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パイプ煙草最高。これさえあれば、なにもいらない

パイプ用の煙草が届いたので吸ってみました。今までの(浅い)喫煙体験の中で最高です。これで週末に他の煙草(紙巻き、マシンメイドシガー)を吸う意味がほぼなくなりました。ハンドメイドシガーはそう頻繁に吸うものでもないし。

イルステッド・オウン、2500円くらい

フレイクといって、葉を厚い板状に圧縮してあります。ありえないくらい固い缶を開けると煙草屋を凝縮したような濃い香りが溢れます。ずっと嗅いでいると気分が悪くなりそうです。
しかしこの時点で、ほんの少しその煙草屋の匂い(つまるところ、あらゆる煙草の匂いを平均化したもの)とは少し違う顔を見せています。レーズンが一番近いでしょうか。

持ち上げると崩れていくつかの断片になるくらいの柔らかさです。はっきりと水分由来の質量を感じられる程度に湿っています。またこの香気が非常に強く、取り出した瞬間にどこからともなく小バエが飛んできます。
これを1/4に畳んでパイプに突っ込みます。繊維が縦になるようにしましたが、少しはみ出してしまったので結局指で押し込みました。吸いにくくなければ如何様にしてもいいと思います。

いざ喫煙

記憶の中で他のあらゆる煙草が吹き飛びました。主流煙がうめえ。副流煙がうめえ… これに比べると山岡さんの鮎はカスや… 紙巻きなんぞ煙草に対する冒涜や… (いや紙巻きは紙巻きで葉巻の後に吸うアメスピなんかは最高なんですが)
ある日奮発したキューバ産の葉巻以来の、いやもしかしたらそれを超える感動がありました。
前回パイプを吸ってみて辛いと言いましたが、当然でした。あのときはこれを待ちきれず、というかパイプのために作られた煙草の重要性を知らず、手元にあった紙巻きのシャグを詰めていたのです。乾燥したシャグでは、というかヒュミドールで加湿してあったとしても辛いに決まっています。

不思議な香りがしました。甘いのです。僕はこれを言い表す言葉を知りません。参考までに、こちらの紹介文を読んでください。

乾燥したシャグと違い、クールスモーキングは少なくとも難しすぎることはありません。喉を閉じ少し顎を開いて、舌を奥に引っ込める感じで口内を徐々に広げていきます。口を離したときほんの少し火皿から煙が立つくらいを目標にします。これを維持するのはかなり難しいですが、できたときには煙草の煙ったさを最小限に抑え、味と香りを最大限に引き出せます。火をつけたばかりの紙巻きを100倍おいしくした感じです。
翻訳文のさらに孫引きになってしまいますが、こんな文章を見つけました。

バージニア・フレークの喫煙をマスターするにはほとんど芸術的といえるスキルが必要だが、しかし努力の甲斐はある。習得すればするほどバージニア葉の知らなかった秘密があらわれてくる。バージニア葉の湿り気と喫煙温度はたいへん狭いレンジに収まり、その範囲で吸えば完璧な栄光があらわれる。湿り気が多すぎれば、煙は湿り、香りが失われる。乾きすぎるとヒリヒリするし、舌焼けする。乾き気味のほうが適しているとはいえきわめてデリケートだ。フレークたばこのほとんどは湿り気味にパッキングされているので、喫煙に適した湿り気にするには乾かさなければいけない。

翻訳の孫引きってどう表記すんの

その通り、湿り気はともかく、極めて狭い範囲の温度で突然香ります。それを維持するには神がかった喫煙管理能力が要りそうだという直感は合っていたようです。火種の位置、特に上にどれだけ灰を被っているかによって適切な吸い込み圧が変わるのがまた厄介であり、コンパニオン(前回出てきた指の聖印みたいなやつ)で灰を調節しながら見極めるのが楽しくもあります。

40分間(これでもペースは早い方らしい)を吸い終えて、ヤニで少しベタつく手を洗いたくなくなりました。煙を被った全てがいい香りです。おいしい鮎は手で食って、その指さえも舐めたくなるものです。

これだけ長い時間吸っていればヤニクラが来そうだと身構えていましたが、温度を上げない限りは適度に効いてくれます。たった一本分のシャグでさえ温度を上げすぎるとニコチンが効きすぎて少しつらかったので、やはり効きは温度に大きく左右されますね。クールスモーキングさえ守っていれば、調合者であるパイプ職人のイルステッド氏が計算ずくで作ったのではないかと思うほどちょうどよく効きます。

もうひとつ、Choo choo trainという名の煙草も試してみたいと思っています。蜂蜜漬け。


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