相続した不動産は売るべきなのか?
親から相続した築100年超の古民家暮らしに終止符を打ち、2022年4月に住み替えをするという決断をしました。
親から相続した不動産(家・マンション・土地)を売るべきか、売らざるべきかを悩んでいる方々も多いと思うので、私の考え方を整理してお伝えします。
先ず、話を分かりやすくするために、ここで述べる不動産は、『家』と定義します。
親から相続した家は、人が住んでいる場合と住んでいない場合があります。
私が家の場合、これまで最大4世代が同居する時期があり、父が死去し、子供たちが巣立ってからは、我々夫婦2名が住んでいます。
我が家のように、相続した家を売るかどうか迷よい始めたきっかけは、この家が夫婦二人の終の棲み家としてふさわしいかどうかという素朴な疑問からでした。
築100年超の我が家は、約30年前に父が亡くなったタイミングで、リフォーム工事をしました。改修費用は約800万円で、父が自営業でしたので、店舗部分を居間と車庫に、母屋二階の天井裏のスペースを子供部屋二部屋へと改築しました。
この家は、昔の廻船問屋だったので、大黒柱が太く、土蔵もあり、建てられた時代にはそれなりにお金を掛けた家だと思うのですが、我々60歳を過ぎた夫婦がこれからも住み続けることを想定した時に、建付けのガタがひどく、水回りの配管や設備の老朽化が著しく、更にリフォームやバリアフリー施工をしてもコスパが悪いと考えました。
そこで模索し始めたのが、住み替えという選択です。
住み替えの方法としては、
①今の家をこのままにして新しい家を買う。
②今の家を売って新しい家を買う。
③新しい家は、中古戸建てか中古マンションのいずれか。
先ず考えたのが、この家を子供たちに残していいのかという観点です。
子どもたち(長男・長女、共に結婚して県外)に確認すると、先ずこの家を相続する、もしくは住むという考えはないと分かりました。
さらに、この家をそのまま子供たちに相続させた場合、家の処分は子どもたちに任せることになり、それはすなわち子供たちに相当の負担を残すという事と同じなので、それだけは避けねばならないという考えが強く残りました。
次に住み替えの資金の調達方法を考えました。
60歳を過ぎても借りられる住宅ローンはあります。
しかし、私はローンを抱えながら老後を過ごすのは絶対避けたいと思っているので、ローンに頼るのであればあきらめようと考えました。
では自己資金で購入するとなった場合、いくらまで預貯金で払えるのかを考えました。
預貯金で買える家は、上限2,000万円なら払えるのですが、反面、老後資金が乏しくなります。
以上の観点を兼ね合わせて出した結論は、今の家を売り、その資金プラス預貯金からの持ち出し数百万程度で買える中古戸建てを探そうというものでした。
そこで先ずは、家の査定を3つの業者へ依頼しました。
先ず自分の持ち家がいくらで売れるのかということが分からないと、予算が立てられないと考えたからです。
査定価格は3社で。。。これは企業秘密とさせて下さい。
さいわいにも、査定価格の上限で買い手が見つかり、先ずはその価格を前提とした物件を探し始めました。
家の住み替えには、家の購入費用+諸経費を想定しておかねばなりません。
・先ずは家の買取業者への支払いがあります。
土地家屋調査代(境界線の測量)
仲介手数料
・住み替え先の販売業者への支払いがあります。
仲介手数料
所有権移転費用
・引っ越し代(引っ越し業者への支払い)
・不用品処分費用(リサイクル業者への支払い)
以上をひっくるめると、諸経費で約100万円かかると想定しました。
査定価格で買える家となると新築は無理。おのずと中古戸建てか中古マンション。妻は戸建てが希望なので、中古マンションは脱落となりました。
つまり預貯金からの持ち出しは、100万円。これなら老後の生活も安心に過ごせる。ただし、現在63歳の私ですが、長く働き続ける事も不可欠な要素です。
最近の世間の状況は、都会から地方への移住、住み替え先は割安な中古住宅の人気も上昇しているとのことですので、耐震基準が満たされていることや床下にシロアリ対策施工済みであること、キッチン、トイレ、お風呂が新しい事などを最低条件として物件を探し始めました。
幸い、1,500万円以下の販売価格帯で、リフォーム済み中古住宅を販売している『カチタス』さんに出会うことができ、カチタスさんの中古住宅を買う事にしました。
住み替え先の物件を探し始めて、内見した家の3軒目がカチタスさんの家で、探した期間が1ヶ月以内という割と早めに見つけることができました。
空き家を安く買い、自分たちでリフォームするというやり方もあるようですが、我々夫婦には最初からそのような選択肢は頭にありませんでした。
そのためにかける時間と労力がイメージできませんでしたので。
私が選んだカチタスさんの物件は、土地面積95坪、築32年の二階建て、4LDKで庭付き、車庫付き、前の道路が6ⅿで融雪装置付き、そして南東角地で日当たり良好、耐震基準に合致し、シロアリ駆除保証付き、2年間の無料の瑕疵保険付きという物件が、想定した予算内で見つかりました。
当初妻の希望は夫婦二人で老後が過ごせる、こじんまりとした平屋でしたが、この物件を見てからは、子供たちや孫、妻の親や姉妹が来た場合に泊まってもらえる部屋は必要だよねという考えに変わりました。
こじんまりした平屋から二階建ての4LDKへ。やはり物件は、実際に見てみないと決められないものだと思いました。
また高齢者になってバリアフリー工事が必要になったらどうするか?という問題点は残りますが、夫婦二人共に幸いまだ元気ですので、夫婦どちらかに体の不具合が出た時に考えようということにしました。人生100年時代ですので、隠居生活にはまだ早いですよね。
住み替え先は、今の場所から約40キロ離れていますが、車は2台あるし、同じ市内ということで公共機関の利便性はさほど重要視しませんでした。
最寄りの駅やバス停まで何とか頑張れば、歩いて行ける距離にあるという感じです。
従来は、リフォーム工事完成後の内見で購入判断をするのが常識だったようですが、昨今の中古住宅の人気のせいか、リフォーム工事中での成約件数が上がってきているとカチタスの営業担当者から聞きました。ですから今は、リフォーム済み中古住宅の購入は、『早い者勝ち』の状態なのです。
話が長くなりましたが、相続した不動産は売るべきか?という今回のテーマですが、私の場合は、親から相続し、住み続けていた家は、老朽化のための住み替えが必要だと判断し、今の家を売って、リフォーム済み中古戸建をローンを組まずに、今の家の売却資金と多少の持ち出しで購入したという結論です。2022年はインフレの年ですから、中古住宅の価格も上昇します。住み替えの決断は早い方がいいと思います。
繰り返しますが、相続した古い家を売るということは、子どもたちに何を残すかというよりも、『子供たちに負の遺産は残さないという親としての責任』も果たせたと思っています。
我が家の住み替え先は、築32年の中古住宅なので、高断熱・高気密性能はさほど期待はできませんが、外壁が再塗装済みで、水回りの設備も新品ですし、壁のクロスや床のフローリングも張り替えてあり、ちょっと見は新築住宅なので、今後、子供のどちらかが同居するか、相続する場合でも、それなりの快適な住み心地が確保されて、しかも、それなりの資産価値は残すことができたと思っています。
もちろん私の場合と同じく、この住み替え先を子供たちが将来売却する、という選択もありかと思います。
さて話の後半部分です。
では、親から相続した家には誰も住んでおらず、放置のままで大丈夫?
しかも、兄弟がいるけど、うまく財産分配するのはどうすべき?
これらの問題で悩んでおられる方も多いのではないでしょうか。
その際に気を付けるべきことですが、
①相続した家を放置すると大損します。
その理由としては、
・国に空き家認定されると、固定資産税が6倍になる。
・空き家の維持費が年間50万円ほどかかる。(かける年数で驚きの金額)
②相続人が複数人の場合は、相続トラブル必須です。
相続に付き物の兄弟姉妹間でモメごとが勃発します。
不動産は分割しにくいのでトラブルが起きやすいのです。
ならばどうするかですが、相続する不動産を売却して現金化してから、その現金を兄弟姉妹で分割するのです。これを『換価分割』と呼びます。
ここで気をつけるべき点は、
・その売却価格は正しいのか?という疑問です。
ですから、ご自身で、必ず相続する実家の価値を把握しておくべきです。
私も査定業者3社へ査定価格見積りを依頼しました。
複数の査定業者に相見積りすることにより、実家の最高売却価格が分かれば、高く売ることができます。
そして高く売れそうであれば、売った方がムダな維持費が不要になりますし、固定資産税も払わなくてよくなります。
そして兄弟姉妹で『換価分割』する際も、それぞれが納得できる金額を得ることができ、トラブルも解消されます。
ここで念を押しますが、実家の最高査定価格は、必ずご自身で調べることが大事です。
今はネットでも査定ができる時代ですが、ネット査定で査定金額の範囲を想定し、知り合いや地元の複数の不動産業者さんにも実家を実際に見てもらって査定してもらう。
この方法がいいと思います。
さて後半の部分の結論です。
では、親から相続した家には誰も住んでおらず、放置のままで大丈夫?
しかも、兄弟がいるけど、うまく財産分配するのはどうすべき?
はい、このケースも上記のポイントを守って、実家は売るべきです。
相続した不動産は売るべきか?
はい、上手に売るべきです。
今日の話は以上です。
そんじゃまた!