レンズを整理する②:SEL55F18Z

(この記事を書き始めた頃のことだが)マジで体調が悪い。余計な炭水化物や下らないジャンクフードを口にしてしまったせいであることはほぼ間違いなさそうである。こんなことをしている場合ではないのだが、俺の人生経験上、途中で投げ出したものを復帰させるのには多大過ぎる労力を払うため、頑張ってこれをやっている。無意味なものにばかり頑張っている。かなり現実がつらいことが推測される。

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†Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA, SEL55F18Z
281g、最短撮影距離0.50mm

単焦点。Eマウント最大の発明にして代表的神レンズ。まあPlanarとかもあるんですけど、この55zか85GMがEマウントを代表するレンズと言ってよいだろうと思う。ホント。何といっても小さくて軽い。値段の割に解像がやばく、凄いということになっている。確かにそういうものだと思われる。これをつけてプログラムオートにしてF2.8くらいでオートフォーカスして撮影すれば何でもめっちゃ綺麗に取れる。開放でも1.8だからフォーカスはずれにくいと思う。

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とはいえF1.8は明るいのであって、夜にも強く、よくボケる。Zeissというブランドのレンズということになっている。光の捉え方に特徴があるとされている。特徴があるというか、よく階調を捉える、という感じがする。色の捉え方にも特徴があり、まあここに掲載している写真は基本的に現像しているのだが、現像する前からクロマティックな写りという感じがする。Zeissはみんなそういうものかもしれない。Sonnarはレンズ構成の種類を指す名前だが、(同じくレンズ構成名である)Planarと比較して、硬質な写りだとされている。暖色ではなく寒色に相性がいいとされている。まあ、そういう部分もあるかもしれない。が、別に暖かい色味でも写る気がしている。ポートレートを取る分には肌を解像しすぎだからやばいとか、ネットの識者は知ったかぶってよく発言している。確かにちょっと撮っただけでめっちゃ肌理を捕まえてしまう、とも思うのだが、一方で「うるせークソがそんな細かいレベルが問題になるほど大した写真撮ってんのかてめえは」とも思う。このレンズをポートレートで使っているプロも別に普通にいる。

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これは全くいじっていない写真だがなんか点光源があったので持ってきた。丸く映っている。端になるとレモンボケになっているが、抑えられている方という感じもする。そもそもこの写真自体なんでこんなボケボケなのかめちゃくちゃ謎だが、多分カメラを振りながら撮ってしまったのだと思うので、ちゃんと撮ればレモンボケ抑えられるのではないか。ボケの中身はそこそこ綺麗といった具合だと思う。

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彩度が高くても絵になると思うが、寒色と相性がいいと言われるだけあり、彩度を落としたもしくは彩度が低いモチーフと相性がいい可能性はある。

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ところで50mmは標準レンズとされている。人間の視野に近いということである。(肉眼は)実際にはもう少し周辺も映っているが、有効視野として考えると、50mmというのは実にジャストな画角である。35mmが標準という人もいるが、35mmは明らかに広い(使い勝手はいいのだが)。ましてスマホなどのレンズ画角である28mmともなると圧倒的な広さとなる。ということで50mmは基本となる画角としてよく重宝されているようだが、それと比べると55mmというのは少し望遠の画角であって、狭い。50mmと比べると明らかに狭いので、使いにくかった。でも55でも50みたいなものだと言う人もいる。難しい。慣れれば気にならなくなるが、それは55を50のように扱えるからではなくて、単に55に慣れただけだからであろう。Eマウントにも50mm f1.8が安く存在しているが、この55zが存在しているせいで大幅に侮られている。安いしそこまで悪くないと思うが、たしかにこのレンズはちょっと格が違う。

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それから寄れないという問題がある。もっと接近して大きく写したいと思っても、50cmまでしか近づけない。つまり近づけない。ここにある絵だとせいぜい花弁程度までである。使い始めの頃は対象を大きく撮りたくて近づきすぎてピントを外してひどい目にあった。こうして色々と撮ってみるとわかるが、このレンズは遠くからものを狙うとよく写る。

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50mmの周辺もいい加減渋滞しているので、手放すことも検討したが、結局手元に残っている。小さくて軽くてよく写るオートフォーカスのレンズということで、結局手放せなかった。対抗馬はPlanar T* FE 50mm F1.4 ZAとVoigtländer APO-LANTHAR 50mm F2であるが、両方とも実に優れたレンズで、しかも完全に50mmなので、フレームにものを入れやすい。しかし、Planarはでかくて重すぎるし、APO-LANTHARはマニュアルレンズというそれぞれ圧倒的な弱みがあるのだった。とかくこの世はままならない。……

ちなみに上記の記事は全てこの55zで撮った。豪雨だった。そんな日にMFレンズやでかいレンズを使えるはずがない。ちょうどいいと思い、55zの作例を増やすという目的も兼ねて実行した。本当はGRⅢなどでもいいかもしれないが、雨の日はシャッタースピードが速いレンズの方がよい、とは明確に思っていた。ところで今日も豪雨である。

しかしまあ、このレンズを手に取ったのは一年前で、冒頭にも述べた通りオートで撮ったものはかなりしっかりした写りなのだが、その後、知ったかぶりのAモード(絞り優先)で流し撮りのスナップショットみたいなものばかりしていたときの写真はほんと使い物にならない。いいレンズを使っていても、使い手の注意や技量、知識みたいなものが最低限を満たしていないと駄目だということがよくわかる。しかしそういう知識は聞いたままにやればいいものであって、心がけの問題である。やれといわれてしっかりやる人であれば、小学生であってもすぐにちゃんとしたものになる。そういう点で本当に初歩的な注意なのだが、それを満たすと、レンズやカメラのスペックが生きてくる。

だから最高品質の機材を使うことには明確な意味があると思うしぜひすべきなのだが(廉価品ではなく高級品を使うだけで解決する問題が非常にいっぱいある)、その上で、やはり写真というものは撮り方であり見せ方なのだなあ、と思うのであった。むらかみ。

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