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ブルース・リーという人間美術

ドラゴン4作品について

私がブルース・リーの映画を観始めたのは今から3年前です。息子が生まれたばかりでパソコンも触れない状態だったので、授乳の合間にスマホで観ました。カンフー映画にまともに触れるのがまず初めてだったので、独特の流れというか、そもそも時代が古いとか、表現のチープさ(あとから調べると予算的な事情が色々あったと分かりましたが)に不思議な映画だな……って思ってしまったんですが、いくつか鑑賞しているうちに「こういうものなんだ」と馴染んだし何よりリーのアクションがあまりにも素晴らしくカッコいいことに全部持って行かれました。全体的にどの作品でもリーのアクションシーンはそれほど多くありません。「カンフー映画ってもっとアクションてんこ盛りだと思った…」って拍子抜けするくらい少ないです。それでも、そのわずかなリーのアクションがあまりにも良すぎる。アクションシーンだけ何度も何度も観てしまう。文字通り「目を奪われる」わけです。

リーの主演映画は全部で4作品(※5作品としないことは後述します)、その4タイトル全てに「ドラゴン」というリーを象徴するワードが入っているため、私はこれを勝手に「ドラゴン4作品」と呼んでいます。私が視聴した順になりますが、それぞれどんなところが良いかメモがてら綴ります。

「燃えよドラゴン」(1973)

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リーの映画で最も有名な作品。なのでまず初めに観ました。香港のアクションスターとして全盛を極め、かなり忙しい時期に撮影した作品なのでリーはすごく痩せていて、表情も非常に硬い。ストーリー的にも、妹を殺された復讐に静かに燃える男の役というのもありますが、全体的にかなりシリアスです。ただ、リーのキレのある、射貫くようなアクションは本当に素晴らしい。デカいアメリカ人の男がリーのキックでマジに吹っ飛びます。本当に人間がやってるんかこれ……?って疑うレベルの破壊力。ワイヤーかな?いやそんなわけなかった。マジなんだ……リーの力は。観た瞬間、衝撃を受けました。
また、この映画は唯一リーの肉声が吹き替えとなっている映画です。当時の香港映画って、吹き替えが当たり前だったようで、演者と声が別の人なんです。なので後に述べる他の3作品は、リーの声を聞くことができません。リーの演技に合わせて、違う人の声がセリフを喋ります。そういう点でもこの「燃えよドラゴン」はとても貴重だと思います。リーの肉声は英語版なので、鑑賞の際は是非英語版をおすすめする
最後にこれだけ言わせてもらいますが、カンフー着のリーがクソクソかっこいい。なんかもう彼は肉体そのものが美しいんですが、服を着ていてもその肉体の美しさが溢れ出ていて、服のシワまですごいかっこいい。カンフー着のシワを何度も凝視してしまいました……。カンフー着のシワ、大きな見どころの一つだと思っています。

「ドラゴン危機一発」(1971)

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ドラゴン4作品で最も古い、リーの初主演香港映画。闘わないことを亡き母とその形見に強く誓っているので、なかなかすぐには闘わないリーですが、我慢の限界がきてついに手が足が出ると「キタ - .∵・(゚∀゚)・∵. - ッ!!」ってなります。焦らされてワクワクする。結構たくさん仲間が殺されて、かなりしんどいです。悪役の容赦のなさ、鳥を飼っている。鳥を飼っている……。鳥を飼っている悪役です(香港映画によくある設定)。氷に埋められた死体が全然リアルっぽくなく、明らかにマネキンなんですが、なんかマネキンだからこそ余計怖いって思いました。昔の映画だからこそのチープな表現は、異様な不気味さがあってクセになりますね。
後ろに迫った二人のチンピラを、振り向きもせず両方の後ろ手でパァン!って一瞬でぶちのめすシーンが最高にカッコイイ…!!ホントにリーの攻撃って瞬発力がすごくて、一瞬なんですよね……圧倒的な力の差を感じる……まじチート感ハンパない。
あと、最後に仲間たちの復讐を果たすため、全ての黒幕である社長の邸宅へ足を踏み入れるのですが、そのとき紙袋に入ったポテチをバリバリ頬張りながら登場するリーが意味わかんなくて大好きです。

好きすぎて以前描いたパロ(ポーズ模写)

「ドラゴン怒りの鉄拳」(1972)

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主演2作目。これは少々テーマがデリケートな作品。何故かというと、舞台が20世紀初頭の上海、つまり日本人が完全に悪役だからです。日本人に対するイメージがとても悪いので、日本上映時にはいくつかの配慮をされたようです。でも特に私は気になりませんでしたね。実際、清朝末期において日本は大きな「敵」であったろうし、憎らしい存在であったことは間違いないでしょうし……。やっぱりストーリー云々を楽しめるかどうかよりも先に「リーのアクション」が最優先に注目されるのがリーの映画なので、気にするところはそこじゃねぇな…って感じです。むしろ私は清朝に興味があるので、世界観に興味津々でした。衣装とか建物のセットがとてもワクワクする。
日本柔道の連中にものすごい侮辱を受けた精武館のチェン(リーの役名)が、柔道場に乗り込んで仕返しをしに行くんですがそのアクションがもう圧巻。一人で多人数を次々と倒して行くリーのスピード感、爽快でたまらない……!!
また、この映画が他と違うところは、リーがキスシーンを演じているということだ……!どの作品にもヒロイン的な美女が登場するんですが、この映画のみ、ヒロイン美女との親密度が高い(婚約者という設定もあり)。へぇぇこんな演技もできるんだ~……ってドキドキ見とれてしまう。幼少から父親の影響で映画に出演させられていたという生い立ちがあるので、リーの演技力はアクションを抜きにしても抜群にうまいです。表情の作り方が良い……!
あと冒頭の、白いスーツを纏ったリーの姿も貴重……やっぱり体の美しいラインが出ていてかっこいいです。何着てもかっこいいんだなぁ……。

「ドラゴンへの道」(1972)

https://www.amazon.co.jp/dp/B0042VIK1Y/ref=cm_sw_r_tw_dp_MG8C8EVF2XQ7401GA41J

https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00G5N50ZQ/ref=atv_dp_share_cu_r

これ一番好きなやーーーーつ!!!
先述の3作って、リーの役柄が皆シリアスで、最後の展開も暗めなものばかりなんですが、この作品だけはちょっと違います。リー演じる「タン・ロン」はすごくユニークで、愛嬌のある人で面白い。序盤のレストランでの食事シーンはコメディらしさを感じて大好き……!。他の作品に比べて、圧倒的に映画としての「お楽しみ要素」が満載です。これは、この作品が唯一のリー自身が監督を務めた作品、というのも関係してるのかも……。「復讐」を軸にした役柄のために、「危機一発」では最終的に警察に逮捕されるし、「怒りの鉄拳」でも日本人に暴力を振るった罪によって処刑を示唆するカットで終わってしまったりと、けっこう悲劇なノリなんですが、「ドラゴンへの道」だけは終わり方もそこまで悲しい展開ではなく、小さな切なさを残す……程度で終わるので終始心穏やかに観ていられます。またアクションシーンもたっぷり、見せ方も最高ー!!!投げ矢もヌンチャクもある!!!超かっこいいぞ!!!コロッセオでの最終決戦がマジで見ものなんですが、途中にらみ合うシーンでの謎のネコチャンがめちゃくちゃにシュールです……なにあれ……なんでネコチャン……いや和むけど和む必要あるんかあのシーンに……ってポカンとします。
あと「おまいわぁ~タンロンがぁ?」っていう敵のセリフが有名ですがめっちゃ面白いので観てほしい……www 余談ですがヒロインの美女、「怒りの鉄拳」でキスシーン演じた婚約者と同じ女優のノラ・ミャオでしたね……すごく可愛くて美人な方で好きです。
この作品は総合的にかなり完成度が高く、映画としての楽しさもしっかり盛り込まれていて一番見ごたえがあります。リーの映画でまず何を、となれば私は絶対この「ドラゴンへの道」をおすすめします。

「死亡遊戯」についてと総括

「死亡遊戯」はリーが生前に制作していた映画のタイトルですが、これを制作途中にリーは亡くなってしまいます。そのため、この映画の中でリーが演じているシーンはほんの一部のアクションシーンのみ……リーの死後、代役などを起用して何とか一本の映画として完成させているので、私はこの映画を「リー主演の映画」としてカウントできないな……と感じています。一度だけ視聴したのですが、リーの他作品からのカットを使いまわしたり、代役が演じるシーンが不自然なアングル(後ろ姿ばかり映る)とか、本当に「無理やり完成させた感」がすごくて、何度も観返したくなる大好きな「リーの映画」とは思えなかった……。なんだか寂しい気持ちにもなりますね、リーの死を想ってしまって……。
やっぱり私は上記の4作品が「リーの映画」だと思ってるし、この4作品を何より愛しています。映画だけでなく、リーの出演ドラマなどもかなり良い作品があるので、リーに関するあらゆるものを調べるのも楽しいです。彼が生きていた時代に私は生まれていないので、過去の記録と作品からしか彼を知ることができないのですが、彼を追いかけたい気持ちは依然止まらないです。
いつか香港へ行って聖地巡礼とかしたいですなーーー!!密かな夢です。

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