運命の子猫
見知らぬ生き物
今日、私はいつも通りの時間に目を覚ました。
そしていつも通りベッドから降りる。
……はずだった。
(え?)
その時、私は異変に気づく。
異様に長い毛が手にびっしり生えていた。
(ひっ)
私は小さく悲鳴をあげたあと、鏡を見るために周りを見回した。
周りの家具はかなり大きく、ベッドもとてつもなく広い。
枕が自分よりも二倍、いや三倍あるように見える。
とりあえずベッドから降りようとして、ベッドの端へ寄っていった。
しかし、とてつもなく地面が遠く、降りられそうにない。
まるで三階の高さから地面を見下ろしているように感じた。
一瞬思い切って飛び降りようかと考え、しかしとても恐ろしくて足がすくんだ。
身震いしたあと、何かできないかと再び周りを見回して、ベッドの壁側にある窓を見た。
窓のそばには少しスペースがある。
あれならなんとかして登れるかもしれない。
私は狙いを定めて飛び上がった。
すると驚いたことに、なんなく狙った場所に着地することができた。
(え?なんで……?)
やってみたところで、どうせ届かないだろうと思っていた。
窓までは自分の背丈の二倍ほどあったからだ。
私は驚いたまま、自分がいる窓からベッドをじっと見下ろした。
まさか、この高さをひとっ飛びしたなんてとても考えられない。
すると急に外からバイクの大きな音が聞こえ、驚いて窓の外を見た。
その時、窓ガラスに映る生き物が目にとまる。
驚いた様子の子猫と私は長い間見つめ合っていた。