SEX for BreakFast
「今日なにしよっか」
トーストを貪る彼女が言う。
起き抜けに僕のシャツを奪い、髪の毛はボサボサのまま、微睡んでいる頭にカフェインを流し込む。
僕はといえばトーストを奪われたのでキッチンでトースター相手に勝ち目のない睨めっこを挑んでいる。
焼けたベルの音に合わせて飛び出した食パンは惚れ惚れするほど香ばしくも甘い匂いを振まいてきた。
思わずその香りにうっとりしてしまったので、今日も睨めっこは僕の負けだ。
「今日どうするの?」
トーストを食べきりコーヒーを啜る少し冴えてきた彼女がいう。
僕はトーストに塗るバターの量を考えるのに忙しいのだ。今日の予定など決められるわけもなかろう。
トーストが冷めてしまったら、バターの香りが立たなくなってしまう。
時間との勝負なのだ。
バターナイフでひとすくいしたバターをトーストに広げると、小気味良い音が広がる。
トーストに溶け出して行くバターからもまた甘い香りが鼻に抜けてくる。
口に運びひとかじりすれば、サクサクとこれまた気分の上がる音が自分の中に響き渡るのだ。
「今日はどこに行きたい?」
冴えた顔になった彼女が横に立っていた。
心なしか髪の毛も落ち着いている。
僕はふと思い出したので彼女に提案してみた。
「バター切れたから、買い物行こっか」
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