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PUI PUI モルカー ザ・ムービー MOLMAX見てきた(ネタバレ有)

遅ればせながら、先日ようやく見てまいりました。
AIと書いて(あい)と呼ばせるモルカーと従来の自由気ままなモルカーたち。

IT関連のお仕事されている方が見れば、少しニヤリと笑ってしまったり、もしくは「これだけ自力で何でも考えて仕事してくれるAIが入ればな」というお疲れ社畜気味の方もおられるかもしれない。
もしくは、メニメニアイズカンパニーのノリがきつすぎて私ここじゃやっていけないとお思いの方もいるかもしれない。
(ちょっと自分は、あの職場で友達できる自信がないです)

パロディ要素満載と聞いて期待して来たんですが、序盤のクラシックアレンジのBGMからもうかっこいいですよね。小フーガト短調(バッハ)
別に自分が音楽に造詣が深いというわけじゃなく、小学生の頃に小フーガト短調の一説をピアノで弾けるようになれという授業があったので覚えているだけです。未だに弾けるわ多分。同じ授業受けた人たちも皆そうじゃないかな。

パイプオルガンで奏でられる、聖堂で流れるような荘厳な雰囲気はまさにボス戦という感じがしますよね。
後は、キャラクターにカノンって名前が出てきますが、パッヘルベルのカノンアレンジもありましたっけ。ちょっと感動したんですよあれ。
知ってる曲のアレンジ、それもカッコいい感じで流れてくると「お!」とテンション上がってしまいます。

※小フーガもカノンも、名前は知らんけど多分検索して聞いてみたら「ああ聞いたことある」って感じだと思うのでお暇な時にでも是非。

さて、この映画は大塚明夫さんという日本を代表する声優の尊い声帯酷使でなりたっている作品と言っても過言ではありません。
人間の台詞の八割はたぶん彼。八割は言い過ぎだとしても七割は確実に彼。

大塚さんといえばルパン三世の次元やメタルギアソリッドのスネークなど、上げたら切りがないぐらい有名作品のキャラクターを演じられておりますよね。
私の中ではクロックタワーゴーストヘッド剛元 亘さんかな…
(同作の宇路 達士さんの声もあててるとは知らなんだ)

そして、もう一人の立役者は相葉雅紀さん。
そりゃあ、アイドルや芸能界に詳しくない私でも名前ぐらいは存じ上げております。嵐の方ですね。

知ったような口をきくと、役者さんって時にご自身の魅力を押さえてでも役を演じねばならないってことがあるんだと思います。
相場さんはその辺りが非常に上手く、なんというか「胡散臭いぜCEO」「どこか軽薄そうだぜCEO」という前半のぺらさ具合がハチャメチャに上手かったのです。

何というか、魅せない演技を見せるといいますか。
ヘイトの対象ではなく嬌声が上がるようなカリスマ的魅力でもなく「ああ、なんか薄っぺらい数日したら忘れてしまいそうな人間」みたいなキャラが、本当に上手かったのです。
(役ならびに役者さん批判では決してありません)

無論ぺらいだけではなく、中盤では若かりし頃の色々なものに燃えていた彼、そして後半では彼の本当の意味で人間らしい声が余すことなく出ているので、余力があれば二回は見たいですねこの映画(圧縮された一時間と8分はあまりにも短すぎる)

この作品、友人と見に来ていたんですが映画見る前にハンバーグ食べたんですよハンバーグ。
※札幌牛亭という多分つなぎ無し100パーセント牛肉のハンバーグ。胡椒がきいててスパイシーでとても旨い。友人曰く「この肉飲める」とのこと。
系統としてはさわやかやビッグボーイ寄りじゃないかな。

その時に、私はこのお店のハンバーグが大好きなので友人に「喰ってみ、飛ぶぞ」とおススメしたんですね。

ドッジのドライバー「飛ぶぞ」(モルカーズに自家製のニンジンを差し出しながら)

事前に予期せぬ予習ができてよかったです。
取りあえずポテト君がニンジンジャンキーであるおかげで(DSから彼にはそのケがあった)ドッジのドライバーはモルカーズという強力な仲間と出会うことができたわけで、何となく俺達の監督こと見里監督が知能指数を下げさせた理由がわかったようなわからないような。

「僕たちがドッジを探し出してあげるよ!」

が、少年誌としては正しいんですがモルカーは子供向けではあるがガロ的サブカルと仄暗さとリアリズムもあるわけで、この時の彼らモルカーズは「ドッジ、誰?」でさほど関心がなく「デカいニンジンがなんかしゃべってらぁ、おもろ」ぐらいの関心レベルが現実的だったかもしれませんね。

そして、モルカーはやはり車という側面が見受けられたというか、個々の能力はあるがドライバーの力が肝心であるというのがわかりましたね……
多分DS(DRIVINGSCHOOL)でも教官としてやっていけそうな、もしくはスタントマンとしてもやっていけそうな、グラサンかけたスキンヘッドのデカいニンジンの力強いこと力強いこと。

ゲームで言うところのゲームバランスのため、ドッジのドライバーが「お化け怖い」にしたのは、所謂調整というやつかもしれません。
主人公が強すぎて面白いのはワンパンマンぐらいなもんだ。

ドッジを、というよりドッジのうんちを求めて東へ西へ、個人的に竜宮城的で見つけたドッジのうんち型ネックピローはグッズ化してもいいんじゃないかね、と思いました。ドッジのドライバーじゃなくてもうっかりノリで買うかもしれん。ファンが。
何となくなんですけど、AIモルカーでモルシティが埋め尽くされてもトレジャーモルカーだけはあの姿のまま、遺跡にいると思うんですよね。

ここは少し厳しめかもしれませんが、DS同様全般のうんち探しパートはファンの人向けというファンサパートのきらいがあり、モルカーというものを知らずに気まぐれに映画館に入った場合、少し置いてけぼり感を覚えてしまうかもしれません。
それでも声優陣の豪華さは凄まじいけども(ゆかりん……)

モルカー達はどこから来て、どこに行くのか。
中盤から後半のホラーパートのような残酷な種明かし。トチ狂った音楽と共に実はAIモルカーに改造されてゆく従来のモルカー達と、何故かこんな時だというのに上映中たまらなく回転寿司が食いたくなるような演出。

モルカーは乗り物ではありますがどちらかといえば馬(賢さは馬より若干劣るかもしれん)のようなそれ。食費や排せつ物の処理など手間も多かったのでしょう。AIモルカー便利じゃないか!と真実も知らずお試しであっさり、愛モルカーを託児所感覚で預けるドライバーたち。

シロモドライバー。今までシロモンペとかシロモパスとか言ってごめんなさい。アンタは本当の聖人ドライバーだよ。
彼だけは最後まで、同調圧力にも負けずシロモをシロモとして愛し続けた人でした。

灰色になったモルシティ、ぎすぎすした渋滞や衝突、遅延に苛立ち心に余裕がなくなってゆく人間たち。これはそもそもモルカーがどうして生まれたのかという監督の理想の楽園の逆バージョン、ディストピアとなっており普通だったら「よく原作者が許したな」と思われるかもしれませんが、彼はメリバ残酷描写ディストピアでも比較的生き生きとしている人なので多分大丈夫です。
※参照:マイリトルゴート

今回DJモルカー結構悲惨な目に遭っていたのと、DJモルカー飼い主がちょい役的に愚かな人間サイドの役割になっていましたね。

人間は愚か?

どちらかというと、モルカーでもなく同じ人間でもなく、まさかAIに「人間はいらん」と判断され捨てられかけてしまうとは。
AIからしてみれば「こいつらさっさとあの世に送った方がどっちも幸せ」判断になってしまったのが堪らなく恐ろしいですね。

そして……うん、途中から薄々気づいていたよ、カノン。
お前だったんだねドッジ。

メニメニアイズの連中との邂逅と、ドッジとドライバーが引き裂かれてしまった原因が、もうどうしようもなさすぎてやり切れなさ過ぎて泣けました。

ドッジのお手々が一部AIモルカーのタイヤになっていることから、ケガは相当に深かったのでしょう。それこそ競走馬なら予後不良になってしまう程度には。
メニメニの人たちもこれまで傷を追ったり何らかの要因で捨てられたモルカー達の末路を見続けており「元々野良のモルカーなのだろう」もしくは、ひょっとしたら「このモルカーの飼い主はもう戻ってはこない」と善意で彼を引き取ったんでしょうか。

結果として、ドッジの怪我についてはドッジのドライバーだけでは手に負えなかったかもしれませんし、お医者に連れて行く頃には容体が悪化していたかもしれない。

メニメニが思い描くAIモルカーの最終形態を見るに、AIモルカーのボディからモルカーを取り出してスカイエンジェルと一緒に空を飛ぶビジョンであったかと思います。
ので、AIモルカーの形態は一時的、彼らにとって途中段階なのかなと。
仮に閉所恐怖症のモルカーが居たとしたら、彼らにとってAIモルカーは結構地獄だと思うんですが、中に入っている間は眠らされているのかしら。

メニメニアイズの連中は、モルカーを虐待する意志は当然ないのだと思いますが、新歓のアルハラみたいにドッジに芋を食わせ続けるのはどうかと思います。

プロトタイプのカノンからドッジが出てきた瞬間、彼の行動って割と特攻よりでしたよね。
お腹の中にあるこころかぷせるを、浮遊するよくわからんものにぶつければいいんだね!というあたりまでは、多分彼もわかってるんだと思います。

ドッジに限らず、物語中盤から後半にかけてモルカー達の知能指数は爆上がりしていますが(当社比)
彼ら、学習するんですよね。歩みがゆっくりであろうとも。

オチは勧善懲悪ではないですが、非常にすっきりというか爽やかな終わり方だと思いました。一部の尊い考えの人間である「モルカーにとって本当の自由は誠の自由か、それともある程度監視下に置いて役割を与えたほうがいいのか」という政策のようなものに、モルカー達は付き合わされ時にとばっちりも食らいながら。

それでも小さき命に付き合ってやっているモルカーの懐の深さというべきか、特に何も考えていないが故の鈍感力が上手く作動したというべきか。

ともかく次回作があるとのことで、そちらも非常に楽しみです。
「モルカーの夏休み」とかでもいいので、よろしくお願いいたします。


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