コブクロの歴史を変えたLIVE、「NOCTURNE」を振り返る
NOCTURNEの雰囲気を感じるJam Session
僕自身、東京ガーデンシアター Day2(2022.03.17)に参加する予定でいたが、当日の地震によって参加を断念せざるを得ない状況になってしまったため、仕方なく、ココロをとばした。(家でStar Songやココロの羽を聴いて泣いていた記憶がまだある。)
長く映像化してほしいという願いを持ち続けていた中、ようやくKOBUKUROAD6にNOCTURNEが収録されることが決まった。そのライブをBlu-rayで見た僕の話。
椅子や綺麗な灯りのもと、小渕さんのアルバム「ツマビクウタゴエ2」が落ち着いた後、バンドメンバーが入場しJam Sessionが始まった。まもなくコブクロの2人も登場した。このライブは小渕さんはアコースティックギターのみの演奏で、ストリングスとドラムスがいないライブになっている。演奏が終わるといよいよLIVEが始まる。
NOCTURNEの雰囲気にやられた2曲
種子田健さん(たねちゃん)のベースから始まった大人しいオープニングとともに小渕さんか登場してアコースティックギターをツマビク。そして遅れて登場した黒田さんはロン毛に髭に薄く黒いサングラス。そしていきなり南国に来たような、ピアノが軸の知らないイントロが始まった。1曲目は「Summer rain」。まさかのリアレンジ楽曲の披露には、観客全員が驚いただろう。山口寛雄さんによるアレンジで、パート割まで変わっていた。
ピアノから始まった2曲目は、アコースティックでの披露は想像もできなかった「光の誓いが聴こえた日」。コブクロによるアレンジ。最初から最後までコブクロからの強い光をもらった。黒田さんの調子が絶好調なのはここですぐに伝わった。
ここでMCを挟むと、すぐさま黒田さんの長い髭と髪の毛の話題になった。「変な感じになったらすみません(笑)」ということで、LIVEを進行していく。
NOCTURNEぴったりのリアレンジラブソングブロック
3曲目は「東京の冬」。アコースティックのアレンジが施されていた。山口寛雄さんによるボサ・ノヴァアレンジ。所々の演奏が違うことで、明るくゆったりとした雰囲気になった気がする。まさに「NOCTURNE」というようにも感じた演奏だったと思う。比較的人気のあるアレンジ。
4曲目は「Ring」。アコースティックでのライブといえばこの曲なので予想はしていたのだが、このライブに限ってバンドの演奏が目立つような構成は予想不可能だった。山口寛雄さんのアレンジもあり盛り上がった。また、2曲目の「光の誓いが聴こえた日」から「東京の冬」、「Ring」は少し暗いこの時代に光を差し込むようなイメージが湧いた。この曲が終わると、ピアノのよっしー(松浦基悦)さんを始めとするコーラスが始まった。
「To calling of love uhh〜」。5曲目もリアレンジ楽曲で、「To calling of love」。この曲がアレンジされるのは3回目になるだろうか。2008年にピアノとブルースハープのみの演奏にアレンジされリリースされたこの曲は、翌年にはラストサビでバンドが入るアレンジがされた。そして今回は温かい演奏で、これもまさに「NOCTURNE」という気がした。これも山口寛雄さんのアレンジ。随所でコーラスが和やかな雰囲気を構築してくれる、やわらかな曲となった。特に一声目がコーラスというのは頭から予想を覆してきた。
2行で1曲分のエネルギー『月光』
MCではバンドメンバーの紹介や意気込みを話した。そして黒田さんは久しぶりに座ることもあり、違和感を感じていたが、ライブタイトルはNOCTURNEで、この日はしっとりしたライブ。雰囲気は壊せない。しかしまさかの「ケツ汗」発言もあり、ファンサイトメンバーのライブならではの雰囲気で、黒田さんのお尻がNOCTURNEだった。次の曲も入れて、黒田さんの曲が2曲続くことになる。珍しいことだ。
そして曲は小渕さんのブルースハープの演奏から、「零れ落ちた涙なら 拭えばいい 剥がれ落ちた自信なら もう必要ない さただその理想だけは ただその理想だけは 汚さずに掲げていたい」。6曲目は「月光」。この曲は、原曲ではロックなのだが違う。スローテンポで歌い始め、テンポが上がりアコースティック編成で披露されるかと思うと、途中からはさらにバンドが入り、原曲通りの壮大な曲に仕上がっていた。コブクロによるアレンジ。1曲でバラードの要素もロックの要素も楽しめる曲ができた。バラードへのリアレンジという感じだが、2人ともが脚でリズムをとるという、この曲が本来持つロックの姿も垣間見えた。また、キーを下げるのもほぼ初めてか。
MCでは、小渕さんが黒田さんの書く歌は2行で1曲分ほどのエネルギーがあるといういつもいつも感じていることを伝えた。今回のライブで、こんなにいい歌だったんだと再確認してほしくてこのようなリアレンジをしたそう。また、このようなリアレンジ主体のLIVEを開催するに至った理由に関しては、黒田さんからの提案だという。昼と夜で見え方が違うように、普段のコブクロとは違う姿を見せたいということからこのNOCTURNEが始まった。元々こ小渕さんはアコースティックアレンジにしたり、テンポを変えたりと思っていたが、黒田さんからそれは今までもやっていると指摘されると、一度誰かに曲を預けてみてはどうかということになり、作曲ができるベーシスト、山口寛雄さんがいた。今回のライブタイトルは英語では「NOCTURNE」だが、イタリア語の「NOTTURNO」も案にあったらしい。
最新アルバムから優しい演奏で3曲
このブロックでは、極力バンドの音をなしに披露することで、コブクロの声がそのまま真っ直ぐに伝わってくる。7曲目は「Star Song」、8曲目は「露光」、9曲目は「卒業」というラインナップ。いずれも2021年の末に開催された、アルバム発売記念のLIVEでもギター一本で披露されているのでそこまで変わりはない。しかし、この編成で歌っているときのコブクロの声こそが一番研ぎ澄まされている。息を呑んで聴いた観客が多いだろう。
「Star Song」は肩の力を抜いて歌っていたという印象。
「露光」は今までにない繊細さの際立つ黒田さんのボーカルが会場をふわっと包み込んだ。
また、「仰げば尊し」から始まった「卒業」はピアノの演奏もあり原曲に近い編成での披露となったのだが、非常に優しい演奏に感じた。
ただ、去年のライブでもバンド、ギター、どちらの編成でも披露された曲を3曲並べたのはなぜだろう。
コブクロの中心、バラードブロックを託された『モノクローム』1曲の意味
様々出会いや別れがある中で、たくさん会う人と会わない人がいる。何度も会いたいという人と会えなくなってしまった人もいるかもしれない、人の命のみではなく。もしかしたらこの会場に来たかったけれど来られなくなった人もいるのではないか。しかし、小渕さんは見えない何かで繋がっているということを伝えたくて音楽を作っている。遠くに離れていくものでもそれは記憶でたどることができる。
9年の時を経ての久々の披露となった10曲目は、「モノクローム」。
少しモノクロな【NOCTURNE】にぴったりの選曲で、情熱的にリフレインする曲を久しぶりに歌うことができた。
MCに入り、ここで黒田さんから収録カメラが入っていることを示唆する話があったが、直接は言わず、勝手に撮られていると言ったが、小渕さんによると、収録カメラで、後に映像作品にする予定。(で無事映像化された)
盛りあがりブロック
盛り上がりブロックは黒田さんのマイクオフ発声練習から始まった。盛り上がり1曲目もリアレンジ楽曲。福ちゃんのエレキギターの柔らかい音から始まった。小渕さんの合図からだんだんと聴き慣れたメロディが聴こえてくる。11曲目は「サヨナラHERO」。2番までは、原曲とは異なり、ゆったりとした演奏で、ラストサビは一気にバンドが盛り上げた。コブクロによるアレンジ。
そしてすぐにカバーの「雨あがりの夜空に」が披露された。「サヨナラHERO」は忌野清志郎さんの追悼曲なので、その後に披露されたのは納得がいく。僕自身、この曲はコブクロが以前も軽く歌っていたので聞き覚えはあったくらい。この2曲の盛り上がりは本編で1番だったと思う。カバー曲を披露するのもツアー以外のライブならではだなぁ。
雨あがりの夜空に at 東京ガーデンシアター Day2
13曲目は7年ぶりの披露となった、「SNIFF OUT !」。この曲では黒田さんの、膝をついたり仰け反ったりする姿、それからサビのちょっとしたアレンジがあり、これが黒田俊介というかんじ。
14曲目は「轍」。今度歌うときは声を出してみんなで歌いたいという願いも込めて披露された。それと、ビジョンの歌詞と歌っているところが合わずに、「出てる歌詞がぜんぜん違う♪」もあったね。
15曲目は「サイ(レ)ン」で、意外な曲で本編を締めた。
アンコール、新曲披露
このライブ『NOCTURNE』ではアンコールが1曲のみ。空気のように気づかずにあるものがコブクロの音楽。辛くなったときにこの歌だけが聴こえるという音楽も目指したい。そう語った小渕さんは新曲の話をした。コブクロが2人で海を渡ったときに、小渕さんが想ったことを考えながら作ったメロディーがあった。しかし、この広いメロディーに合う詞がみつからずに、時代が変わっていった。そして今年、そのメロディーに合う詞を書くことができた。大変な時代だが、これからも頑張ろうという決意を持てたらいいなという願いが込められている。詞には、「生まれた朝に見た光は人生最後に見る夢」という深いものもある。新曲は「Days」。そしてこれが11月からInstrumentalの一部のみがCMで流れていた曲。一時は幻の曲と言われることもあったが、4ヶ月が経ちようやく姿を現した。
大阪城ホール公演限定、魂の1曲
このライブの初日、東京公演の数日前、2011年までコブクロを支えていたバンドメンバー、ドラムスの桜井正宏さん(まーちゃん)が亡くなった。小渕さんはまーちゃんのドラムの音の中、彼を「天才ドラマー」と称し、想いを語った。彼に向けて一曲披露することになったのだが、このライブは偶然、ドラムレス。まーちゃんのドラムの音源を足して、最後に1曲披露された。そしてこの歌だけは小渕さんがエレキギターを演奏。最後は、「彼方へ」。黒田さんの「行くぞ大阪ー!」の声は過去最強レベル。まーちゃんと向きあいながら笑顔で曲を終えた。LIVEの本編の域を越えた時間だが、最も感動する場面かもしれない。
セットリスト(大阪城ホール公演)
Summer rain(Rearranged Version)
光の誓いが聴こえた日(Rearranged Version)
東京の冬(Rearranged Version)
Ring(Rearranged Version)
To calling of love(Rearranged Version)
月光(Rearranged Version)
Star Song
露光
卒業
モノクローム
サヨナラHERO(Rearranged Version)
雨あがりの夜空に
SNIFF OUT !
轍
サイ(レ)ン
Days(New Song)
彼方へ
東京ガーデンシアター公演は14曲目が「君という名の翼」で、17曲目の「彼方へ」は大阪城ホール公演限定。
普段見せないもうひとつのコブクロ
突然だが、コブクロは2011年に小渕さんの喉の不調を理由に活動休止をした。その時は限界を超えるまで小渕さんは喉のことを言わなかった。活動休止を宣言するときにはその事を話したのだが、それにしても、完治しない病気を持っているため、また同じようなことになる可能性は常にあった。そしてそれが今回のライブで密かに始まっていた。
初めの2曲を終えてからのMCで実は小渕さんから、喉の調子が万全ではないため歌のパートを変えたと説明があった。
しかしこのように説明をしているのは、小渕さんの自分自身への向き合い方の変化があったからであり、少しずつあの頃の記憶ごとを封印したいという気持ちが動いてきているのではないか。こうしてファンの皆に正直に伝えたことで、2人で支え合いながら、小渕さんの負担を軽減していくことができる。また、このために変更した曲がいくつかあったと言われている。
最後に変更されたパート割を見て終わりにしよう
01.Summer rainは小渕さんはいつも通りで黒田さんは全てを歌った。
03.東京の冬は小渕さんはいつも通りで、黒田さんは全てを歌った。
11.サヨナラHEROは全て2人で歌った。
12.雨あがりの夜空には黒田さんメイン。しかし小渕さんもしっかりメインパートを歌っていた。
13.SNIFF OUT ! はほぼ変わらず、黒田さんが声を重ねる箇所があったくらい。
14.東京公演の君という名の翼は全てを黒田さんが歌ったようだ。
EN1.Daysは東京公演1日目のみ黒田さんが全てを歌ったが、それ以外の公演はいつもどおり。
最後までご覧いただきありがとうございました。
にじでした。
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