜んでもらえることも実際割と多く、コストを抑えて普通の紙で大量生産vs少し高くなってもこだわった本、どちらがふさわしいか?と考える機会にもなりました。※この場合においては大量生産で多くの方にばらまくのもひとつの正解だし、特殊紙で少し気分の上がるような本にするのも正解だったし、どちらも一長一短だった気がします。


あんまり虹色や「LGBT」を前面に出すと、公共施設で中高生が手に取る/立ち読みするのをためらうかも…という意図から、ぱっと見は「LGBT感」のない表紙や色使いとなってます。
また、「私たちは別に教材ではない」というメンバーの意見から「保健室に置いてありそうな教科書的冊子」になることを避けポップに伝える、を意識してます。そのため結構はしゃいだデザイン……なんですが、今見るとめちゃくちゃ読みにくさはある!! これはデザイン担当した私個人の反省点です。読みやすいけどポップ、みたいなところも今後は狙っていきたいですね…

私単体で記事を執筆すると、どうしても「ビアン」寄りの制作物になりがち(=ビアン全員向け!というわけではないのもまた難しいところ)なんですが、私と異なるLGBT当事者視点の記事などを掲載できるのは団体制作ならではの良さだなぁと思いました。
とはいえ、メンバーの持つSOGIだけでは補えない視点および、同じLGBTという括りとはいえ個々人でかなりの差があるため、内容に偏りは生まれてしまいます。でも、自分では見過ごしてしまう表現についてメンバー間で議論が出来る、などのことが、1人で制作しているものよりも充実したものを作ることに繋がったかも?とは感じています。
メンバーのみんなありがとう〜〜!!


役場の方と一緒に作る、というのも新鮮なポイントでした。
「国」や「老若男女の色んな意見をお持ちの市民」がバックにいる関係上、最大限クレームが入らないように考えてくださりつつ、でも意向を尊重してくれつつ……という板挟みの状態のなか、親身になって一緒に検討をしてくださった役場の方々に重ねて感謝です。

これも没ページ……中高生にも届けることを考えるにあたり、出会い掲示板などの情報は先生陣に難色を示されそう、といったようなご意見。確かに…とは思いつつ、中高生の時にこの情報を知れてたら気持ちが少し楽になる私はいたよな〜とも思いつつ…


また、けじすべ(※同性婚訴訟)でお世話になっている堀江哲史弁護士が監修に入ってくださったことも、本当にありがたく嬉しく、頼もしい限りでした。


・たくさんの方とのやりとり
・不特定多数の目に留まる公的な制作物(間違いがあってはいけないし、誰かに不快感を与える可能性を最大限考慮しなければ…)
と、大変な部分も多かったですが、そのぶん大切な本のひとつです。
関わってくださったすべての皆様、ありがとうございました!

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