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高校生のときに親にカミングアウトした話
※経験談であってカミングアウトを推奨するものではありません※
※親しい人からカミングアウトされた場合はそれを許可なく他者に言うこと(アウティング)は絶対にしてはいけません※
LGBTに関する悩みとしてよく挙げられるのがカミングアウト。それまで明かしていなかった性自認や性的指向について本人が他者に打ち明けること。
カミングアウトすることで隠し事をしているという罪悪感から解放されたり、コミュニティのなかで祝われたりということもある一方、それにより人間関係に変化が生まれたり、いじめの原因となったり、アウティング(同意なしに他人のセクシュアリティを言いふらすこと)されたことで自死につながった事件も起きてしまっている。(一橋アウティング事件)
現在僕は、高校の先生、高校・大学のカウンセラーさんなど自己判断で相談するために伝えた人、Twitterで繋がっている高校の同級生やTwitterで知り合った人、そして両親に程度や形式は違えど自分の性自認、セクシュアリティなどについてオープンにしている。
その中でも両親にカミングアウトしたときの話について書いていく。
きっかけ
僕が両親にカミングアウトしたのは2020年7月31日。特別その日を覚えているわけではないが、その頃良くたわいもない話をしていた友だちがいて、その人とのLINE曰く去年の夏だったらしい。
その友だちをAさんとする。Aさんは僕の趣味垢のフォロワーのフォロワーでたまたまキャスで遭遇して意気投合して仲良くなった人。僕より数個年上で気さくでかわいくて後からMtFと知った。その頃、コロナで学校が休校になったり分散登校だったりしていて、課題も多く、計画性皆無の僕は夜な夜なAさんのキャスに行ったり通話したりしながら、メイクを教えてもらったり、趣味やどうでもいい話はもちろん性自認に関する悩みなんかも話したりしていた。
休校期間中、中高生活を捧げてきた部活も引退し、受験生らしい生活をするような人間ではないので時間を持て余し、自分と向き合う時間が増え、それまであまり触れてこなかった自分のことについてなにかアクションを起こそうと、ネットサーフィンしてみたり、「○○県 LGBT」で検索して出てきたLGBT支援団体の交流会やTwitterで流れてきたアセクシャルの交流会にオンラインで参加してみたりしていた。
また、成人式の振袖に関するダイレクトメールが家によく届くようになり、着物屋から電話がかかってきたり訪問で案内が来たりするようになってきていた。それまでは、成人式の振袖に関しては人生においてなかなか着れる機会があるものじゃないし経験として着る分にはいいんじゃないか(振袖と同じかそれ以上に紋付袴も着てみたいけど)くらいの気持ちでいたが、案内が来れば来るほど振袖に対する嫌悪感というか振袖の対象となっていることへの嫌悪感が増していった。(オンライン交流会で成人式どうだったかについて話題にしたこともあった)
心当たりがあるものでは主にこの3つのきっかけで、両親にカミングアウトしよう、と思い立った。
それまででも両親は、僕や妹が自分の意思で男性物の服を着ることや髪を短くすることについて特に口出ししては来なかったし、恋愛関係についても何も口出ししてこなかった。なのでクローゼット(カミングアウトせず秘密にしておく)のままでも特に支障がある訳でもなく、よくあるLGBTの親からの押し付けや偏見がしんどいといったエピソードなんかからしたら僕は恵まれた環境にいたわけだが、その分自分を偽っているような隠しているような罪悪感みたいなものを感じていた。
カミングアウトした日の話
カミングアウトしようと思い立ったときとカミングアウトし終わったとき、Aさんに報告していた。
この会話にあるのが残ってる全てで、この通りボロ泣いていたので正直あんま記憶がないが、親と話すだけなのにめちゃくちゃ緊張していた。あと確かカップ麺を食べようとお湯を入れてから話し始めたのでカップ麺がめちゃくちゃのびたのを覚えている。(大切な話をする前にはカップ麺にお湯を入れないようにしようね😉)
伝えた内容は、
・最近振袖のダイレクトメールが沢山来る。成人式の振袖は着てみたい気持ちが無いわけじゃないけど同じくらい紋付袴だって着てみたいし、この考えがこれからどう変わってくかとか成人式行くかとかも分からない。でも子どもの振袖姿を見たいという親の話も聞く。
・自分が女性じゃなくてかといって男性になりたくもなくて、自分が男性でも女性でもない。ずっとそう思ってるけど言えないことが罪悪感だった。
というような感じ。話の前後とか細かいとことかなんも覚えてないけどたぶん。成人式の振袖について話すついでにカミングアウトという形で話した。性自認に関することは当時(今でも)確信はなかったし、自分にとっては性自認の方に悩みの比重があるので特に伝える必要も感じず伝えなかった。
親は、小さいときからそんな感じだったし分かってた(LGBTだってことをではなく僕がそういう人だってことをって感じ)。無理に言う必要はない、分かってくれる人は分かってくれる(LINEのスクショ参照)。成人式は好きなようにしな。といったことを言ってくれた。
(僕がボロ泣きしてたからかもしれないが)突然だったにも関わらず僕の話を聞き、受け止め、話してくれてほんとに恵まれてるなぁと思っている(今も思い出して泣いてる)。親を人として尊敬しているというか、このとき受け入れられたことや声かけられたことが自分の中のお守りみたいなものになっている。
このあとAさんと通話して話聞いてもらった。リアルの友だちや知り合いに突然にこの内容のLINEするのははばかられるし通話で泣きつくのも抵抗があるので、Aさんがいてかなり心強かった。
当時に比べると今はより女性らしさへの嫌悪感が強くなっていて、写真撮るだけや経験としてという体でも振袖は着たくないと思っているが、このことがあったので今のところ成人式への億劫さは特になく、気楽に好きなように自分らしく生きてられたらな、気が向けばスーツで成人式行って中高の同級生の変わり様を遠目に見れたらなとおもう。
おわりに
カミングアウトのきっかけや方法、相手は人それぞれで、するもしないもそれぞれの自由である。カミングアウトしている有名人や身近な人を見て無理にしなくちゃと思う必要もないし、したいと思えば相手や状況をみてすればいい。同じように誰かからセクシュアリティに関する相談やカミングアウトを受けた場合は相手をラベリングするのではなくその人自身とよく向き合って話を聞いてほしい。
カミングアウトが大袈裟なものじゃない世界になったらいいな。
10月11日はカミングアウトした人を祝福し、LGBTに関する認識の向上することを目的としたカミングアウトデー、きっと色んな人のエピソードを目にすることができるでしょう
記録がてらの僕の経験も誰かがカミングアウトする、されるときの少しの参考にでもなれば幸いです。