笹の葉さらさら
今日は七夕。
笹の音を聞くと私は幼かったあの頃を思い出すんだ。
私には幼馴染みがいる。
笹の葉がサラサラ鳴る道を抜けると彼女の家。
私の通学路の途中に彼女の家があったから、
毎日寄って一緒に登下校していたんだ。
懐かしいよ。
本当に今だから言えるけれど、当時、私は彼女に恋をしていたんだ。
最初は全くそんなことなかったのに、気づいたら恋をしていた。
軒場で私を待つ君を見つけると心がけ揺れ踊るんだ。
幼い私はそんなことなかなか自覚できなかったけれどね。
お星様がキラキラ光る夜空を見ながら、
自分の気持ちの変化を真剣に考えたり、
彼女の事を一生懸命考えたこともあったよ。
可愛いでしょ。
ねぇ、どうして星は金や銀に光ると思う?
科学的なことを考えるのはよしてね。
私みたいなちっぽけな、そう、砂子みたいな人間にもキラキラを届けてくれるためだって思ってるんだ。
なんていったって、キラキラは美しいからね。
今日は七夕。そして君の結婚式の日。
式場にはどこか馴染みきっていない笹の葉が揺れている。
みんなに短冊を書いてもらおうと考えると君が素敵だよ。
五色の短冊って知ってる?
私も最近知ったんだけどね、短冊の色には役割があるらしいんだ。
短冊もちろん私も書いたよ。初めて色の役割を考えて書いた短冊。本気の短冊。
願い事は「君が幸せでありますように」。
今日という日にぴったりだと我ながら思うよ。
あぁ、今日もお星様はキラキラ輝いているね。
織姫様と彦星様は無事に会えただろうか。私だったらたとえどんなに君のことが好きでも仕事を放り出したりはしないのにな。それこそ、君に怒られて嫌われてしまいそう。
ウエディングドレスを着た君は本当に綺麗だった。美しかった。幸せそうだった。
お星様方も空から見えただろうか?
じゃぁ、本当は「幸せになろう」って書きたかった私のことも見えてしまっただろうか。
短冊を見た時は一瞬思ってしまったけど、「幸せであってほしい」という願い事は意地はって書いたわけじゃないんだからね。
本気だよ。よろしくね。
今日は楽しかったんだ。
私も幸せだったんだ。
君が幸せでありますように。
キラキラ光る星に私は祈るよ。
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