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推しへの「愛」 

まえがき

11月最終日のきょう。思えば激流の1カ月だった。せっかく入った会社がパワハラ気質で上司に殴られ退職。再起を起こして転職活動をしたが面接で不採用。「なんで俺ばっかこんな目に…。」と思っていたらいい知らせがあった。

競馬つながりのフォロワーの、こよみさんから「中山競馬場に行く!」と連絡が来た。関西圏に住んでいる彼女が、ホーム開催で競馬もしてる中で、中山競馬場に来る。何ごとだと聞いたら「推しの馬が中山でデビューするから行く」と返事が来た。その馬の名は「エクラドネージュ」。白毛の馬。馬名の由来は「雪の輝き」。
白毛馬のデビュー戦と、その彼女の熱意に押されて筆者も中山競馬場に向かう決意をした。

推しへの愛

東京駅で待ち合わせをして一緒に中山競馬場に向かった。中山競馬場に着くと歴代の皐月賞馬と有馬記念馬のパネルに出迎えられる。数々のドラマが中山競馬場であったことを語り継いでいる。

オグリキャップのラストシーンもこの地で。

最初に、ターフィショップへ向かった。「推し活」で筆者はドウデュースのぬいぐるみを買った。こよみさんは「イチゴケーキチャン」を購入。ただ、これは「推し活」の序章に過ぎなかった。

エクラドネージュ

ターフィショップで買い物を終えると彼女はおもむろにカバンから、ぬいぐるみを取り出した。エクラドネージュのぬいぐるみだ。それにドレスのようなものとリボンをつけていた。応援するために自前で作ったらしい。「推しへの愛がすげえ!」と感銘を受けた。
しばらく競馬場をふらふらしてるとその時間が近づいてきた。「白毛馬のデビュー戦」と言うワクワク感と、「こよみさんが、松島オーナー(ドウデュースの馬主)みたいに感動しすぎで放心状態になってないといいな」という思いでパドックで待っていた。

エクラドネージュがパドックに来た。カメラのシャッターが一斉に切られる。次第にパドックは人が増え、「あれ?有馬記念って今日だっけ?」と思わせるくらいの人人人だった。
停止命令がかかって鞍上の坂井騎手が騎乗した後、カメラを持ってグランプリロードへ走った。

エクラドネージュのパドック
グランプリロードから本馬場へ

メイクデビュー

本馬場入場が始まり、「新馬名物大名行列」が見られた。晴天の青空にエクラドネージュの白い馬体が映える。返し馬を見送ったあと、私はこよみさんを残し4コーナーへ向かった。
中山のゴール板前が暗く、「でもどうしてもレースの写真が撮りたい!」と思ってとっさに思いついたのが4コーナー。

大正解だった。

ファンファーレが鳴りゲートが開くとエクラドネージュの鞍上坂井騎手はハナを主張して先頭にたった。他のライバル馬を引き連れてコーナーを過ぎていく。「いけ!がんばれ!」その白馬にエールを送った。


秋の名残が残る中山を先頭で駆け抜ける

結果は7着。ただその時は「負けて残念」ではなく「よく走った!」という気持ちの方が強かった。今までターフで星になってしまった馬をたくさん見てきただけに「まずは無事に走ってこればそれでいい。」と思っていた。

撮影後、こよみさんの元へ向かった。なにを話したかは覚えていないが、「よくがんばっなよね」と話したのは覚えている。芝1200mの一瞬の雪の輝きは幻だったのだろうか。いや、そこにはエクラドネージュという馬が中山競馬場でデビューして無事に帰ってこれたという事実があった。

ステイヤー兄妹

エクラドネージュの余韻もさることながら、その熱狂した熱を耕一郎のモカソフトでクールダウンした。

クリス馬スツリーだな。サンタさんにはなにを願おうか。

クリスマスツリーやら新しく出来たアイドルホースだけの専門店をぐるぐる見て回った。中山競馬場の構造をこよみさんが「イオンみたい!」って言ったときは、まあ、そうも見えなくもなくて笑ってしまった。来年は一緒にM-1グランプリに出ましょう。

時の流れはあっというまで東西メインレース。チャレンジカップはマキシから買ったが痛恨の出遅れ…。デム次郎、お前!
そして中山が誇るマラソンレース、ステイヤーズステークス。自分の推しはシュヴァリエローズ、こよみさんはシルプロン。シルプロン!?単勝102倍の超大穴だったが「マーちゃん(マーカント騎手)がやってくれる!」と自信に満ちあふれていた。レースは終始アイアンバローズが鼻を切る展開。2周もするので馬券を買っていてお得な気分だった。
4コーナーを迎えて直線コースへ、遠すぎてなにが来たか見えなかったがシュヴァリエローズが来ている。そしてシルプロンが来ている!?最後は2頭が全く並んでのゴール。「やりおったあ!」と思った。シュヴァリエローズはわずかに2着に見えたが長い長い写真判定の末、シュヴァリエローズに軍配。ただ「もう同着でいいだろ!」というくらいの僅差だった。

遠方から来た競馬好きの二人で本命が差がないワンツー。「ステイヤー兄妹」が爆誕した。

大接戦のゴール前。シュヴァリエローズとシルプロンが最後まで競り合った
西日に照らされる勝ち馬のシュヴァリエローズ
惜しくも勝利は逃したが低評価を覆してレースを盛り上げたシルプロンとマーカント騎手


おわりに

いつも1人で見ていた競馬を久しぶりに競馬好きな友人と一緒に見れて楽しかった。白毛馬のデビュー戦、こよみさんのジャンプレースでのワイドのビッグフライ、そしてステイヤー兄妹。
こんなにミラクルが起こるなんて思ってもいなかった。そしてなにより推し馬への熱意をもって自分なりの競馬の楽しみ方をしているこよみさんがかっこいいなと思った。

エクラドネージュとステイヤーズステークスから夢を追いかけることの大切さを知った。勝利まで幾多の困難を乗り越えて掴む喜びと好きなことを全力で追い続ける情熱。
自分も今はまだ頓挫の中だけどまだまだ諦めたくない。負けても負け続けても生きようと思った。

最後にこよみさんには、中山競馬場に連れてきてくれて本当にありがとうと伝えて締めたい。








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