執筆雑記(2018年6月20日(水))①
2018年6月20日(水)①
デティールの掘り下げ
作品の内容にもよるが小説を一作書くにあたって様々な知識・情報を収集して盛り込むことになる。
現在執筆中の7月の文芸同人誌即売会で頒布する新刊は、少女の復讐を題材にしたものなのだが、当初の構想からはるかに作品の濃さが増した。
当初の構想では主要登場人物は4人だったのに対して、現在は脇役を含めて30人にも及んでいる。
登場人物が増えたことによって人と人の関わりというのも作品に盛り込めたと感じている。
それぞれの登場人物には作品に盛り込んでいない細かい設定も考えてある。
例えば、射撃場のオーナーの黒人男性の老人はベトナム戦争で戦った経験があるなど、細かい設定を考えるのも小説執筆の楽しみでもある。
その他、作品内のデティールの掘り下げとしては、銃に関する知識を盛り込んでみた。
冒頭で殺し屋が使用する拳銃がコルト・ガバメントというものなのだが、「ガバメント」という言葉には「政府」や「統治者」という意味が込められている。
言葉の意味を考えると殺し屋に似つかわしくない拳銃と言える。
作品の中で拳銃を使うことで注意したのは、撃った弾丸の数とマガジンの装弾数だ。
前述したコルト・ガバメントという拳銃の装弾数は7発で、リボルバー式の拳銃に次いで装弾数が少ない。
「天才バカボン」のおまわりさんは装弾数を無視して続けざまに発砲している。
ギャグ漫画だからこそ細かいことを気にすることはないが、小説においては「殺し屋は弾を撃ち尽くしてマガジンを素早く換装した」などの表現が加わると一気にリアリティが増す。
デティールを掘り下げる際に注意しなければならないのは、商品や店舗や施設名などの固有名詞を使用することについてだ。
以前、作品内で商品名やキャラクター名を使う必要があり、取り扱っている各組織・団体に問い合わせたことがある。
快諾されるものもあれば許可が得られないものもあり対応は様々だった。
アマチュアの段階では固有名詞の使用は極力避けたほうが良いと僕は認識した。
問い合わせ先から回答が得られないこともあったりして本当に面倒くさい。
回答が得られないとその部分の描写だけ不鮮明になってしまう
こういった点をプロの小説家の方々はどのようにクリアしているのか機会があったら聞いてみたいと思う。
現在執筆中の作品は、当初の予定から遅れているものの今週中に完成する目処が立った。
書き上げるまで苦労することもあるけれど、その苦労を含めて小説を書くのは面白い。
体調を整えながらラストスパートをかけようと思う。