EVOJapan2020の冒険
EVOJapan2020に挑戦してきました。
結果は5位。本家EVOと変わらない順位。
それでも自分にとっては大きな成果となったし、自信も付く結果になったと思います。
EVOはどのトーナメントと比較しても特別な舞台。その壇上に上がるためなら何でもする。その意気込みで特訓と研究に捧げてきた1ヶ月でした。
少しだけ自分が取り組んできたことの内訳を書いていきます。将来自分が行き詰ったときにこの情熱を忘れないように。
EVOにこだわる理由
そもそも自分がスマブラを続ける理由がこのEVOに集約されていると言っても過言ではありません。
メディアの注目度はスマブラ界隈を知らない一般層にも及び、TOP8に登ればその注目度は跳ね上がる。自分がのプレーを世界に見てもらう絶好の機会です。
だからこそ勝ちたい。なんとしても3日目に進みたい。その意気込みで最初のトーナメントが発表されてから役1か月もの間、運営に何度もトナメ変更の可能性の有無を問い合わせつつ対策の準備を進めてきました。
トーナメントが確定する日程は告知されていたものの、運営からの音沙汰は無し。変更の可能性は無いとみて、早速自分の当たる相手の対策に取り掛かりました。
情報は全て動画に詰まっている
今回自分が今までの取り組みから大きく変えたポイントがあります。
それはフリーの対戦時間を減らして研究にのみ注力すること。研究は配信と昼間の空き時間ランチに出かけながら一人で行うことが多かったです。
研究の方法は以前からも紹介している動画を視聴することによるクセ分析と、トレモによる数値やら反確の検証のみ。
フリー対戦の時間を減らすことによる恐怖心は少なからずありました。しかし結果的には対戦を行い続けるより高い効果が得られたと思います。同じキャラの動画を見続けたことで試合中に不安が生じることもありませんでした。
よく「レアキャラは参考動画が少ない」とか「自キャラとの対戦動画が無いから参考にならない」という理由で研究を切り捨てる人がいますが、これらは間違った認識です。
情報は全て動画に詰まっている。キャラが違っていても対策したいキャラの動きが分かれば脳内で数値化して予測できます。
レアキャラとはいえオンラインの対戦動画や海外の動画を見ればキャラの概要は掴めるので、見ない理由は存在しません。
今回参考にした動画も自分との対戦以上に他の人との対戦を見て、その人にしかない癖を分析できたのが大きかったと思います。
また、自信の立ち回りの甘さを見直すために勝ち試合ではなく負け試合を徹底して研究した時期もありました。これはときどさんが執筆された世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0でも紹介されている向上方でもあります。先陣を切る者として毎度本当に素晴らしい文章を残されていて、感謝の極みです。
相手の対策と自信の立ち回りの軸の改善。この2つを武器にEVOJapanに臨むことにしました。
体調/メンタルの管理は徹底する
僕は幕張から電車で20分少し程度の距離に住んでいるのですが、にもかかわらず当日はホテルを取り過ごしました。
緊張も当日は凄かった。ただ自分はEVOで同じように緊張を抱えながら対戦する状況を経験しているのと、2日目のNeiN戦で配信台に行けたのが大きかった。最初の配信台はお世辞にも良いゲームメイクができたとは思えず、気持ち的には「負けたくない」が先行していた気がする。
それでも持ち直せたのは勝った先にバナムかしょーぐんのどちらかがいると確信していたから。今回のトーナメントでまず間違いなくどちらかが勝ち上がってくると確信していて、対スネークに関してはそれを目的にわざわざ中部に泊まり込みでDIOさんと特訓に付き合ってもらった程。そんな状況下で途中で負けることは許されない。
これから楽しい試合が始まるんだと思うと緊張はどこかへ消え去り、いつも通りのプレーができるようになったと思います。ルーザーズの試合は感情移入しちゃうので一切見ずに勝利したバナムさんとの試合を配信台で待ち続けました。
相手の対策の先を行く
今回当たる予定だったプロトバナム戦、しゅーとん戦は特に時間をかけて研究を費やしました。
そもそも途中で負けてしまっては意味のないトーナメントかもしれない、それでも勝者側のままこの2人に勝たなければ裏で駆け上がるのは厳しすぎると判断しての決断でした。
プロトバナム戦は普段からフリーもがっつりやっているのでそれを参考にしつつ、普段自分が撃墜に利用しているセットプレーは何一つ通らないだろうと予測しました。
本人もかなりの研究家な上に、動画に残っている材料とは逆のことを仕込んでくる可能性が大いにあった。そのために相手側の新しい対策を予測する必要がありました。
缶の設置+ガードにやることが無いと困っていた印象だったので対策を取るのだとしたら
1.NB(シールドブレイカー)をひたすらに使う
2.ガン待ちに徹する
のいずれかだと仮定。キャラとプレイヤーの性格的に、待ちはそこまで得意ではないと思ったので取ってくる対策は簡単かつ有効に見える1と断定。NBを通すシーンは逆に自分の火力の起点にしようと考え当日挑むことに。
特に下強、空N先端着地からのNBは彼が最も得意とするだろうと踏んで、NBのタイミングを予想し続けて返しの一撃を与えられるようにしました。
結果的にNBには予期せぬタイミングと2戦目最後の競り合いで割られたシーン以外での被弾は無し。全て予測ジャンプから反撃を入れられたのでかなり良い内容になったと思っています。
しゅーとん戦は逆に苦しい結果となってしまいました。もともと予定していた対策が相手の回避をひたすらに狩って浮かし続けるというものだったので、回避をしないどころかガードキャンセルジャンプのタイミングに空上を合わせてくるようになったしゅーとんの立ち回りには1戦目成すすべもなくやられてしまった。
後で話を聞くと「最近対策してくるプレイヤーがみんな回避を狩ってくるから立ち回りを変えざるを得なかった」とのこと。
この1年で立ち回りの変化を殆ど感じず、それでも勝ち上がってきたプレイヤーだと思っていたので、本人もEVOJapanに向けて変化を取り入れてきたのだと普通に感動した記憶があります。
TOP8までの残り1手
残された切符を手にするには敗者側から登ってきたあばだんごを倒すしかない。
幸いにも直近闘龍門で戦って対あばだんごワリオの概要は掴めていたのでステージ選択は迷いなく行えました。1戦目のストック保持以外はイメージ通りのゲームメイクが行えたと思います。
ただ2戦目の内容が悪く1本取り返されてしまう。下馬評ではワリオにすま村を残すなんてあり得ないとまで言われていましたが、立ち回りで圧倒できるキャラ相手に逃げられておならを溜められるよりも、しっかり仕留めきれるようにすべきだと考えすま村を選択。
結果的に勝利しましたが相手の対策も進んでいて割と接戦気味になってしまったのは少し反省でした。何はともあれこれで3回連続でEVOのTOP8進出。思わず叫んでしまった。
満を持して迎えたTOP8
以前から壇上に登ったら試したいことがありました。
前回のEVOの勝者側と敗者側、どちらも緊張で判断をミスってしまうシーンが多く予定通りに進まないことでまだ慌ててしまうことが自分の弱点だと。
ならばいっそこれまでの人対策は捨てて、これまでの経験と自分が新しく用意した立ち回りの軸のみで行って、試合中に修正を加えていこうといった感じです。
TOP8の舞台、初戦はshkyゼロサム。
shkyがもとから強いのは百も承知だけど、普段の立ち回りからズレた強い行動を多く取り入れてくるに違いない。ヤツは大舞台だと一際強くなる。
それを理解していたからこそ、上スマや空中後ろを狙われるシーンではひたすら防御して得意のセットプレイを繰り返すことができました。それでも空Nフリップ当たらないと謎に確信したシーンで2度も決められたけど。
最後は相手のミスもあったけどお互いに競り合ったシーンでギリギリ凌いで勝利。仲が良かった分強い思い入れもあった。同時にEVOの舞台で初めて勝利を収められた試合でもあった。ここ最近で間違いなく最高の試合だったと思います。
続くコメ戦では予定していなかったバンジョーを投入。当日にバンジョーを使うことはないと断言しておいて何故バンジョーを選択したのか、確かな理由はありませんが緊張が一切ない状態だったからこそ自由に動かせられる気がしたんだと思います。
ゲームメイク自体は良かったんだけど、ノリノリすぎて本来対シュルクで重要な「撃の時に飛ばない」「その場回避を使わない」といった対策が完全にどっか行って2戦目のミス以降はしっかりと狩られてやられてしまう。
最後は相手の超難度テクを決められて僕のEVOJapanは幕引き。コメさん見事だった。
おわりに
今年のEVOJapanの壇上は予想していた通り素晴らしいものでした。
選手に最大限に配慮してくれる運営、どこを見てもアツいと言わせるマッチアップ、豪華すぎる実況と演出の組み合わせ、満席どころか立ち見まで作る観客、桜井さんの登壇、そしてしゅーとんの優勝・・・。
自分が観客なら思わず泣いてしまいそうな、それくらいアツいシーンばかりでした。
EVOJapanも最高だったけど、やっぱり自分の成長を肌身で感じれたのが特に良かった。色々な人にも言われ自分でも確信したけど、準備期間をしっかり取れた時のトーナメントは確実に結果が出せるようになってきてる。
軸足は定まったので、あとは他のトーナメントでも成果を出せるようにするだけ。ここからが気張りどころです。
※写真提供:Darimoko(Twitter)