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青い彗星


プロ野球を見るようになって5年目の、10月上旬。
今年はこれまでで1番長いオフになると、疑う余地もなく、私はそう思っておりました。


DeNAとのCS1stステージで、阪神はあっさり2連敗。近本選手はもう見れないし、少し応援しているソフトバンクの周東選手も、このぶんだと何の問題もなく日本シリーズへ出れそう。


暇になった私は、セリーグのCSファイナルを観ることにしたのですが…
そこで思いがけず、ひとりの選手が目に止まりました。


2戦目に投げていた、DeNAの先発投手です。


相手は菅野投手でしたが、一歩もひけを取らない、素晴らしいピッチングをしていました。
7回の途中でマウンドを降りた後は、リリーフたちがゼロを守り、その試合の勝利投手となりました。


正直、全然知らない投手だったのですが(あれだけ横浜スタジアムで試合を観ているというのに…)、その日の投球と、また試合後のほっこり話などもあいまって、なんだか気になる存在となりました。


その選手の名前は、大貫晋一投手。


横浜出身、30歳。地元球団であるDeNAに、2018年ドラフト3位で指名される。今季から選手会長を務めている。
……少しずつ情報を入れていくと、自分とも、そしてずっと応援している近本選手とも、ちらほらと共通点があり、なんとなく親近感に似たようなものを覚えました。
また、いろいろな記事などに載っていた、いかにも優しそうな柔らかい笑顔にも、引き寄せられました。


これまで自分がずっと見てきたのは野手ということもあり、"投手"というものに着目したことは殆どありませんでしたが…大貫投手の投球フォームを見て、難しいことはわからないけど、とても美しいと、投手に対して初めてそう思ったのです。


もし日本シリーズで投げる機会があるのなら、見てみたい。
私はうっすらとそんなことを考えました。



……CSファイナルは、最終戦までもつれたのち、 DeNAが日本シリーズへ進むこととなりました。


そしてーーー
いろいろと巡り巡って、私は大貫投手が投げる姿を、見ることができたのです。
彼のホーム、横浜スタジアムで。
日本シリーズ優勝の王手がかかった、特別な試合で。


気になる選手を初めて、自分の目で見る、その瞬間というのは……とても久しぶりのことで、そして本当に、幸せな時間でした。


正直、試合前は、楽しみ4:心配6くらいでした。
第2戦でも大貫投手は投げていましたが、そのときはソフトバンク打線にかなり打ち込まれていたためです。
もしかしたら、すぐに代えられてしまうかもしれない。
……でも、であればこそ、彼の投げる姿を、第1球から、目を離さずに、全力で見つめようと。そう決めていました。
せっかく、目の前で見る事が叶うのですから。


その日の登板内容は、CSの時のように、完璧とはいかなかったかもしれません。ホームランも打たれていました。
ですが要所でアウトをしっかり重ね、リードを保ったまま、4回までを投げ切りました。勝ち投手にはなれなかったけれど…自分の仕事をしっかりこなす、その姿は本当にかっこよかった。
そして映像で見ていた通り、長い右腕を柔らかくも力強く振って、ボールを放つ様は、私の目に、とても美しく映りました。


……かなり単純ですが、この日を境に、"気になる存在"から、"応援したい存在"に、はっきりと変わったのでした。


(※ちなみに、初めてと言っておりますが、過去の登板日を見たところ、私はハマスタや甲子園で、彼のことをわりと何度も目にしていたようです。
ただそのときは、目で追う存在はひとつだけでしたから、やはりこの日本シリーズが初めてという認識で、間違いではないと思っております。)


それからというものーーー
すっかり、大貫投手の姿を見たい!モードになってしまった私は、11月のベイスターズ関連のイベントに、いろいろと出向きました。


もともと、11月というのは、何もない月です。
応援している近本選手は、安芸キャンプなどにも参加しませんし、甲子園のファン感謝デーも個人的には正直そこまで惹かれません。
そんなわけで、本当に暇なオフになるはずが…今年は毎週のように大貫投手を追いかけ、過去最高に忙しいオフとなったのでした(笑)


秋季トレーニングを見に横須賀へ行くために、わざわざ週のど真ん中に休みを取ったり。
パレードを見るために、始発で日本大通りへ向かったり。
ほんの1ヶ月ちょっとのことですし、全部1人でひっそりと行ったものですが、どれも宝物のように素敵な思い出となりました。


横須賀/2024.11.13


ファンフェス/2024.11.23


日本一パレード/2024.11.30


これまで、野球での私の"推し"という存在は、たった1人だけでした。
その1人があまりにも完璧で、理想的すぎて、他の誰も、少し気になることはあれど、目に止まり続けてはくれませんでした。


そんな私の前に、彗星のように現れた存在。


社会人出身で、もう来季は7年目。
もっと早く知りたかったとは、もちろん思いますが、言いません。
私はこれからの彼を見つめ、応援するのみです。


来年もきっと、あの長い手足をしなやかに使った、美しい投球を見せてくれると信じて。


はじめまして/2024.11.3




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